フェザースティック
焚き付け・着火材
薪を削って作る自前の着火材
特徴
薪の表面を薄く削り、羽根のようなカールを一本の棒に何段も残したものです。買った着火剤がなくても、手元の薪だけで火口を用意できるのが最大の利点になります。スギのように木目がまっすぐで柔らかい針葉樹がいちばん削りやすく、最初の一本の練習に向いています。
燃え方
削り屑が薄いぶん空気に触れる面積が大きく、ファイヤースターターの火花や小さなマッチの炎でもすぐ燃え移ります。カールが厚いと火がつかないので、向こうが透けるほど薄いカールを目標にすると成功率が上がります。
向いている使い方
雨や結露で薪の外側が湿った日にこそ効きます。薪を割って内側の乾いた面を出し、そこを削れば濡れた日でも乾いた火口が手に入ります。刃は必ず体の外側へ向け、太ももの上や膝の間では絶対に削らないでください。座って作業するなら、丸太の上に材を置いて削るのが安全です。
解説動画: 焚き火屋に習うフェザースティックの削り方/まいけるんチャンネル
概要: 焚き火屋の主人からフェザースティック作りを一から教わる内容。バトニングでの木の割り方に始まり、角を落として八角形にし、最後は全周を回しながら削り上げるまでを段階を追って習う。一定の力と一定の角度で削り続けることが最大の要点だと繰り返している。
割るときに叩く位置: バトニングには叩いてよい位置と、叩くと折れてしまう位置がある。刃が入っていかないからと無理な向きを叩き続けると折れる。折れそうな木は無理に割ろうとせず、素直に割れるところだけで作業を進めればよいと説明している。
まず八角形にする: 削り始めはなるべく手前の側からスタートする。木は最初四角なので、まず角を落として八角形にし、角が均等になってきたら棒をくるくる回しながら削っていく。途中で削りが切れてもつなげようとしなくてよく、初めは角度を体に覚えさせる練習と割り切ってよい。
ゴールを見えるようにする: 回しながら削っているとどこまで進んだか分からなくなるので、一周削り終えるたびに削り片を折り曲げて立てておくと進み具合が見える。角を落とし続けると根元が丸くなり、螺旋階段のように一周ずつ進む形になる。この仕上がりを講師は彼岸花と呼んでいる。
刃を当てる角度: 刃を棒に対して斜めに当てると削りやすくなるが、そのぶん深く食い込みやすい。棒に対して直角に当てた方が刃を均等に動かせるため、基本は刃を立てるか寝かすかだけを考えればよい。斜めに入れるのは、直角では刃が入っていかないときに限る。
解説動画(海外・英語): Bushcraft Basics Ep20: Making Fire Feather Sticks/MCQBushcraft
何のために作るのか。2つの理由: フェザースティックは薪を割って細く薄い削りかけ(カール)を作り、表面積を増やして火が付きやすい状態にしたもの。イギリスのブッシュクラフト系チャンネルによる解説で、資源の乏しい環境では、うまく削れるかどうかが「火が起こせるか起こせないか」の分かれ目になるとしている。作る理由は2つ。ひとつは白樺の樹皮やファットウッドで起こした小さな炎を、乾いた小枝が見つからないときに一気に大きくしたいとき。もうひとつはそもそも信頼できる焚き付けが見つからない環境で、細い削りかけにファイヤースターターの火花を直接受けたいとき。
どの木を拾うか。「立ち枯れ」と樹種の見分け: 使うのはデッドスタンディング(立ち枯れ・地面から離れた状態で枯れた木)。地面に落ちている木は湿気を吸っていてコケや植物が付き、煙ばかり出て使えない。樹種の話も具体的で、イングリッシュオーク(ナラ類)はまっすぐな木目で朽ち方が均一、枝が角張っていて落ちた大きな角(アントラー)のように見えるため見分けやすいが、フェザーには向かない。ナラは火が育ってから焚べる木で、非常に熱い熾火の層を作り、一晩じゅう燃えて暖と調理を支える。針葉樹の環境なら樹脂を含むぶん、よく燃えるフェザーが作れる。この動画ではノルウェースプルース(アカマツと同じ針葉樹の仲間)を使い、枝の付け根に杉の葉・松ぼっくりと同様の着火資源であるファットウッドも見つけている。選ぶのはいちばん滑らかでまっすぐ、枝の出ていた跡が少ない部分。
細い枝ではなく、太い枝を割って中身を使う: 作者はあえて太めの枝を選び、30センチほどに切ってから割る。理由は湿った気候では細い木のほうが早く水を吸うが、太い木は外側が湿っていても芯は乾いたままだから。割って内側から削れば乾いた木で作業できる。割るときは内ももの三角地帯に刃が向かないよう、木にまたがらずに横向きでバトニングする(森で一人のとき、太ももの傷は致命傷になり得る)。
削り方:低く構え、稜(ridge)を狙う: 地面に予備の木片を置いてその上で削ると、硬い面ができて力をかけやすい。体は木に対して横向き、位置はできるだけ低く(高い位置だと腕が曲がって技術的に難しくなる)。削り始めはかなり上のほうから、角に沿ってごく軽くナイフを滑らせる。節があっても大きな問題にはならない。押す力が強いほどカールは厚くなり、軽く一定の力で滑らせるほど薄くふわふわになる。コツとして平らな面より、削るうちにできる稜(ridge)の上を狙うと良いカールが出る。ファイヤースターターを当てる終盤ほど細かい削りかけにする。ナイフの角度でカールの向きも操れて、刃を傾ければ螺旋に、まっすぐ下ろせば樽状に束ねて巻ける。
樹種ごとの削りやすさと、火を付けるときの姿勢: 樹脂の量ではスプルースが優秀だが、削り心地では別の木が良いという。ゴートウィロー(バッコヤナギ)は樹脂が無くてもとても美しいフェザーになり、よく燃え、地面から離れていれば腐りにくい。ヘーゼルは木目がまっすぐで割りやすく削りやすいが、腐るのが非常に早いので芯が硬く乾いたものを探す必要がある。柔らかいので長く細いフェザーも厚いフェザーも自在に作れる。着火のときは湿っていても地面の上で作業する。地面は安定していて、押し込む力でフェザーが沈んで動かないから(丸太や切り株の上はぐらついて苛立つ)。ファイヤースターターの先を置く小さなくぼみをナイフで作っておくと滑らない。なおこの作業に入る前にタープなどで雨をしのげる場所を確保しておく。