白樺の樹皮
焚き付け・着火材
白樺の樹皮は、濡れても燃える最強の火口。
特徴
シラカバの幹からはがれた白い薄皮で、白い色のもとはベツリンという水をはじく成分です。紙のように薄い層が何枚も重なり、指で裂けば繊維状になります。帯広百年記念館の解説では、アイヌの人々はカンバ類の樹皮を巻いて棒の先の割れ目にはさみ、松明にしました。生きている木からはぎ取ると木が傷むので、地面に落ちているものだけを拾ってください。
燃え方
濡れても火がつく例として、米国国立公園局の解説は、スカウトの指導者が湖に浸した樹皮ですぐ焚き火を始める場面を挙げています。Coalcracker Bushcraftは樹皮の油分が多少水をはじくと説明する一方、腐りすぎ・湿りすぎのものはうまく使えないと言います。黒い煙とすすが出て、燃焼時間は長くありません。火が移る先の細い焚き付けを先に組んでから点火するのが成功のこつです。
向いている使い方
ファイヤースターターやマッチからの一発目の火口として最上級です。手のひら大を軽くもんで繊維を毛羽立たせてから火花を当てると、ほぼ確実に着火します。拾えたときに数枚をジップ袋に入れて持ち歩いておくと、雨の日の心強い保険になります。
出典
- 公的機関・英語 米国 National Park Service(Northeast Temperate Network)(2022) NETN Species Spotlight - Paper Birch
- 資料 帯広百年記念館 カンバ類
- 動画・英語 Coalcracker Bushcraft Grey Birch Fire Tinder
解説動画: シラカバの樹皮を削ってメタルマッチで着火する/サバイバルjp
概要: ブッシュクラフトの本場である北欧では、白樺の樹皮を火起こしに使う。樹皮には油分が多く含まれていて、火がつくと激しく燃える天然のティンダーになる。動画では割った樹皮を削って毛羽立たせ、ファイヤースチールの火花で着火するまでを見せている。
こそぐ手順: 大きな皮を用意する必要はなく、折って適当なサイズに割ってから使う。利き手でナイフを持ち、反対の手の指で皮を押さえる。刃を皮に当てたらナイフの背を押さえ手で押し込み、そのままグリッと刃を返す。親指をストッパーにして圧力をかけると削りやすい。
削りかすに火花を落とす: 刃を返し続けると表面がかつお節のように細かく毛羽立ってくる。この毛立った削りかすに火花を当てるとすぐに火がつき、いったん燃え出せば勢いよく燃え広がる。ライターやマッチを使うなら細かくせず直接火をつけてもよいが、メタルマッチではこの下ごしらえが要る。
採取の注意: 白樺は高原や北の寒い地域でよく育つ木で、関東でさっと見つけるのは難しい。山の中に入るとまれにぽつんと生えている程度である。皮をめくってそのまま火をつけることもできるが、自然保護の観点から採取は地元のルールに従うべきだと注意している。
解説動画(海外・英語): Bushcraft Skills - How to light a fire with Birch Bark Tinder. Bushcraft UK/Paul Messner
生きている木からは剥がさない: イギリスのブッシュクラフト系チャンネル。冒頭でまず生きている白樺からは絶対に樹皮を取らないと言い切っている。使うのは明らかに枯れている木で、動画ではサルノコシカケ(多孔菌)が生えていることを枯死の目印にしている。ナイフで一部を切り、樹皮を剥がして持ち帰る。中の材が腐っていても、樹皮そのものは使える。
焚き付けとしての下ごしらえ: 持ち帰ったら樹皮に付いた腐った木の部分は落とし、樹皮だけにする。刃で少し整えてやる。焚き火の組み方も具体的で、太めの薪をV字に置き、その上に乾いた小枝を載せて、下から空気が入るようにする。そこへ火種を入れる。
火花を受けるのは「削りかす」: 火の付け方が要点で、樹皮の一片をナイフで削って、ごく細かい削りかすを作る。この細かい削りかすがファイヤースターターの火花を受ける。動画の日は風が強く、削りかすが飛ばされてしまう場面がそのまま映っていて、風のある日は削りかすを多めに作り、風下から作業する必要があることが分かる。火が付いたらさらに樹皮を足し、小枝から順に大きくしていく。
ファットウッドとの比較: 最後に率直な評価をしている。作者自身は白樺の樹皮よりファットウッド(松脂の染みた材)のほうが良いと思っている。理由はファットウッドのほうが長く燃えるので、火を育てるための時間を長く稼げるから。風が強い・湿っているといった悪条件ほど、この差が効いてくる。