杉の葉・松ぼっくり
焚き付け・着火材
杉の葉・松ぼっくりは、拾って使える天然の焚き付け。
特徴
地面に落ちて茶色く枯れた杉の葉と、かさが大きく開いた松ぼっくりを拾って使います。焚き付けの条件を、Joel van der Loon(YouTube)は「乾いて枯れている・軽い・細い」と説明します。松ぼっくりは、Horstmannらの2024年の研究で、閉じたかさの鱗片の外側から水が蒸発して開くとされ、閉じたままのものはまだ水を含んでいるので、開いて軽いものを選びます。
燃え方
松ぼっくりは、Aniszewskaらの測定でマツのかさの燃焼熱がマツ材と有意に違わず、重さあたりの熱は木材並みでした。スギ林で2004年2月に起きた火災では、燃えた落葉落枝が約10,000kg/haと推定されています(前田ら、2013)。軽い燃えかすは火の粉になって舞いやすいので、周囲の落ち葉を払い、乾燥・強風の日は使わないでください。
向いている使い方
下に杉の葉、その上に松ぼっくり、さらに細い枝の順に重ねます。設営が終わったらまず足元を見て集めておくと、暗くなってから慌てずに済みます。米国国立公園局のLeave No Traceは、焚き火には地面に落ちて手で折れる枯れ枝だけを使い、植物などの自然物は見つけたままにと求めています。拾ってよいかは場所ごとに違うので、現地の管理者に先に確認しましょう。
出典
- 論文・英語 Horstmann M, Speck T, Poppinga S(Plants)(2024) Orchestrated Movement Sequences and Shape-Memory-like Effects in Pine Cones
- 論文・英語 Aniszewska M, Gendek A(Forest Research Papers)(2014) Comparison of heat of combustion and calorific value of the cones and wood of selected forest trees species
- 論文 前田雄一・中村徳和・小山敢・矢部浩・土屋竜太(樹木医学研究)(2013) 2004年に発生したスギ林火災の実態と7年経過後の生残木の現状 —火災被害林の取り扱いのために—
- 動画・英語 Joel van der Loon Survival skills: How to find and process tinder for fire-making
- 公的機関・英語 米国 National Park Service(2022) Leave No Trace Seven Principles
- 公的機関 総務省消防庁 林野火災への備え
解説動画: 拾った杉っ葉と松ぼっくりで焚き火をおこす/田舎で遊ぼう おいちゃんねる
概要: 涼しくなってきて焚き火にちょうどいい季節、と庭先で火をおこす回。薪はあるので、せっかくだからと、その辺に落ちている杉っ葉と松ぼっくりを拾って焚き付けにする昔ながらのやり方を見せている。拾い集めるところから始めて、井桁に組んで火をつけ、そこからナラの薪へ火を渡していくまでを一通り実演している。
松ぼっくりはかさの開き具合で選ぶ: 焚き付けといえばまず松ぼっくり、と拾い始める。松ぼっくりは油っぽいので火の付きがいいと説明し、落ちている場所へ行けばいくらでも見つかると話す。ただしどれでもよいわけではなく、かさがしっかり開いているものがいいという。閉じ気味のものは置いて、もっと開いたものはないかと地面を見て回り、形の良いものだけを次々に集めていく。
杉っ葉は軽い針葉樹の枝葉: もう一方の焚き付けが杉っ葉で、スギのような軽い針葉樹の枝葉が焚き付けには向くと話している。枯れて地面に落ちたものをそのまま拾い、束にしていくだけでよい。松ぼっくりと同じでわざわざ買って持ち込む必要がなく、山でも庭先でもその場で調達できるのが強みになっている。後から足すナラのような重い木と違い、乾いて軽くなった針葉樹だからこそ最初の一手に向く、という使い分けである。
井桁に組んで火をつける: 集めた材料は井桁に組んでから火をつける。組んだ中へ杉っ葉を差し込み、形のまちまちな松ぼっくりも隙間に落とし込むようにまとめて放り込んでいる。量はざっくりでよく、少し大きめの束になっても構わないという。火をつけるとすぐに炎が立ち上がって、まずは立派な煙が上がり、そのまま焚き付け全体へ燃え広がっていく。
焚き付けから薪へ火を渡す: 焚き付けが燃えだしたら、次は薪の木の種類の話になる。使っているのはナラで、火の付きは悪いけれど、いったん燃え出せば煙が少ないと評している。何を燃やすにしても乾いたものを使うのがコツで、火が育つにつれて燃えにくい大きなものへ順に移していくとちょうどよい。この順番さえ覚えれば何でも燃やせる、というのがこの人の焚き火の基本である。