会いに行く場所と季節図鑑
住宅地の路地と庭先(街の中)
路地は、高さの帯で顔ぶれが分かれます。電線と屋根、軒先、生垣と庭木の順に目を移すだけで、毎日通る道が四つの層に分かれて見えてきます。高さの帯で顔ぶれが分かれる場所です。いちばん上に電線と屋根、その下に軒先と雨どい、目の高さに生垣と庭木、足元に路面と側溝という順で並び、上から順に目を下ろしていくと…
街路樹の並木道(街の中)
並木は、日が沈んでから本番になります。ムクドリが夕方に集まって朝に散る動きが軸なので、昼に通っただけでは何もいない道に見えます。一列に植わった木が、まとまった一つの林として使われる場所です。幅は歩道と車道にはさまれた数メートルしかありませんが、枝が触れ合うほど連続していれば、鳥は枝から枝へ移れます。…
都市公園の芝生と広場(街の中)
芝の上は、歩いて食べる鳥の場所です。地面で採食する種だけが残るため、同じ公園でも林や水面とは顔ぶれがきれいに分かれ、冬に一段と増えます。地面を歩いて食べる鳥だけが集まる場所です。刈り込まれた芝は見通しがよく、虫や種を探す鳥にとっては餌場、猫や人にとっては丸見えの場所という二つの面を同時に持ちます。…
神社と寺の境内(街の中)
境内の木は、街に残った林として働きます。並木や芝生より葉と幹と地面の層がそろうため、同じ市街地でも会える種類がはっきり増えます。市街地に取り残された樹林です。長く手が入らずに残った木があり、樹冠が続いて葉と幹と地面の層がそろうため、並木や芝生より同じ面積あたりの種類が多くなります。都市の緑地を調べた研究では…
ビル街と高い建物(街の中)
ビル街では、鳥は見上げる高さにいます。屋上やアンテナの先が止まり木の代わりになり、地上を歩いているだけでは視界に入りません。見上げる高さに鳥がいる場所です。屋上、外階段の手すり、看板やアンテナの先が止まり木の代わりになり、地上を歩いても鳥は目の高さにいません。垂直の壁面と平らな屋上が並ぶ様子は海沿いの岩場に似ており…
川の瀬と中州(水辺)
川は、一本の中でも帯ごとに鳥が違います。瀬と石の河原と中州で歩く鳥と待つ鳥が分かれるので、まず自分がどの帯を見ているかを決めます。一本の川の中が、水深と底の質で帯に分かれる場所です。波立って浅い瀬、石のごろごろした河原、増水のたびに削られたり積もったりする中州が並び、帯ごとに歩く鳥と待つ鳥が入れ替わります。…
公園の池とお堀(水辺)
池のカモは、冬に数が決まります。流れの無い水面は浮いたまま眠れる場所として使われ、11月から3月にかけて種類も数も入れ替わります。流れの無い水面が、そのまま鳥の休み場になる場所です。池やお堀は風で波立ちにくく、浮いたまま眠れる広さがあるため、冬にカモ類が集まります。岸が石やコンクリートで固められていても、水面の広さと…
河川敷のヨシ原と草地(水辺)
ヨシ原は、草の高さで鳥が分かれます。背の高いヨシと丈の低い草地では夏も冬も顔ぶれが違い、刈り取りと増水で毎年その境目が動きます。草の丈で鳥が分かれる場所です。水際に近いヨシ原は背が高く茎が立ち、その外側に丈の低い草地と裸地が続くため、同じ河川敷でも数十メートル離れるだけで顔ぶれが替わります。…
田んぼと用水路(水辺)
田んぼの顔ぶれは、水があるかないかで替わります。同じ一枚の田でも、代かきの頃と稲刈り後では歩いている鳥が入れ替わり、冬に水を張った田にはまた別の鳥が降ります。区画された水田と、水を送る用水路や排水路がひと続きになった場所です。水深が数センチの浅い水面が広く開くのは田に水の入っている時期だけで…
河口の干潟(水辺)
干潟では、時計より先に潮を見ます。潮が引けば鳥は沖の泥へ散り、満ちてくれば岸へ寄るので、同じ場所でも潮位が違えば見え方が別のものになります。川が運んだ砂と泥が河口にたまり、潮が引くと現れ、満ちると水没する平らな面ができます。1日のうちに陸と海が入れ替わるため、歩ける地面ではなく、時間で形の変わる水辺として扱う場所です。…
里山の雑木林(山と林)
冬の雑木林では、鳥は群れで通り過ぎます。葉の落ちた林を数種のカラ類がまとまって渡っていくので、待つ場所を決めるより、通る道筋を見つけるほうが早く会えます。コナラやクヌギを中心にした落葉広葉樹の林で、薪や炭、落ち葉の堆肥をとるために人が手を入れてきた林です。下草刈りや落ち葉かきが続いているかで林床の見え方が変わり…
沢沿いの林道(山と林)
沢の音は、鳥の声を消します。水音の大きい区間では耳が使えないので、林道を歩きながら、水から少し離れて声の聞こえる場所を選び直すことになります。山あいの沢に沿ってつけられた林業のための道で、片側が斜面、片側が谷という形が続きます。谷筋は木が高く伸び、日の当たる時間が短いぶん虫が多く、夏鳥のさえずりがここに集まります。…
スギとヒノキの植林地(山と林)
鳥が少なく感じる林には、理由があります。スギやヒノキの人工林は葉が一年中ついていて下層の草も低木も乏しく、餌をとる場所と巣をかける場所がそろって限られるためです。同じ樹種、ほぼ同じ樹齢の木が等間隔で並ぶ林です。葉は一年中ついていて林床は暗く、下層の草や低木が乏しいため、地面近くで餌をとる鳥の居場所がありません。…
林のふちとやぶ(山と林)
鳥は林の中より、林のふちに出てきます。木と草地や畑の境目には、隠れる場所と見晴らしのきく止まり木が短い距離で並ぶので、姿を出す用事がそこに集まります。林と草地、林と畑がぶつかる幅数メートルの帯がこの場所です。低木とつる、枯れ草の混ざったやぶが残り、身を隠す茂みと、見晴らしのきく突き出た枝が同居します。…