スギとヒノキの植林地
山と林
鳥が少なく感じる林には、理由があります。スギやヒノキの人工林は葉が一年中ついていて下層の草も低木も乏しく、餌をとる場所と巣をかける場所がそろって限られるためです。
どんな場所か
同じ樹種、ほぼ同じ樹齢の木が等間隔で並ぶ林です。葉は一年中ついていて林床は暗く、下層の草や低木が乏しいため、地面近くで餌をとる鳥の居場所がありません。間伐の遅れた林では枝が張り、光はいっそう届かなくなります。鳥の少なさは探し方から来ているのではなく、林の構造から来ています。同じ「林」でも里山の雑木林は葉が落ちて明るくなる時期があり、見え方も鳥の数も同じには考えられません。
季節ごとに何がいるか
季節による入れ替わりが小さい場所です。ミソサザイは沢沿いで一年を通して声を出し、ヒガラとキクイタダキは針葉樹の枝先を細かく動く冬の顔ぶれ、カケスは秋にドングリを運ぶ姿が目につきます。数は林の中より、林縁と沢沿いの林道のような沢筋に寄ります。高知県のスギ・ヒノキ人工林で2023年の6月と10月に録音した研究では、広葉樹を残した保持伐地のほうが、10月に限って種数が多いと報告されました(日本森林学会誌106巻11号)。
歩く時間帯
朝の早い時間に集中する場所ではありません。林内は一日を通して暗く、日の出の直後は足元も枝先も見分けがつきにくいため、日が高くなって林縁に光の入る時間のほうが姿を確かめられます。声を頼りにするなら春の繁殖期の午前中で、冬は日だまりのできる南向きの林縁と、作業道の切れ目を選んで歩きます。ヒガラやキクイタダキが混群で通る林では、その一度を逃すと長く静かになります。曇りの日は、昼でも林の中が夕方の明るさです。
足元と服装
林床は年中湿っています。落ち葉ではなく枯れ枝と苔が積もり、雨のあとは滑るため、靴底の溝と防水を優先します。枝打ちされた枝が地面に残る林では折れた枝の先が上を向いています。夏はヤブ蚊とヒルの出る谷筋があるので、長袖と長ズボン、裾を靴に入れる歩き方は林のふちとやぶと同じにします。暗い林では、明るい色の上着が同行者から見つけやすくなります。
立ち入りの線
人工林はほぼすべて所有者のいる林です。作業道や集材路は林業の道で、伐採や搬出の最中は重機とワイヤーが動いています。作業中の表示、ゲート、テープの張られた区間には入りません。見学できる森林公園や自治体の管理林など、歩いてよいと示された道を選びます。切った木や積んだ丸太は他人の物として扱い、上に乗らず、動かしません。