河口の干潟
水辺
干潟では、時計より先に潮を見ます。潮が引けば鳥は沖の泥へ散り、満ちてくれば岸へ寄るので、同じ場所でも潮位が違えば見え方が別のものになります。
どんな場所か
川が運んだ砂と泥が河口にたまり、潮が引くと現れ、満ちると水没する平らな面ができます。1日のうちに陸と海が入れ替わるため、歩ける地面ではなく、時間で形の変わる水辺として扱う場所です。餌は泥の中の貝やゴカイで、くちばしの長さの違う鳥が同じ面に並び、それぞれ届く深さをつつきます。淡水で潮の影響を受けない川の瀬と中州とは、顔ぶれも、行く前に調べることも別になります。
季節ごとに何がいるか
春の4〜5月と秋の8〜9月に、シギ・チドリ類が渡りの途中で降ります。繁殖地と越冬地の間で立ち寄る旅鳥が季節の中心で、同じ場所でも週が変われば顔ぶれが入れ替わります。環境省のモニタリングサイト1000シギ・チドリ類調査は、全国の調査地で春・秋・冬の3期に個体数を数え、2000年度からの集計で春期と秋期の減少を報告しています。冬はユリカモメやカモ類が河口にとどまり、夏は数が落ちます。
歩く時間帯
歩く時刻は潮汐表で決めます。気象庁が公表する潮位表で、その日の満潮と干潮の時刻を先に見ておく形です。干潮の前後は干潟が最も広がり、鳥は沖の泥へ散って遠くなります。潮が満ちてくる満潮の前後1〜2時間には、水に浸からない堤防や河川敷のヨシ原と草地のようなヨシの茂みへ寄るため、同じ堤防からでも距離が縮みます。朝夕という決め方をしない場所です。
足元と服装
足元は泥にはまる前提で考えます。干潟の泥は見た目より深く、長靴でも足が抜けなくなることがあるため、潟の上には降りず、堤防や護岸から見るのが基本の姿勢です。護岸のコンクリートは濡れた藻で滑り、階段やスロープの下ほど残っています。吹きさらしなので、冬は風を通さない上着、夏は日陰の無い前提で帽子と水を持ちます。潮風は双眼鏡に塩を残すので、帰ってから拭きます。
立ち入りの線
干潟に降りることと、満ちてくる潮を軽く見ることが、この場所の二つの危険です。潮は歩く速さより速く上がる場所があり、戻り道の澪筋が先に水没して孤立します。ノリの養殖や漁業の権利が設定された区域もあるため、立入禁止と示された堤防の下へは入りません。休んでいる群れに向かって歩けば追い立てて飛ばせることになり、渡りの途中の休息を削ります。潮が上がるまで、群れに逃げ場はありません。