田んぼと用水路
水辺
田んぼの顔ぶれは、水があるかないかで替わります。同じ一枚の田でも、代かきの頃と稲刈り後では歩いている鳥が入れ替わり、冬に水を張った田にはまた別の鳥が降ります。
どんな場所か
区画された水田と、水を送る用水路や排水路がひと続きになった場所です。水深が数センチの浅い水面が広く開くのは田に水の入っている時期だけで、その間はサギ類が歩いて餌をとれる面になります。農林水産省と環境省が平成13年度に始めた「田んぼの生きもの調査」は、この水面を人がつくった湿地として数えます。着いてまず見るのは鳥ではなく、田に水が入っているかどうかです。水の入らない河川敷のヨシ原と草地とは、同じ平地でも顔ぶれが別です。
季節ごとに何がいるか
代かきから田植えの5月前後は水面が開き、アオサギやダイサギ、コサギが浅い所を歩き、ツバメが水面すれすれを飛びます。稲が伸びる夏は水面が隠れ、声のほうが手がかりになる季節へ変わります。稲刈り後の刈り跡にはセキレイ類とムクドリが降り、落ち穂や飛び出す虫を拾います。冬に水を張ったままにする冬期湛水の田ではタゲリやタシギが泥をつつき、乾いた田との差がはっきり出ます。
歩く時間帯
日の出から2時間ほどが動きの多い時間ですが、この場所は人の作業と時間が重なる点がほかと違います。朝は軽トラックや管理機が農道を通り、水の見回りに人が出るので、路肩に寄り、作業の邪魔にならない位置で立ち止まります。夕方はサギ類が集団ねぐらへ向かう時間で、飛んでいく方向を覚えておくと翌朝の探し方が決まります。冬の田は遮るものが無いぶん、日中でも遠くから姿を追えます。
足元と服装
舗装されていない農道は雨のあとにぬかるみ、あぜの土は踏むと崩れます。くるぶしまで隠れる長靴があると歩ける範囲が変わります。用水路はふたの無い側溝が続き、コンクリートの法面は濡れると滑るため、縁に立たない歩き方にします。冬の水田は河口の干潟と同じで風をよける物が無く、手袋と耳を覆えるものまで用意すると、立ち止まったまま見ていられます。
立ち入りの線
あぜも農道も私有地であり、農作業のための道です。田に足を入れない、あぜを歩かないのが最初の線で、用水路のバルブや水位を測る板に触れないことも同じ並びに置きます。三脚を農道の真ん中に立てない、車を停めて道をふさがないという形で、作業の動線を空けます。刈り跡に降りたミヤマガラスの群れへまっすぐ寄れば、そのまま飛ばすことになります。人に会ったら先に声をかけ、断られたらそこで引くまでが線の内側です。