粒が立っているご飯はおいしい?
炊く
粒立ちは、見え方の言葉で、食味の評価項目ではありません。
言われていること
「粒が立っているご飯はおいしい」という言い方が、炊き方の紹介や鍋で炊く記事で使われます。べちゃついた状態の反対側に置かれ、粒が立つという語が炊き上がりの出来を一言で表す印として扱われます。粒が大きいほど立つ、という説明が混ざることもあり、ほぐす手順や土鍋で炊くとおいしいの紹介にも、仕上がりの良さを示す語として並びます。どの状態を指すのかは、書き手によって幅があります。
測るとどうか
早川ら 2025 は「粒立ちがよい」を粒の輪郭がはっきりしている様子と定義し、粒の大小は関係しないと注記しています。32品種の炊飯米の評価と文献から語を集め、専門パネルの討議で絞った体系の1語で、強さを機械で測った値ではありません。おいしさの側と結んだ数値はなく、食味ランキングの評価項目にも粒立ちはありません。向峯ら 2024 がテンシプレッサーで測るのは硬さと付着性で、粒立ちとは結ばれていません。
誰が・何を・どう測ったか
定義の出どころは早川ら 2025 で、32品種の炊飯米から278語、業務用の米飯から25語、論文252報と専門書26冊の語を合わせ、専門パネルの討議で120語へ絞っています。食味ランキングのほうは専門の評価員20名が外観・香り・味・粘り・硬さ・総合の6項目を基準米と比べる仕組みで、粒立ちという項目はありません。粒立ちの評価とおいしさの順位を並べて測った資料は、この回に読んだ範囲では見当たりませんでした。
だからどうする
見え方を言う語として読み、おいしさの順位には広げません。べちゃついたときは水加減を先に下げ、浸した時間と置いた時間も見直します。割れた粒が多いと輪郭はぼやけるので、米粒が砕けたときは洗う力を下げます。炊き上がりに水気が見えるうちにほぐすと、粒の形が崩れずに済みます。水加減は水は米の重さの何倍か(加水量の重量比)で記録しておくと、次に炊くときの比べ方がそろいます。
まだ分かっていないこと
粒立ちの強さを機械で数値化し、おいしさの評価と結んだ公開データは見当たりません。テンシプレッサーで得られる硬さや付着性の値と、人が答える粒立ちの評価を並べた比較も確認できていません。どこからを粒立ちがよいと呼ぶかの線も引かれていません。コシヒカリのような品種ごとの差も、炊き上がり倍率との対応も、公開された比較は見つかっていません。
出典
- 論文 早川文代 ら(日本食品科学工学会誌 72巻6号)(2025) 米飯の官能評価用語体系の構築
- 論文 向峯遼・岡留博司・奥西智哉(日本食品科学工学会大会講演要旨集 71)(2024) 米飯の品温が物性ならびに機械成形特性に与える影響