洗顔料・保湿剤・日焼け止めの、必要最小限の組み合わせ。
肌の手入れを始めるときにそろえる製品は、洗うもの・うるおすもの・防ぐものの3種類で足ります。種類を増やす前に、まずこの3つを型として覚えることが出発点になります。
うるおす製品は、水分を与える働きと、与えた水分を逃がさない働きの2つを満たす必要があります。ヒアルロン酸やグリセリンのように水分を引き寄せる成分は、真皮から表皮へ水分を引き込みますが、その水分は蒸発しやすいとされています(Purnamawati ら、2017年)。そのため、スクワランのような油分を含む成分で肌の表面に薄い膜をつくり、蒸散を抑える働きを重ねる必要があります。この膜をつくる働きは、湿った肌に塗ったときに最も効果が大きいとされています。化粧水で水分を与えた直後に乳液やクリームを重ねる手順は、この働きに沿っています。1本で水分を与える成分と膜をつくる成分の両方を含む乳液やクリームを選ぶ場合も、どちらか一方を欠かさないことが目安になります。
防ぐ製品は、紫外線を防ぐしくみの違いで2種類に分かれます。紫外線吸収剤はUVB域の紫外線をよく吸収しますが、UVAを効果的に吸収する成分は限られ、まれにかぶれを起こすことがあります。酸化チタンや酸化亜鉛を主体にした散乱剤はUVBからUVA域まで広く遮り、「ノンケミカル」などの表示で見分けられます(日本皮膚科学会)。かゆみや赤みが出やすい肌は、散乱剤だけの製品から試す選び方があります。日傘や帽子、長袖で紫外線をあらかじめ減らすことを第一に置き、日焼け止めはそのあとに塗る「最後の砦」と位置づける考え方もあります(同)。海や雪山では照り返しや高地の影響で紫外線が平地より強くなるため、覆う対策をいっそう徹底する必要があります。
1本で2つの役割を兼ねる製品は、本数を減らせる一方で、塗り方に差が出ます。SPF30の日焼け止めとSPF30の保湿剤を同じ84人が塗り比べた試験では、塗り残した面積は顔全体で日焼け止め11.1%・保湿剤16.6%、まぶたの周りで14.0%・20.9%でした。参加者は塗り残しに気づいていませんでした(Lourenco ら、2019年)。紫外線を防ぐ成分の入った保湿剤で済ませる日は、目の周りまで塗れているかを鏡で確かめ、外で長く過ごす日は日焼け止めを別に使います。
洗う製品は、その日メイクや日焼け止めを付けたかどうかで洗浄力を選び分けます。最初にそろえるのはこの3本に絞り、肌に合うかを確かめてから、角質ケアなど別の役割の製品を足していく順番が向いています。この3本がそろえば、残りは製品を変えるたびに起きる肌の変化を見ながら、合う組み合わせに近づけていく作業になります。
出典
- 論文・英語 Purnamawati S, Indrastuti N, Danarti R, Saefudin T(2017) The Role of Moisturizers in Addressing Various Kinds of Dermatitis: A Review
- 公的機関 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q11 サンスクリーン剤の成分
- 公的機関 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q10 光線防御のポイント
- 論文・英語 Lourenco EAJ, Shaw L, Pratt H, Duffy GL, Czanner G, Zheng Y, Hamill KJ, McCormick AG(2019) Application of SPF moisturisers is inferior to sunscreens in coverage of facial and eyelid regions

