朝と夜で、やることを分けて決める。
朝と夜は、やることの向きが逆です。朝はこれから浴びる紫外線に備える時間で、終点は日差しを防ぐ工程になります。夜はその日に肌へ付けたものを落とし、減ったうるおいを補う時間で、起点は落とす工程です。先に決めるのはこの向きで、製品の数ではありません。
朝は、洗う・うるおす・防ぐをこの順に置きます。化粧水から乳液へとテクスチャーの軽いものを先に重ね、最後に日焼け止めを塗ります。日本皮膚科学会は、日傘・全周につばの広い帽子・長袖で紫外線をできるだけ減らすことを第一に置き、日焼け止めは「最後の砦」と位置づけています。日焼け止め以外の防ぎ方を先に決めてから、塗る量と数値を決める順番です。塗る量は顔全体で真珠の玉2個分が目安で、実際には規定量の3分の2ほどしか塗られていないという調査結果があります(同学会)。数値は、SPFがUVB・PAがUVAへの防御を示すこと(UVA・UVB)を踏まえて過ごす環境で選び、屋外にいる日は塗り直す時刻を朝のうちに決めておきます。
夜は、落とすところから始めます。日焼け止めには落ちにくい製品もあるため、夜に専用のクレンジングなどで洗い落とすことが大切だと、同学会は述べています。その日に日焼け止めやメイクを使ったかで、落とす段の洗浄力が変わります。クレンジング料は、付けたものの量に合わせて選びます。洗う回数について、米国皮膚科学会は1日2回と汗をかいたあとに限ること、ぬるま湯を使うこと、こすらずに指先で洗浄料を広げることを挙げています。落としたあとは化粧水で水分を与え、乳液やクリームで膜をつくる工程に進みます。乾きやすい頬や目もとにだけ保湿剤を重ねる調整もできます。
朝と夜で手順を分ける背景には、肌の状態が時間で動くという測定があります。健康な成人16人(男性9人・女性7人、23〜53歳)の額・前腕・背中・すねを2時間おきに24時間測った研究では、経表皮水分蒸散・肌表面のpH・皮膚温に日内のリズムが見られ、角層の水分量にはリズムが出ませんでした(Yosipovitchら、1998年)。著者らは、皮膚の透過性は朝より夕方と夜に高いと結論づけています。中国の健康な女性を対象に皮膚表面の脂質と生理指標を測った研究でも、皮脂の分泌・経表皮水分蒸散・水分量の測定値・皮膚表面温度が正弦波状の日内リズムを示しました(Lvら、2024年)。Lvらは、皮膚表面の脂質を質量分析で、水分量や温度を非侵襲の機器で測っています。どちらも肌の値の動きを測った研究で、朝と夜の手順の違いを比べた研究ではありません。
やりがちな失敗は3つです。朝に日焼け止めを省くこと、夜に落とさずに眠ること、朝と夜に同じ数の製品を並べて続かなくすることです。朝は防ぐまで、夜は落としてから補うまでを一続きに決めておくと、迷う場面が減ります。
出典
- 論文・英語 Yosipovitch G, Xiong GL, Haus E, Sackett-Lundeen L, Ashkenazi I, Maibach HI(1998) Time-dependent variations of the skin barrier function in humans: transepidermal water loss, stratum corneum hydration, skin surface pH, and skin temperature
- 論文・英語 Lv L, Yan X, Zhou M, He H, Jia Y(2024) Circadian Rhythms of Skin Surface Lipids and Physiological Parameters in Healthy Chinese Women Reveals Circadian Changes in Skin Barrier Function
- 公的機関 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q13 サンスクリーン剤の使い方
- 公的機関 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q10 光線防御のポイント
- 公的機関・英語 American Academy of Dermatology Face washing 101
