グリセリン
昔から使われている、水分を引き寄せて保つ代表的な保湿成分
成分の働き
周囲の水分を引き寄せて肌の表面に保つ性質を持つ成分で、肌にうるおいを与え、肌を整える目的で古くから化粧品に使われています。化学名はグリセロールで、皮膚にもともとある成分です。総説(Fluhr ら、2008年)は、角層の水分量やバリア機能への働きが報告されているとまとめています。アクアポリン3(グリセロールの通り道)を欠くマウスでは角層のグリセロールが減り、水分量と弾力が下がり、補うと戻りました。
向く肌質
どの肌質にも使われている成分です。
使い方
化粧水をはじめ、乳液やクリームなど幅広い製品に配合されています。配合濃度によってとろみやしっとり感が変わり、高濃度になるとべたつきを感じる人もいます。メーカー資金の試験(Vaillant ら、2020年)では、乾燥肌の健康な51人で12時間測ると、グリセロールとワセリンを両方入れたクリームは水分蒸散がグリセロールだけの場合より少なく、角層の水分量はワセリンだけの場合より多くなりました。
注意点
一般的に肌への刺激は少ないとされる成分ですが、Dr Dray(英語圏の YouTube チャンネル)は、油分で覆わずに塗ると水分が蒸発して逆に乾くことがあると説明し、蜂蜜に近い粘りの原液を直接塗ることは勧めていません(動画に測定値はありません)。まれに肌に合わず赤みが出ることがあり、症状が続く場合は皮膚科に相談してください。
解説動画
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肌再生の専門家が、化粧水で最も重要な「成分」について解説します
角質層に水分を届けるしくみ
グリセリンは、糖にアルコールが結びついた「糖アルコール」と呼ばれる物質で、水になじみやすい性質と油になじみやすい性質をあわせ持っています。肌の一番外側にある角質層は水分と油分が混ざり合った構造をしているため、水だけを与えても表面ではじかれてしまいますが、グリセリンのようになじみやすい物質が間に入ることで、角質層のまわりに水分を引き寄せて保つ助けになるとされています。
刺激が少ないとされ、幅広く使われる理由
グリセリンは、肌に対して強い作用を持たない性質の物質として知られており、比較的刺激が少ないとされています。そのため保湿を目的とした化粧水の基本的な成分として、単独でも他の保湿成分と組み合わせても、幅広い製品に古くから使われ続けてきました。
家庭でも扱われてきた保湿の知恵
グリセリンは薬局などで手軽に入手できる成分として、市販の化粧水がまだ一般的でなかった時代から、水で薄めて手作りの化粧水のように使われてきた歴史があります。特別な有効成分を加えなくても、水と油をつなぐ性質そのものが肌の乾燥対策の助けになるという、昔ながらの使い方が今の化粧品にも受け継がれています。
配合の濃さで感触が変わる
グリセリンだけを薄めて使う場合、それほど強い保湿感が得られるわけではないとも説明されています。実際の化粧品では配合する濃度によってとろみやしっとりとした感触の強さが変わり、単独で使われるよりも、他の保湿成分と組み合わせて配合されることが多いとされています。
出典
- 論文・英語 Fluhr JW, Darlenski R, Surber C(2008) Glycerol and the skin: holistic approach to its origin and functions
- 論文・英語 Hara M, Ma T, Verkman AS(2002) Selectively reduced glycerol in skin of aquaporin-3-deficient mice may account for impaired skin hydration, elasticity, and barrier recovery
- 論文・英語 Hara M, Verkman AS(2003) Glycerol replacement corrects defective skin hydration, elasticity, and barrier function in aquaporin-3-deficient mice
- 論文・英語 Vaillant L, Georgescou G, Rivollier C, Delarue A(2020) Combined effects of glycerol and petrolatum in an emollient cream: A randomized, double-blind, crossover study in healthy volunteers with dry skin
- 動画・英語 Dr Dray Glycerin for skin and hair
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