水分を与えることと、逃がさないことの2つの役割。
保湿は、水分を与える働きと、与えた水分を逃がさない働きの2つに分けて考えると分かりやすくなります。インドネシアの大学のチームによる総説は、保湿剤の成分を大きく3つに分け、ヒアルロン酸やグリセリンのような吸湿性の物質(ヒューメクタント)は角層が水分を吸収するのを助け、ワセリンなどの油性の膜をつくる成分(オクルーシブ)は肌の表面に疎水性の膜をつくって経皮水分蒸散をさえぎり、セラミドのように角層の細胞のすき間を埋める成分(エモリエント)は保湿性やなめらかさを高めると整理しています(Purnamawati ら、2017年)。
この総説は、ヒューメクタント単独では真皮から表皮への水分の吸収を増やすものの、その水分は容易に蒸発してしまうため、油性の膜をつくる成分と組み合わせる必要が多いと指摘しています。数値の例として、ワセリンは最低5%の配合で経皮水分蒸散を98%以上減らし、10%の尿素も経皮水分蒸散を減らすことが示されたとしています。ラノリン・鉱物油・シリコーンは20〜30%減らすという数値も載せていますが、マウスのアトピー性皮膚炎モデルで示されたグリセリン系保湿剤の速やかな保湿効果は、人の肌で確かめられた結果ではありません。
肌のバリアが水分を保つ仕組みを、ニューヨークで研修を受けた皮膚科医ユサマ・サイード氏は「レンガとモルタル」にたとえ、角層の細胞がレンガ、脂質とタンパク質からなる物質がモルタルに当たり、保湿剤はこのモルタルの層を補ってバリアを保ち水分の喪失を防ぐ働きをすると説明しています。皮膚の手入れを扱う医師2人の番組Doctorlyも、手入れの最後に保湿剤を重ねる段階を、経皮水分蒸散から肌を守るためだと位置づけています。水分を中心とした製品を先に、油分を含む製品をあとに重ねる順番は、オクルーシブが湿った肌に塗ったときに最も大きな効果を発揮するという総説の指摘を活かす並べ方です。
この重ね方を、スキンケア系YouTuberのななこは、化粧水で角質層を水分で満たし、乳液で水分が蒸発しないようラップをかけるように薄い膜をつくると表現しています。化粧水を手のひらに適量取り、軽く包み込むようになじませて水分を与えたあと、乳液やクリームで膜をつくる手順を欠くと、角層に入った水分がそのまま蒸発してしまいます。水分を与える働きと逃がさない働きのどちらか一方だけでは、うるおいが保たれにくくなります。
出典
- 論文・英語 Purnamawati S, Indrastuti N, Danarti R, Saefudin T(2017) The Role of Moisturizers in Addressing Various Kinds of Dermatitis: A Review
- 動画・英語 Ali Abdaal My Evidence-Based Skincare Routine
- 動画・英語 Doctorly Cleanse, Treat, Protect - Foundations of Skincare
- 動画 nanakoななこ 【スキンケアの基礎】徹底解説!意外と知らないスキンケアの方法徹底解説!1000円以下のプチプラ優秀スキンケアのみで紹介したよ!日常的にできる毛穴ケアの方法も!【高校生・中学生必見!】【メンズOK】

