洗顔・保湿・紫外線対策の3つと、成分・表示・肌のしくみのつながり。
肌の手入れの基本は、洗う・うるおす・防ぐの3つで、どれも肌の一番外側にあるバリアを守るためという一本の線でつながっています。表皮にあるとおり、肌の外側は角層を中心にした薄い層で、病原体の侵入や刺激、水分の過剰な蒸発を防ぐ役目を持ちます(総説、Proksch ら、2008)。洗う・うるおす・防ぐは、このバリアを壊さずに保つための手段だと見ると、それぞれの手順のつながりが見えやすくなります。
洗うことは汚れや余分な皮脂を落とす一方、やり方を誤るとバリアそのものを傷めかねません。ぬるま湯と泡で洗う方法と、メイクの量に合わせた洗浄力の選び方は、どちらも必要な皮脂やうるおい成分を落としすぎないための工夫です。洗浄剤に含まれる界面活性剤は、洗っている間に皮膚の成分を抜き取り、すすいだ後も角層に残って構造を乱すことがあります(レビュー、Walters ら、2012)。洗浄力の強さだけで製品を選ばず、その日の汚れの量に合わせて選ぶことが、バリアを保つ最初の判断になります。
うるおすことは、洗って抜けた水分と脂分を補う段階です。保湿成分には大きく3種類あり、水分を抱えるヒュメクタント、蒸発を防ぐオクルーシブ、角層のすき間を埋めるエモリエントが役割を分けて働きます(総説、Rajkumar ら、2023)。水分系の製品を先に、油分系の製品を後に重ねる順番や、テクスチャーの軽いものから重いものへ進める並べ方は、この役割の違いを活かすためのものです。水分だけ、油分だけでは片方の働きが欠け、うるおいが保たれにくくなります。
防ぐことは、紫外線が肌に届く前にさえぎる手入れです。紫外線対策は、日傘や帽子、長袖で紫外線をあらかじめ減らすことを先に置き、日焼け止めはそのあとの「最後の砦」と位置づけられています(日本皮膚科学会)。衣類や日陰の使い方は、この順番を実践する手段です。SPFはUVBへの、PAはUVAへの防御効果を示す指標で、数値が50を超えると性能の差がほとんどなくなるためSPF50+という表示になります(日本皮膚科学会)。数値の高さだけで選ばず、過ごす環境に合わせて選ぶ考え方は、ここから来ています。
新しい製品を試すときは、合わない成分を広く使う前に見つける手順が要ります。二の腕で先に試すやり方と、1つずつ間隔をあけて取り入れる進め方は、どちらも肌に合わない製品を見分けるための手順です。洗う・うるおす・防ぐ・試すの4つを無理なく続けることが、表皮で説明されているバリアを保ちながら、肌の手入れを積み重ねていく土台になります。
出典
- 論文・英語 Rajkumar J, Chandan N, Lio P, Shi V(2023) The Skin Barrier and Moisturization: Function, Disruption, and Mechanisms of Repair
- 論文・英語 Proksch E, Brandner JM, Jensen JM(2008) The skin: an indispensable barrier
- 論文・英語 Walters RM, Mao G, Gunn ET, Hornby S(2012) Cleansing formulations that respect skin barrier integrity
- 公的機関 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q10 光線防御のポイント
- 公的機関 日本皮膚科学会 皮膚科Q&A Q12 サンスクリーン剤の性能表示
