攻略 | オトモマッスル

アイテムを一度に増やす・こする・すぐに替える、の3つを防ぐ。

初めての手入れでつまずく所は、だいたい3つに絞れます。製品を一度に増やすこと、肌をこすること、合うかを決める前に替えることです。どれも、肌に変化が出たときに原因を特定できなくするという点で共通しています。先に決めるのは、増やす数・触る強さ・見る期間の3つで、製品の良し悪しではありません。

新しい製品は1つずつ、間隔をあけて足します。数日から1週間という間隔と、二の腕で先に試すやり方は、どちらも原因を1つに絞るための手順です。医療機関でも、接触アレルギーが疑われる物質を同じ場所へ繰り返し塗って反応を見る試験(反復塗布試験)が使われます。香料に含まれるリモネンの酸化物を3週間塗り続けた多施設の二重盲検の試験では、パッチテストで陽性だった11人のうち、濃度の高い順に100%・64%・27%が反応しました(Bennikeら、2019年)。健康な対照の17人は、最も高い量でも反応していません(同)。患者を対象にした診断の試験で、日常の製品の試し方を比べたものではありませんが、反応が量と日数で変わることは読み取れます。一度に3本を足すと、この見分けができません。

2つ目は、こすることです。ごしごし洗うことは肌への刺激になり、指先以外のもの(洗顔用の布・メッシュのスポンジなど)も肌を刺激しうるとされています(米国皮膚科学会)。拭く力を測った研究も、強くする必要がないことを示しています。看護師101人の拭き方を観察し、成人50人の前腕に油性と水性の汚れを付けて拭いた研究では、使い捨てのタオルでも5〜10mmHg以上で3回拭けば汚れの8割以上が落ちました(Konyaら、2023年)。勧められている力は、やさしくなでる程度の10〜20mmHgで3回以上です(同)。顔のコットンではなく入浴の介助の研究ですが、強い力が要らないことの手がかりになります。こすれが続いた部分の色が濃くなる状態も、タオルでこする習慣と結びつけて報告されています。小児2例の報告では、背中の骨の上に色の濃い斑が出ていました(Holzerら、2021年)。顔をこすった例ではありません。「角質は取れば取るほど肌がきれいになる」「毛穴パックで毛穴も引き締まる」という説は、こする手入れを増やしやすい考え方です。

3つ目は、合うかを決める前に替えることです。表皮が入れ替わる時間(ターンオーバー)は、放射性物質で標識したチミジンで細胞の増殖を測った研究で平均39日とされ(Weinsteinら、1984年)、同じデータを計算し直すと47〜48日になります(Iizuka、1994年)。どちらも肌の入れ替わりを測った数字で、製品の見極めに要る日数を調べたものではありません。それでも、数日で結論を出すのが早いことは分かります。季節の変わり目も、保湿剤は一気に替えず、今までの製品と併用しながら調整します。足せば良くなるという見方は「保湿すればするほど肌は良くなる」という説につながり、製品の数だけが増えます。

ターンオーバー
ターンオーバー図: オトモシリーズ

ただし、待つ場面とすぐやめる場面は別です。ヒリつき・赤み・かゆみが出たら、期間を待たずに中止します。原因と思われる製品をやめ、刺激になりやすい成分を外して低刺激の保湿剤だけに戻します。腫れ・水ぶくれ・強い痛みがあるときや、数日たっても引かないときは、皮膚科に相談してください。防ぎ方は3つです。新しい製品を1つずつ足すこと、洗うのも拭くのも指先でやさしく行うこと、替える前に数週間は同じ手順を続けることです。

出典

  1. 論文・英語 Bennike NH, Palangi L, Christensson JB, Nilsson U, Zachariae C, Johansen JD, Hagvall L(2019) Allergic contact dermatitis caused by hydroperoxides of limonene and dose-response relationship-A repeated open application test (ROAT) study
  2. 公的機関・英語 American Academy of Dermatology Face washing 101
  3. 論文・英語 Konya I, Nishiya K, Shishido I, Hino M, Watanabe K, Yano R(2023) Minimum wiping pressure and number of wipes that can remove dirt during bed baths using disposable towels: a multi-study approach
  4. 論文・英語 Holzer D, Wanat K, Lalor L(2021) Frictional melanosis: A pediatric case series
  5. 論文・英語 Weinstein GD, McCullough JL, Ross P(1984) Cell proliferation in normal epidermis
  6. 論文・英語 Iizuka H(1994) Epidermal turnover time