トライセプスプレスダウン
腕
器具: ケーブル / 難易度: 初級
トライセプスプレスダウンは、肘への負担が少なく、腕の裏を安全に追い込める
効く筋肉
上腕三頭筋 が主役です。ScottHermanFitness は3つの頭すべてを使い、外側頭と内側頭の比重がやや大きいと説明します。米国の大学チームが女性15人で長頭と外側頭を測った報告(ACE 公表)では、三角プッシュアップを100として、ロープの押し下げは長頭81・外側頭67、バーは75と59でした(内側頭は未測定)。寺島遼は、立って真下に押すだけなので関節への負担が小さいと話します。
やり方
ケーブルマシン の滑車を、Max Euceda は顎の少し上、寺島遼は目線の高さにします。バーは肩幅以内で握って一歩下がり、肘を体側に留めたまま伸び切るまで押し下げ、1〜2秒止めてゆっくり、手が胸の高さに来るまで戻します。Max は軽〜中程度の重さで 3〜4セット×10〜20回、寺島は 12〜15回 が目安です。
フォームの注意点
体重を乗せて押し下げるのは、三頭筋ではなく自重で下ろしているだけです。寺島遼は体重を後ろに残して肘だけを動かすよう説明します。Max Euceda は、肘が開かず胸で押していなければ、肘が体側で少し前後に動いても構わないとします。胸は、ScottHermanFitness が張って肩甲骨を寄せる形を、寺島は肘だけを動かしやすい張らない形を選んでいます。
バリエーション・代替種目
ScottHermanFitness は、V バーか直線バーのほうがロープより重く押せるので、ロープは片手で行うときに使うと説明します。逆手の直線バーは内側頭寄りになるとも言います。長頭を狙う日は オーバーヘッドエクステンション を足します。成人21人が片腕ずつ頭上とニュートラルの腕位置でケーブルの肘伸展を12週間行った比較(Maeo ら)では、長頭の筋体積の増加は頭上が+28.5%、ニュートラルが+19.6%でした。
出典
- 資料・英語 Boehler B, Porcari JP ほか(ウィスコンシン大学ラクロス校)/ACE Best Triceps Exercises Identified by ACE Study
- 論文・英語 Maeo S ほか(2023) Triceps brachii hypertrophy is substantially greater after elbow extension training performed in the overhead versus neutral arm position
- 動画・英語 ScottHermanFitness HOW TO: Cable Triceps Pushdown || 3 Golden Rules (FOR GROWTH)
- 動画・英語 Max Euceda How to do the CABLE TRICEP PUSHDOWN! | 2 Minute Tutorial
- 動画 寺島遼 / Ryo Terashima 【確実にデカくなる】三頭筋の王道種目!プレスダウンを寺島遼が徹底解説。
解説動画: ケーブルプレスダウンの正しいフォーム/筋トレダンジョン - 3分で学べるトレーニング動画ch
概要: ケーブルにストレートバーをつけ、上腕三頭筋を狙う種目。滑車を高い位置に合わせ、肩幅くらいの手幅で腕をまっすぐ伸ばしたところで握るのがスタートポジションになる。体は少し前に倒し、傾ける角度はケーブルの角度と同じくらいにする。
肘の位置を動かさない: 脇を締めて肘の位置が動かないように固定したまま押し下げる。特に戻すときに肘が浮くと三頭筋の力が抜けやすいので、戻す局面も力を入れ続け、手が同じ位置で止まるようにする。肘が左右に開いたり位置が動きすぎたりするのも、よくある間違いとして挙げている。
握り方と首肩の力み: 指先で引っ掛けるように持つと手首が曲がって手首に負担がかかるので、手のひらの根元、手根に近いところで持つと手首が曲がりにくい。もうひとつ多いのが首や肩に力が入ってしまうことで、最初に胸を張り、首まわりの力を抜いた状態から動かす。力んだまま行うと首や肩に負担がかかり、痛みの原因になりやすい。
解説動画(海外・英語): How To Get Bigger Triceps (3 Training Mistakes You’re Probably Making)/Jeremy Ethier
他の筋肉に持っていかれていないか(3つの犯人): プレスダウンで負荷を奪う犯人は広背筋・肩・前腕の3つ。肘が前後に大きく振れているなら、それは肩関節の伸展=広背筋の仕事になっている。重量を下げて、肘を体側に固定したまま動かさないと三頭筋が負荷の大半を引き受ける。前腕は気づきにくいが、バーのアタッチメントで押し下げるときに手首を曲げてしまうと負荷が三頭筋から逃げ、手首は不利な角度になり肘関節にもストレスがかかる。手首は前腕と一直線(ニュートラル)に保つ。3つ目は疲れてきたときや重すぎるときに前傾して背中が丸まること。これは肘が開いて挙上を楽にするだけでなく、負荷を肩や胸へ移してしまう。胸を張って肩甲骨を寄せ、肘を体側に固定した姿勢を最後の1回まで保つ。
張力を最大化する立ち位置と腕の角度: スカルクラッシャーやライイングエクステンションを腕を真上にロックしたまま行うと、トップで三頭筋にほとんど張力がかからない。2006年の生体力学の分析で肩を挙上させるほど三頭筋の長頭が伸ばされると示されているので、腕を少し頭側へ倒した位置で固定してから動作すると長頭が伸び、可動域全体で働かせられる。プレスダウンも同じで、ケーブルの真下に直立して立つと、下で股関節が邪魔になって可動域が切れ、ケーブルと前腕の角度の関係でボトムの張力もほとんど残らない。ケーブルから1〜2歩離れて、股関節を軽く折ってから、肘を体側に固定して押し下げる。可動域が少し広がり、ボトムで三頭筋が最も強く縮む位置に来る。
単関節だけで終わらせない。重い押す種目を先に置く: 腕の太さの大半は上腕三頭筋なので優先する価値があるが、三頭筋は速筋(タイプ2)繊維が多いとされ、重い重量で刺激するのが理にかなう。そこで単関節種目の前に、重い複合種目を置く。ナローベンチプレスは2005年のJSCRの論文でベンチプレス自体が三頭筋を強く使ううえ、手幅を狭めると負荷が三頭筋へさらに移ると示されている(狭くしすぎると害のほうが大きいので、肩幅程度に留める)。ミリタリープレスは2013年のJSCRの論文で、複数のショルダープレスの中で三頭筋の活動が最も高く、しかも最も重い重量を扱えた種目だった。加重ディップスも同様に有力。重い種目から始めて長期的に伸ばし、必要に応じてあとから単関節でボリュームを足すという順番を勧めている。