ナローベンチプレス

腕

器具: バーベル / 難易度: 中級

ナローベンチプレスは、上腕三頭筋を重い重量で押せる複合種目

効く筋肉

上腕三頭筋 が主働で、大胸筋 の内側と三角筋の前部も押す動作を支えます。単関節の種目より重い重量を扱えるので、腕の裏側の土台作りに向きます。スペインの大学の研究チームが、筋力トレーニング歴約5年の成人20人を対象に、肩峰間の距離の50%まで狭めた手幅と通常の150%の手幅でベンチプレスと座って行うチェストプレスを表面筋電図で比べたところ、狭い手幅では上腕三頭筋の活動が最大随意収縮の約16%まで上がり、通常の手幅の約12%を上回った一方、大胸筋の胸骨部・下部の活動はむしろ下がったと報告している。

やり方

ScottHermanFitness は通常のベンチプレスと同じに肩甲骨を寄せ、背中を反らせて構えると説明します。タロー・トレーニング強化書は、ラックを普段より1段高めにし、重さはベンチプレスの本セットの6割ほどから始めると話します。バーをみぞおちの少し上へ下ろし、肘を体側に沿わせて開かないまま押し戻します。8〜10回を3セット、下ろしに2秒かけると三頭筋に乗ります。

フォームの注意点

手幅を極端に狭くすると手首が反り返り、手首と肘の内側を痛めます。人差し指が肩幅の内側に少し入る程度で十分です。肘を外へ開くと胸の種目に変わるので、脇の角度を保ってください。BarBend は、肘を体に強く押し付けすぎると肩が内側にねじれ、関節に負担がかかると注意します。タロー・トレーニング強化書は、バーを胸に触れるまで下ろすと肩の前側が過剰に伸ばされると説明します。

バリエーション・代替種目

スミスマシンなら軌道が固定されて追い込みやすくなります。ダンベルを向かい合わせに持つフロアプレスも有効で、器具が使えなければ ベンチディップス が 同じ押す動きの代わりになります。アメリカとオーストラリアの大学の研究チームが、レジスタンス運動の経験がある成人27人を対象に、通常のベンチプレスと肩峰間距離の95%まで狭めたベンチプレスをバーの軌道を追う機器で比べたところ、1回で挙げられる重量は通常の手幅のほうが大きかった一方、狭い手幅のほうがバーの上がる速度とパワーは高く出たとしている。

出典

  1. 論文・英語 Muyor JM ほか(2023) Comparison of Muscle Activity between the Horizontal Bench Press and the Seated Chest Press Exercises Using Several Grips
  2. 論文・英語 Lockie RG ほか(2017) An Investigation of the Mechanics and Sticking Region of a One-Repetition Maximum Close-Grip Bench Press versus the Traditional Bench Press
  3. 動画・英語 BarBend Close-Grip Bench Press Guide | 3 Mistakes to AVOID
  4. 動画・英語 ScottHermanFitness HOW TO: Close-Grip Bench Press (TRICEPS BUILDER) || PERFECT FORM
  5. 動画 タロー・トレーニング強化書 【ナローベンチプレス】上腕三頭筋が効率よく鍛えられる理由とフォーム解説

解説動画: 負荷を逃さないクローズグリップベンチプレス:三頭筋に集中させる角度と姿勢/ザ・きんにくTV 【The Muscle TV】

概要: 手幅を狭くしたベンチプレスは肘の曲げ伸ばしが主体になるので上腕三頭筋が働きやすい。通常のベンチプレスのように肘を開くと胸の動きになるため、脇を閉じて押すのが基本になる。ただし三頭筋のプレス系種目は肩の関与が大きくなると負荷が逃げやすいという弱点があり、それを消すためのセッティングを順に解説していく。

スミスマシンをデクラインで使う: 使うのは軌道が斜めになっているスミスマシン。ベンチを頭側が低いデクライン気味にセットし、斜め下へ押し出す軌道をつくる。三頭筋は真っすぐ押すよりやや下向きに押した方が入りやすいためで、シートを上げすぎても、逆にフラットにしても効きが落ちる。いろいろ試した結果この角度に落ち着いた、という紹介の仕方をしている。

足はベンチに上げる: 足を床につけると体が反り、肩が後ろに逃げて動作が肩主導になる。足をベンチの上に上げてしまうと肩が動かず、肘の屈伸だけで押せるので三頭筋に負荷が集まる。押すときに胸を開かず、肩をすぼめるのも同じ狙いで、胸を開いて押すと肩の動きに変わってしまう。

グリップとバーの位置: 親指を外したサムレスグリップで握り、手首を軽く返してバーを小指側の手のひらに乗せる。バーは真っすぐ握るより、ハの字気味の自然な角度にすると肩に入りにくい。バーの高さは自分が肘を曲げたときに自然に来る位置へ合わせ、そこから上下させない。可動域はやや狭めにとって負荷を抜かないようにすると、最後まで粘れて肘にも痛みが出にくい。

解説動画(海外・英語): HOW TO: Close-Grip Bench Press (TRICEPS BUILDER) || PERFECT FORM/ScottHermanFitness

三頭の3つの頭をまとめて狙える、ただし名前に騙されやすい: ScottHermanFitnessは、上腕三頭筋を大きくする種目としてクローズグリップ・ベンチプレス(日本で言うナローベンチプレス)を挙げ、三頭筋の3つの頭すべてを狙える種目なので候補の筆頭に置くべきだと言う。ところが皮肉なことに、種目名そのものが原因で多くの人がこれを間違ったやり方でやってしまうという。「クローズ(近い)」という言葉に引っ張られて手を極端に寄せてしまうからだ。動画ではこの点を含む3つの黄金ルールを順に説明していく。日本語の「ナロー」という呼び方でも、狭さの度合いについての誤解はまったく同じように起こりやすい。

構えは通常のベンチプレスとまったく同じでいい: 黄金ルールの1つ目は、セットアップを普通のベンチプレスと同じにすること。具体的には肩甲骨を寄せて下げ、背中にアーチを作り、尻をベンチにしっかり着け、足は床を踏んで膝を外に押し出す。この4点はナローだからといって変える必要はない、というのが動画の主張で、まず通常のベンチプレスを習得してからこの種目に入ってほしい、という順番も示している。土台が崩れたまま手幅だけ狭くしても、狙った三頭に効かせるどころかバーの軌道そのものが安定しない。

「ナロー」でも手幅は肩幅、手首は少し寝かせる: 2つ目のルールは手を近づけ過ぎないこと。名前がクローズグリップだからといって、両手をくっつける必要はまったくない。手幅が狭すぎるとバーを上げ下げする間のバランスを取るのが非常に難しくなり、結果として重い重量を扱えなくなる。目安は肩幅程度で十分だという。あわせて、手首を完全に真っ直ぐ立てず、少し後ろに寝かせておくことを勧めている。こうするとバーが手のひらの上に安定して収まり、体幹の上を上下させる軌道を作りやすくなる。

肘は体をこすらせる、開いたらただのベンチプレス: 3つ目は肘の位置。1レップごとに、上げるときも下げるときも肘が体側をこするような感覚で締めておく。こうするとバーが胸の上ではなく体幹の上を通る軌道になり、三頭に負荷が乗る。よくある失敗は、疲れてくると肘が外に開き、それにつれてバーの位置が頭側へずれていくこと。そうなると実質的にはバーベルベンチプレスの一種をやっているだけで、ナローベンチプレスにはなっていないと指摘する。重すぎる重量で組んでいるなら、見栄を捨てて重量を落とし、フォームを詰めたほうが三頭への刺激は最大になるというのが締めくくり。動画では通常のベンチプレスの解説も併せて見るよう案内している。