くし形切り
切る
くし形切りは、丸みのある食材を放射状に切り分ける定番の切り方です。中心の一点に向かって切ることで、見た目も扱いやすさも整います。
使いどころ
トマト、玉ねぎ、じゃがいも、レモンなど丸みのある食材を放射状に分けたいときに使います。給食施設などの調理現場で切る時間を測った学会要旨(山本・澤井, 2025)では、玉ねぎ1kgのくし切りが平均1分12秒、スライスは1分30秒でした(洗い始めから器具を洗い終えるまで、手切りが中心)。量を0.5〜4kgに変えた続報(2026)では、時間は延びたものの、単純な比例ではありませんでした。
やり方
食材を縦半分に切り、切り口を下にして安定させてから、中心に向かって放射状に切り込みを入れます。分割数は食材の大きさに応じて6〜8等分程度が目安です。玉ねぎは芯を残したまま切ると、ばらけずに扱いやすくなります。トマトのようにへたが硬い食材は、先にへたをくり抜くと仕上がりがきれいになります。
コツ・注意
玉ねぎを切れ味の違う2種類の包丁で切り比べた東京海洋大学などの実験(2014)では、切れ味の良いほうが辛味の目安になるピルビン酸の生成が少なくなりました。トマトは、13品種すべてで、種を含む内側のパルプのほうがグルタミン酸が多く(平均4.56g/kg、外側の果肉は1.26g/kg)、くし形ならパルプも果肉と一緒に残せます。
出典
- 論文 山本百合香・澤井哲人(ヴィラ播磨)、日本調理科学会大会の研究発表要旨(2025) 調理現場における食材切り込み業務の数値化と時間効率化への基礎的検討
- 論文 山本百合香(介護老人福祉施設ヴィラ播磨)、日本調理科学会大会の研究発表要旨(2026) 調理現場における食材切り込み業務の重量別作業時間の検討
- 論文 関佐知ほか(東京海洋大学ほか)、日本食品科学工学会誌(2014) 切断操作が及ぼす食材へのダメージ評価
- 論文・英語 Oruna-Concha MJ ほか、Journal of Agricultural and Food Chemistry(2007) Differences in glutamic acid and 5'-ribonucleotide contents between flesh and pulp of tomatoes and the relationship with umami taste