調理の技図鑑

千切り(切る)

千切りは、細さよりも太さの均一さが大事な切り方です。サラダ、和え物、汁の実、炒め物の下ごしらえ。火の通りを速くし、生なら食感を軽くするための切り方です。英語の料理チャンネル Evolving Table は、フランス料理の julienne(ジュリエンヌ)を…

みじん切り(切る)

みじん切りは、叩くのではなく刃で切る技術です。香味野菜の下ごしらえ全般。玉ねぎ、にんにく、しょうが。細かいほど香りと味が全体に回ります。

乱切り(切る)

乱切りは、不揃いに見えて実は表面積を揃えている切り方です。煮物、炒め物、カレー。にんじん、ごぼう、なす、きゅうり。

面取り(下ごしらえ)

面取りは、角から始まる煮崩れを防ぐ下ごしらえです。煮物にする根菜(大根、じゃがいも、にんじん、かぼちゃ)。長く煮るものほど効きます。

板ずり(下ごしらえ)

板ずりは、塩をまぶしてまな板の上で転がす下ごしらえです。きゅうり、オクラ、ふきなど、表面に産毛やイボがある野菜。和え物・酢の物・浅漬けの下ごしらえに向きます。オクラは、ネットに入れたまま流水でこすり洗いすれば産毛が取れて板ずりを省ける、とシクロエの家(料理系チャンネル)が説明しています。

塩を振って水を出す(下ごしらえ)

塩を振って水を出すと、魚の生臭さが水分と一緒に抜けていきます。魚の切り身や開き、青魚全般。野菜の塩もみも原理は同じです。Lydia Walshin(YouTube)はズッキーニの薄切りに塩をふって約20分置き、洗って水気を拭いてから炒めるとしています。塩をふらずに炒めると、水が出て蒸し焼きになるからです。…

湯通し・霜降り(下ごしらえ)

湯通し・霜降りは、熱湯にくぐらせてから氷水に取る下ごしらえです。肉や魚のアク・臭み・余分な脂を落とす。煮物や汁物の下ごしらえ。

予熱と、動かさないこと(焼く・炒める)

予熱を取り、動かさずに待つのは、温度が低いと食材がくっつくからです。肉や魚を焼くとき、炒め物を始めるとき。フライパン調理のほぼすべて。

煮切り(煮る・蒸す)

煮切りは、酒とみりんのアルコールを飛ばす工程です。和え衣、ドレッシング、たれ。加熱時間が短い料理で酒やみりんを使うとき。

二度揚げ(揚げる)

二度揚げは、低温で中まで火を通し、高温で表面を仕上げる揚げ方です。唐揚げ、とんかつ、フライドポテト。厚みのあるものを、中まで火を通しつつ表面をカリッとさせたいとき。Joshua Weissman(YouTube)は、ポテトを下ゆでして低めの油で一度揚げ、凍らせてからもう一度揚げる作り方を紹介しています。…

そぎ切り(切る)

そぎ切りは、包丁を寝かせて薄く削ぐように切る切り方です。厚みが不揃いな食材でも、火の通りと断面の大きさをそろえられます。鶏むね肉やしいたけ、白身魚など、厚みが不揃いな食材に用いる切り方です。刺身のように断面を大きく見せたいときや、厚みを薄く均一にしたいときに選びます。炒め物や鍋物で鶏むねを使うときにも役立ち…

輪切りと半月切り(切る)

輪切りと半月切りは、筒状の野菜を丸いまま切るか、半分にして切る切り方です。太さのある野菜を、料理や器の大きさに応じて選び分けます。大根、にんじん、きゅうり、れんこんなど太さのある筒状の野菜に使う切り方です。輪切りは断面の丸い形を生かしたい煮物に、半月切りは食べやすい大きさにしたい炒め物に向いています。同じ食材でも…

くし形切り(切る)

くし形切りは、丸みのある食材を放射状に切り分ける定番の切り方です。中心の一点に向かって切ることで、見た目も扱いやすさも整います。トマト、玉ねぎ、じゃがいも、レモンなど丸みのある食材を放射状に分けたいときに使います。給食施設などの調理現場で切る時間を測った学会要旨(山本・澤井, 2025)では…

小口切り(切る)

小口切りは、ねぎやオクラのような細い筒状の野菜を端から薄く刻む切り方です。香りや彩りを添える薬味に仕上げます。ねぎ、オクラ、きゅうりなど細く筒状の食材を、端から薄い輪切りにする切り方です。香りや彩りを添える薬味として使うことが多く、加熱調理よりも仕上げに使う場面が目立ちます。…

かつらむき(切る)

かつらむきは、大根を途切れさせずに一枚の薄い帯にむき続ける技術です。和食の包丁さばきを象徴する高度な技術でもあります。大根やにんじんを、薄い一枚の帯状にむく技術です。むいた帯は刺身のつまにしたり、刻んで千切りにしたりします。椙山女学園大学の論文は、日本料理を志す料理人が最初に習う基本の剥き方で…

隠し包丁(切る)

隠し包丁は、盛り付けたときに見えない裏側へ切り込みを入れる技術です。ひと筋の切り込みで、火の通りと味のしみ込みをひそかに助けます。いか、れんこん、里芋、豚バラの厚い部分など、火が通りにくい・味がしみにくい食材に使う技術です。表からは見えない裏側や内側に切り込みを入れ、見た目を変えず火を助けます。…

繊維に沿うか断つか(切る)

繊維に沿うか断つかは、切る向きで口当たりが変わる考え方です。同じ包丁を使っていても、繊維を断つように切るか沿わせるように切るかで、口当たりの印象が大きく変わります。肉と野菜のどちらにも共通する切り方の考え方です。繊維を断つように切るか、繊維に沿って切るかで、口当たりが大きく変わります。牛肉や豚肉の薄切り…

下味を付ける(下ごしらえ)

下味は、味を入れるだけでなく、余分な水分や臭みを抜く効果もある下ごしらえです。焼く・揚げるなどの加熱に入る前に、塩や調味料を含ませておきます。肉や魚を加熱調理の前に、塩や醤油、酒、香味野菜などに漬けておく工程です。鶏ももや豚バラなど、そのままでは味が入りにくい厚みのある食材でよく使われます。…

小麦粉をまぶす(下ごしらえ)

小麦粉をまぶすと、身がパサつきにくくなり、程よい焼き色もつきやすくなります。食材の表面に薄い粉の膜を作る、焼く・揚げる前の下ごしらえです。肉や魚に小麦粉(薄力・中力・強力)を薄くまぶしてから焼く・揚げる・煮る工程です。ムニエルや唐揚げ、肉じゃがなど、表面に薄い膜を作りたい料理全般で使われます。…

アク抜き(下ごしらえ)

アク抜きは、切った野菜をしばらく水にさらす工程です。切り口の変色や苦み・えぐみを、あらかじめ抑えておきます。なす、ごぼう、じゃがいも、山菜など、切り口が変色したり、苦みが出やすい野菜に使う工程です。じゃがいもは特に、切ってそのまま置くと切り口が黒ずみやすい食材です。炒め物や揚げ物にする前の下ごしらえとして…

乾物を戻す(下ごしらえ)

乾物を戻すには、時間をかけてもとの食感に近い状態まで水を含ませます。乾燥させて保存してある食材を、調理できる状態に戻す工程です。昆布や干ししいたけ、切り干し大根、ひじきなど、乾燥させて保存する乾物を、水やぬるま湯で元の食感に近づける工程です。乾物は保存性を高めるために水分を抜いてあるため…

臭み取り(下ごしらえ)

臭み取りは、肉や魚、レバーなどの独特のにおいを減らす下ごしらえの総称です。食材ごとに合った方法で減らしておきます。肉や魚、レバーなど特有のにおいが気になる食材から、そのにおいの成分を減らす工程の総称です。塩を振って水を出すや湯通し・霜降りも、臭み取りの具体的な方法のひとつにあたり、食材によって向く方法が異なります。…

筋切り(下ごしらえ)

筋切りは、肉の脂身と赤身の境目にある筋へ切り込みを入れる工程です。あらかじめ入れておくと、焼いたときに反り返るのを防げます。鶏ももや豚肉、牛肉のステーキ用の肉など、脂身と赤身の境目に筋がある肉に使う工程です。食品メーカーの日本ハムは、加熱で赤身と脂の縮み方が違うため肉が反り返ると説明します。…

塩ゆで(下ごしらえ)

塩ゆでは、青菜やパスタをゆでる湯にあらかじめ塩を溶かす工程です。加熱と同時に、下味と色止めを済ませてしまいます。ほうれん草やいんげんなどの青菜・青野菜、パスタや枝豆など、下味と色止めを兼ねさせたいときに使います。素材そのものに下味をつけておくことで、後の調味を控えめにできるという利点もあります。単に加熱するだけでなく…

冷やして締める(下ごしらえ)

冷やして締めると、余熱を止めながら食感をもう一段引き締められます。加熱した直後の食材を冷水へくぐらせる仕上げの工程です。ゆでたそうめんやそば、しゃぶしゃぶ用の肉、霜降りの仕上げなど、加熱の直後に食感や見た目を整えたいときに使う工程です。加熱と冷却をひと続きの工程として扱うことで…

強火で短時間仕上げる(焼く・炒める)

強火で短時間仕上げるのは、食材の水分が出るより先に火を通し切るためです。青菜のソテー、チャーハン、薄切り肉やもやしの炒め物など、短時間で仕上げたい炒め物全般に向く火の入れ方です。火が通る前に水分が出てしまうと、炒め物ではなく煮浸しに近い仕上がりになります。玉ねぎのような水分の多い野菜ほど、この違いが仕上がりに出ますし…

弱火でじっくり火を入れる(焼く・炒める)

弱火でじっくり火を入れるのは、急がないほうがうまくいく食材があるからです。卵料理、白身魚のムニエル、鶏むねのように硬くなりやすいたんぱく質、玉ねぎを飴色にする作業など、時間をかけたほうが結果として良くなる調理に使う火加減です。焦げやすい調味料を含む下味のときや…

蓋をして蒸し焼きにする(焼く・炒める)

蓋をして蒸し焼きにするのは、焼くだけでは届かない中心まで湯気で火を通すためです。厚みのある鶏ももやハンバーグ、餃子、丸ごとの野菜など、表面だけでは中心まで火が届きにくい食材に使う方法です。少ない油で調理できるため、揚げ物より軽い仕上がりを狙うときにも使われます。オーブンを使わずコンロだけで…

フライパンを振る、振らない(焼く・炒める)

フライパンを振るのは、食材を混ぜるためではありません。チャーハンや野菜炒めのように食材を宙で返す動作が向く料理がある一方、ステーキや魚の切り身のように一度置いたら動かさないほうが良い焼き色が付く料理もあります。Jamie Oliver(YouTube)は、振る目的は見た目の派手さではなく…

焼き色とメイラード反応(焼く・炒める)

焼き色とメイラード反応は、食材の表面が茶色くなる、焦げる一歩手前の化学反応です。肉や魚を焼いたときに表面が茶色く色づく現象全般に関わる話で、ステーキ、ハンバーグ、鶏ももの皮目を焼く工程など、香ばしさそのものを目的にする場面で理解しておくと火加減の判断がしやすくなります。パンを焼いたときの焼き色や…

焼いた肉を休ませる(焼く・炒める)

焼いた肉を休ませるのは、切るのを我慢すると肉汁が逃げないからです。ステーキやローストビーフ、厚めに切った豚バラのブロック焼きなど、焼き上がった直後に切ると肉汁が流れ出る厚みのある肉料理に使う工程です。薄切り肉や鶏むねのようにすぐ火が通る食材では、あまり効果を感じませんが…

落とし蓋(煮る・蒸す)

落とし蓋は、鍋より小さい蓋を使って煮汁を全体に回す道具です。煮物全般、特にじゃがいもや大根、かぼちゃなど煮崩れしやすく味がしみにくい根菜に使う道具です。少ない煮汁でも食材全体に味を行き渡らせたいときや、煮汁を煮詰めて照りを出したい煮魚のような料理にも向いています。和風の煮物だけでなく…

下ゆで(煮る・蒸す)

下ゆでは、本番の前にあくと硬さを片付けておく下ごしらえです。大根、じゃがいも、ごぼう、たけのこなど味がしみにくくあくを持つ根菜を煮物にする前段階として行います。米のとぎ汁でゆでる大根のあく抜きも、この工程の一種で、あくの強い山菜や豆類でも同じ考え方が使われます。肉や魚の臭みを抜く湯通し・霜降りとは目的が異なり…

煮汁の量(煮る・蒸す)

煮汁の量は、ひたひたにするかたっぷりにするかで仕上がりが変わる、煮物の分かれ目です。煮物全般に関わる考え方で、じゃがいもや大根の含め煮のように少ない煮汁でじっくり味を含ませる料理と、汁自体を飲む煮魚やおでんのようにたっぷりの煮汁を前提にする料理とでは、必要な量がまったく違います。…

蒸し器の使い方(煮る・蒸す)

蒸し器の使い方は、沸騰した湯にではなく蒸気で火を通すことです。茶碗蒸し、しゅうまい、豆腐を使った蒸し料理、蒸し野菜など、直接お湯に触れさせず均一な温度で通す料理に使う道具です。茹でるより水っぽくならず、食材本来の味や栄養が煮汁に溶け出しにくいという特徴もあります。電子レンジの加熱と違い…

沸かさずに火を入れる(煮る・蒸す)

沸かさずに火を入れるのは、ぐらぐら煮ると固まってしまう食材があるからです。温泉卵、茶碗蒸し、だしで温める料理など卵液のように高温で分離やすが入る食材に使う火加減です。卵を使う蒸し物のほとんどがこの考え方に当てはまり、なめらかな口当たりを目指す料理ほど、温度管理の丁寧さが仕上がりに直結します。…

油温の見分け方(揚げる)

油温の見分け方は、温度計がなくても泡と音で分かります。唐揚げ、天ぷら、フライなど仕上がりが油の温度に左右される揚げ物全般で必要になる見極めです。温度計を使わない場合でも、衣のかけらや菜箸を使えば十分な精度で判断でき、揚げている途中の温度の変化にも気づきやすくなります。初めて揚げ物をするときほど…

衣の付け方(揚げる)

衣の付け方は、混ぜすぎないことがサクサクに仕上がるかどうかの分かれ目です。とんかつ、フライ、天ぷらなど衣の食感が仕上がりを左右する揚げ物に関わる工程です。塩や下味を先につけるか衣の中に混ぜるかでも、仕上がりの塩気の入り方や衣の付きやすさが変わります。同じ食材でも、衣の付け方ひとつで軽い食感になるか…

揚げ油の量(揚げる)

揚げ油の量は、揚げ焼きにするかたっぷりの油を使うかで別の技術になります。唐揚げやコロッケのように鍋にたっぷり油を張って揚げる方法と、豚バラのとんかつを少ない油で揚げ焼きにする方法とでは、必要な油の深さと返す手間がまったく違います。どちらも同じ「揚げる」に分類されますが、必要な道具や後片付けの手間まで変わってきます。

揚げ油の管理(揚げる)

揚げ油の管理は、使い終わった油をそのまま次に使えるとは限らない前提で行います。揚げ物を作ったあとの油をどう扱うかという話で、繰り返し使うほど酸化が進む性質を踏まえた管理を指します。天ぷらや唐揚げなど、まとまった量の油を使う揚げ物全般に関わり、風味だけでなく体への負担にも関係すると言われています。…