ヘクソカズラ
夏に出る草
触れたときの扱い: 樹液・毛・汁に注意(触れたら洗う) / 見ごろ: 夏(7〜8月)
白い筒の奥が赤紫に染まる、小さな花です。標準和名もヘクソカズラで、名のとおり、葉や茎をちぎると硫黄めいたにおいが立ちます。
ここだけ見る(決め手)
花の中心を見ます。長さ1cmほどの白い筒の先が5つに開き、のどの奥だけが赤紫に染まって毛が生えます。この模様から、ヤイトバナという別名が付きました。葉は葉序でいえば対生で、向かい合って2枚ずつ付く細長い三角形です。もう一つの決め手はにおいで、葉を1枚ちぎって指でこすると、青臭さに硫黄の混じったにおいが立ちます。
いつ、どこに出るか
花は7月から8月、実は秋から冬まで残ります。フェンス、ガードレール、空き地の草の上など、支えのある日なたに出て、蔓はほかの草に巻きついて登ります。冬に葉が落ちても直径5mmほどの黄褐色の実が枯れ蔓に付いたまま残り、カラスウリの朱い実と並んで冬の目印になります。街なかでは、管理の切れた生垣で目に付きます。
よく似た草との違い
同じフェンスに絡む相手と比べます。スイカズラは花が唇の形に大きく開き、白から黄へ色が変わり、筒の奥は赤紫になりません。ガガイモは星形に5裂した花に毛が密生し、葉はハート形です。どちらもちぎっても、このにおいは出ません。ヤブガラシは小葉が5枚で、花が平たい橙色の花盤になる点で外れます。においと花の形の二つで足ります。
触れたらどうなるか
問題になるのは、ちぎったときに出る汁とにおいです。傷んだ組織では、含まれるペデロシドが酵素で分解されて硫黄を含む化合物に変わり、これがにおいの正体になります。指に付いた汁のにおいは水だけでは落ちにくく、しばらく残ります。確かめるのは葉を1枚こするだけにとどめ、石けんで洗います。汁で肌が赤くなる例は、刺激性接触皮膚炎として扱われます。
増え方
蔓と種の両方でふえます。地下茎が浅い土を横に走り、離れた場所から新しい蔓が立ち上がります。地上ではほかの草の茎に巻きついて支えを乗り換え、生垣の天面まで届きます。秋の実は乾いても落ちずに冬を越し、鳥がついばんで運びます。蔓を引くと途中で切れるので、土に残った部分から翌年また出ます。太さではクズに及びませんが、戻り方はよく似ています。