しし座

春の星座

見え方: 肉眼で見える

しし座は、春の宵に高く昇る裏返したクエスチョンマーク形の大鎌が目じるしの星座です。

形のたどりかた

前半身と後半身の二部で組み立てます。まず裏返したクエスチョンマークをさがします。これがししの大鎌と呼ばれる六つの星の並びで、鉤の曲がったところが獅子の顔、その先端で光るのがレグルスです。大鎌の縦の長さはおよそ15度あります。次にレグルスから東へ手のひら二つぶんほど目を移すと、デネボラを頂点とする直角三角形が現れます。ここが腰から尾にあたり、大鎌と三角形を合わせた東西の幅は約25度になります。

目じるしになる星

レグルスは1.4等の白い星で、獅子の心臓にあたる位置にあります。黄道からの隔たりが0.5度たらずと小さく、月や惑星が近くを通ることのある星です。大鎌の中ほどで光るアルギエバは2.0等の橙色で、二つの星が寄り添う二重星でもあります。三角形の東の頂点にあるデネボラは2.1等、獅子の尾を意味する名です。三角形の残り二つは3等台で、光害のある空では先にここから欠けます。明るい三つは鎌の先、たてがみ、尾に離れて置かれています。

見ごろの時期と南中高度

国立天文台の星座の位置の目安では、東京で20時ごろに中心が南中するのは4月下旬です。同じ位置へ来るのは2月下旬なら真夜中ごろ、6月なら日没直後で、宵に南の高いところで見るなら春の半ばが本番になります。レグルスの赤緯はおよそ北緯12度(理科年表)ですから、北緯35度の東京では南中高度が約66度、頭の真上に近い高さまで上がります。札幌では約59度、那覇では約76度です。宵の南で高く見られる期間は二か月ほどです。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

大鎌の主要な星は市街地でも追えます。レグルスとデネボラが1等から2等あり、肉眼の限界等級が4等ほどの街の空でも残るためです。ただし三角形の内側や獅子の胸元に散る3等より暗い星は消え、鎌の形だけが宙に浮いて見えます。夜空の明るさが下がった郊外へ出ると腹側の星までそろい、四つ足の姿として結べるようになります。緯度による制約は小さく、日本のどこからでも高く上がる星座です。南の空がふさがった場所からでも探せる高さにあります。

星座の中の見どころ

双眼鏡で増えるものが少ない星座です。写真でよく出る三つ子銀河のうち、M65とM66は9等前後(理科年表)で長さ10分角ほどの淡い広がりにすぎず、7倍の双眼鏡ではほとんど何も現れません。獅子の腹の下に並ぶM95とM96も同じで、9等台の面に散った光は街の空では背景に沈みます。しし座流星群の放射点は大鎌の付け根あたりにありますが、周期と当たり年の考え方はしし座流星群の項にあります。

名前と物語

由来

ギリシャ神話では、武器を通さない毛皮を持つネメアの獅子と伝わります。半神ヘラクレスに課された十二の功業の最初がこの獅子で、矢も剣も刃が立たず、最後は素手で首を絞めて仕留めたとされます。倒した獅子の皮は、その爪だけがはがせたためヘラクレスの鎧になったと伝わり、姿は功績の記念として星座に上げられたという話が後世の資料に残っています。

正体と距離

大鎌と三角形をつくる星々は、たまたま同じ方向に見えているだけで、実際の距離はばらばらです。レグルスは約79光年先にある星で、伴星を含む多重星系だと分かっています。三角形の頂点のデネボラは約36光年とレグルスよりずっと近く、両者のあいだに直接のつながりはありません。獅子の姿は、奥行きの違う星を平面に投影した見かけの並びにすぎません。

変わるもの

レグルスとデネボラは見かけの位置が近くても、天球上を動く速さも向きも別々です。固有運動によって、大鎌と三角形が今のかたちに見えるのは限られた時代だけで、十万年ほどの単位で見ると、獅子の輪郭は少しずつ崩れていきます。人の一生で気づける変化ではありませんが、星の位置の記録を比べると、その動きの跡はすでにたどれます。