はくちょう座

夏の星座

見え方: 肉眼で見える

はくちょう座は、天の川の真上に立つデネブを頂点にした大きな十字が目じるしの星座です。

形のたどりかた

先に十字を組み立てます。夏の大三角のうち、天の川の中に立つ1.3等の星がデネブで、ここが十字の頭にあたります。デネブから天の川に沿って南西へおよそ22度下ると、3等のアルビレオに届き、この線が縦棒になります。縦棒の三分の一ほど下、2.2等のサドルで交わる横棒が、東西へ広がる翼です。白鳥の姿は縦棒を首と胴、横棒を翼と読み替えてから重ねます。

目じるしになる星

約1.3等のデネブが、この星座でただ一つの1等星です。こと座のベガ、わし座のアルタイルと結ぶと夏の大三角になり、三つのうち最も暗く、最も北にある頂点がデネブにあたります。くちばしの位置にあるアルビレオは3.1等で、肉眼では一つの星ですが、十字の足の先という位置で覚えられます。翼の付け根のサドルは2.2等で、天の川が最も濃く重なる場所に乗っています。

見ごろの時期と南中高度

国立天文台の位置の目安では、9月下旬の20時ごろに南中します。デネブの赤緯は約+45度で、北緯35度なら南中高度は約80度、頭の真上をわずかに北へ外した高さに来ます。天頂に近いぶん大気減光は小さく、立ったままよりも寝ころんだ姿勢のほうが十字をたどりやすい位置です。7月なら深夜、11月の宵にはまだ西の空に残っています。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

デネブは北緯35度で一年中沈まないため、緯度よりも空の明るさが効きます。市街地でもデネブと2.2等のサドルは残り、十字の骨組みだけは追えます。翼の先の3等星から下は光害の中に沈み、天の川と暗い裂け目は街の方角に向いた空では現れません。環境省の星空観察は雲のない夜を条件に置いており、同じ場所でも薄雲と湿り気で見える星の数は変わります。

星座の中の見どころ

アルビレオは離角35秒角の対で、7倍の双眼鏡では細長い一つの光、10倍で橙と青みの二粒に分かれます。デネブの東には4.6等のM39があり、双眼鏡では数十個の星がまばらに散る三角形として見えます。デネブから北アメリカ星雲の方向へ伸びる暗い帯は大裂け目と呼ばれる暗黒星雲で、星雲そのものは写真の対象、目に映るのは天の川が裂けて見える形のほうです。

名前と物語

由来

ギリシャ神話では、太陽神の子パエトーンの友人キュクノスと伝わります。父の馬車を御しきれず雷で撃ち落とされたパエトーンを悼み、キュクノスは亡骸を探して川に何度も潜り続けたとされます。その嘆きを見たゼウスが白鳥に姿を変えて自在に潜れるようにし、最後には星座として空に上げたという話が伝わっています。

正体と距離

デネブの正体は、いまも決着していません。年周視差が小さすぎて測るのが難しく、距離は約1400光年から2600光年まで、研究によって数字が大きく割れています。仮に近いほうの数字でも、太陽の5万倍を超える明るさの白色超巨星で、夏の大三角のなかで並外れて遠いことだけは共通しています。近い将来、より精密な観測でこの幅が狭まることが期待されています。