いるか座

夏の星座

見え方: 空が暗ければ肉眼で

いるか座は、四星のひし形と尾の一星で小さくまとまり、一度見つけると忘れない星座です。

形のたどりかた

わし座のアルタイルから東へ約17度進むと、一辺3度に満たないひし形が見つかります。四星が作るこのひし形が体で、南西の一星を尾として足すと、跳ねる姿になります。形が小さくまとまっているぶん周りの星と紛れにくく、次から見つけ直すのが速い星座です。星の並びが単純なので、街から郊外へ出た夜の確かめにも使えます。

目じるしになる星

わし座のアルタイルから東に見えるひし形の、西側に並ぶ二星がα星スアロキンとβ星ロタネフで、3.8等と3.6等です。この二つの名前は、逆から読むとニコラウス・ウェナトルという人名になります。パレルモ天文台の助手だったニッコロ・カッチャトーレが1814年に自らのラテン名を星表に書き入れたもので、古代からの星名ではありません。残る二星は4.3等と4.4等です。

見ごろの時期と南中高度

国立天文台の位置の目安では、9月下旬の20時ごろに南中します。β星の赤緯は約+15度で、北緯35度なら南中高度は約70度です。夏の大三角が西へ傾いても、まだ高い位置に残るため、秋の初めの宵に見やすい星座になります。わし座のアルタイルが南中してからおよそ45分後に、この星座が同じ空の高さへ来ます。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

三段階で変わります。市街地では4等台の二星が消え、ひし形が閉じません。郊外の空なら四星と尾がそろい、肉眼でイルカの形になります。7倍の双眼鏡なら実視界が7度前後あり、ひし形が丸ごと一つの視野に収まります。緯度の差は小さく、北緯35度で南中高度が約70度、北緯43度でも約62度です。

星座の中の見どころ

明るい対象はありません。8.9等の球状星団NGC6934が最も知られていますが、50mmの双眼鏡では、暗い空でようやく淡い光の点として気づく程度です。視直径7分角と小さく、粒には分かれません。ひし形のγ星は4.3等と5.1等、離角9秒角の二重星ですが、アルビレオの35秒角の四分の一ほどしかなく、双眼鏡では開きません。望遠鏡で分離すると、主星は黄色、伴星は緑から薄い青までと報告が割れています。

出典

  1. 動画・英語 Learn the Sky How to Find Delphinus the Dolphin Constellation
  2. 動画・英語 Delta Planetarium The Constellations - Sagitta, Delphinus, and Vulpecula

名前と物語

由来

竪琴の名手アリオンを救ったイルカと伝わります。金貨を狙う船乗りたちに海へ落とされたアリオンが、最後にと頼んで奏でた調べにイルカが引き寄せられ、その背に乗せて岸まで運んだとされます。歴史家ヘロドトスも記録に残したこの逸話にちなみ、恩を惜しんだ神々がイルカを星座に上げたという話が伝わっています。別の言い伝えでは、海の女神アンピトリテに結婚を承諾させたイルカへの感謝で、ポセイドンが星座に上げたとされます。

正体と距離

ひし形を作る4星も距離はさまざまです。西どなりのロタネフは約101光年、スアロキンは約240光年先にあり、倍以上の開きがあります。近いロタネフのほうが暗く、遠いスアロキンのほうがわずかに明るく見えるのは、本来の明るさそのものがスアロキンのほうがずっと強いためです。同じひし形に見えても、それぞれの星が背負っている正体はまったく別々です。

変わるもの

小さくまとまって見えるひし形も、4星がそれぞれ別の向きへ天球上を動いています。とくにロタネフとスアロキンは実際の距離も大きく違うため、天球上を動く速さもそろいません。長い時間軸で見れば、いまのきれいなひし形は少しずつゆがみ、跳ねるイルカの輪郭も違う形へ変わっていくと考えられています。