へびつかい座

夏の星座

見え方: 空が暗ければ肉眼で

へびつかい座は、全天11位の面積を持ちながら、目じるしになる明るい星がない星座です。

形のたどりかた

頭のラスアルハゲから始めます。こと座のベガの南、2.1等の星が頭の頂点で、そこから南へ下がる細長い五角形が体にあたります。将棋の駒を大きく引き伸ばした形と見ると、肩の二星と腰の二星の並びが決まります。駒の下の辺は南の低い空にあり、さそり座の頭のすぐ上に来ます。体の左右を横切る星の列はへび座で、この星座の線ではありません。

目じるしになる星

頭のラスアルハゲが2.1等で、この星座で最も明るい星です。ベガから南へ約30度下った、わずかに赤みのある星がそれにあたります。二番目は肩のケバルライで2.8等、あとは3等台と4等台が広い面積に散っているだけです。明るい星の少なさそのものが目じるしで、さそり座の赤いアンタレスとこと座のベガに挟まれた、星の薄い一帯を探すほうが早く届きます。面積は948平方度あります。

見ごろの時期と南中高度

国立天文台の位置の目安では、8月上旬の20時ごろが南中です。頭のラスアルハゲは赤緯約+13度で、北緯35度なら南中高度は約68度まで上がります。ところが足元は赤緯-25度あたりまで下がるため、同じ星座でも南中高度が30度ほどの部分が残り、低い空の大気減光で暗くなります。南の地平まで開けた場所を選ぶと、全体が視野に入ります。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

頭の側は市街地でも2等星が残りますが、五角形を閉じるには4等星まで要るため、星の見える空でなければ形になりません。環境省の星空観察が扱う夜空の明るさの差が、そのまま形の欠けとして出る星座です。緯度の側は南に寄るほど有利で、北緯35度なら足元まで地平線の上に出ます。南の空に街の光が広がる場所では、下半分が明るさに沈みます。

星座の中の見どころ

球状星団の密集地です。6.6等のM10と6.7等のM12は3度しか離れておらず、双眼鏡の同じ視野に二つの丸いしみとして並びます。どちらも粒には分かれず、輪郭のぼやけた円のままです。頭の東にあるIC4665は4.2等の散開星団で、こちらは低倍率でもいくつかの星に分かれて見える違いがあります。太陽が12月に通る星座ですが、黄道十二宮には数えられていません。

名前と物語

由来

ギリシャ神話では、名医アスクレピオスと伝わります。太陽神アポロンの子として生まれ、賢者ケイロンから医術を学んだ末に、死者すら蘇らせるほどの腕を身につけたとされます。冥界の秩序を乱すことを恐れた冥王の訴えでゼウスに討たれましたが、その功績を惜しまれて星座に上げられ、いまも蛇を手にした姿で描かれているという話が伝わっています。

正体と距離

頭のラスアルハゲは約49光年と、比較的近い部類の星です。同じ星座の中には、肉眼には見えないバーナード星という6等より暗い星もあり、1年に10秒角という、恒星の中でもきわだって速い動きで天球上を移動しています。名の知られた明るい星ではなく、地味な暗い星のほうが、この星座でもっとも足の速い住人です。

変わるもの

バーナード星は、いまも太陽に近づき続けています。西暦12000年ごろには距離がおよそ3.75光年まで縮むと計算されていますが、そのころにはケンタウルス座の方向にあるプロキシマ・ケンタウリのほうがさらに近く、太陽にいちばん近い星の座は譲らないと考えられています。暗くて目立たない星の動きの速さが、この計算を可能にしています。