わし座

夏の星座

見え方: 肉眼で見える

わし座は、アルタイルと両隣の星がほぼ一直線に並ぶ短い三つ並びが目じるしの星座です。

形のたどりかた

明るい星の両隣に星が1つずつ、という三つ並びが入口です。夏の宵、南東の空で白く光るアルタイルの北西に約2.7等のγ星、南東に約3.7等のβ星があり、3つが短い直線に近く並びます。ここから南へ胴、東西へ翼を広げるとわしの形になります。こと座のベガから南東へ視線を送ると当たり、端から端で5度ほどと狭いため、街の空でも並びは残ります。国立天文台の一覧では88星座中9番目の広さで、面積は652.473平方度です。

目じるしになる星

アルタイル(約0.8等)が中心の星です。和名の「彦星」は七夕の伝えから来た呼び方で、天の川をはさんでこと座のベガと向かい合います。ベガ、はくちょう座のデネブと結ぶと夏の大三角になり、アルタイルはその南の頂点にあたります。赤緯はプラス8.9度と赤道に近く、東京の南中高度は約63度です。自転が速く、わずかにつぶれた形をしていることでも知られます。

見ごろの時期と南中高度

位置の目安は9月上旬の20時南中ですが(国立天文台の一覧)、7月なら薄明が終わるころに東の空、8月には南東から南へと、夏を通して見つけられます。赤緯がプラス8.9度なので南中高度は東京(北緯35.7度)で約63度、那覇で約72度、札幌でも約56度あり、日本のどこでも高い位置を通ります。南中前後の3時間ほどが天の川を見るのに向きます。

見える範囲(緯度と空の明るさ)

アルタイル自体は市街地でも見えます。0.8等は街の空に残る明るさで、両隣の2.7等と3.7等までなら郊外で拾えます。先に消えるのは天の川のほうで、空が明るくなると星の並びだけが残り、背景の帯が抜け落ちます。帯が肉眼で分かるのは、4等星から5等星まで見える空が目安です(夜空の明るさ)。月が出ていない時間帯を選ぶと差がはっきりします。

星座の中の見どころ

この星座の見どころは天の川そのものです。わしの体は帯の中にあり、双眼鏡を流すと視野いっぱいに細かい星が増えます。同時に黒く抜けた筋が縦に走っており、これは手前の暗黒星雲が奥の星の光をさえぎっているところです。写真のような色は出ず、目に届くのは白っぽい光と黒い切れ目の対比だけです(天の川は写真のように空を横切る)。南西のたて座側は、特に星が濃い一角です。

出典

  1. 公的機関 国立天文台 星座名・星座略符一覧(面積順)
  2. 資料・英語 Theoi Project Aetos Dios (The Eagle of Zeus)
  3. 論文・英語 Monnierら(Science)(2007) Imaging the Surface of Altair

名前と物語

由来

この鷲は、のちにみずがめ座になった美少年ガニュメーデースをさらった鳥と伝わります。もとはゼウスの雷を運ぶ役目を持つ鳥ともされ、稲妻の力とこの星座の関わりを示す話です。少年を無事にオリュンポスへ運んだ働きに報いて、ゼウスはこの鷲をそのまま星座として天に上げたとされています。神々のもとで酒を注ぐ役目を得た少年と、その空を運んだ鷲が、隣り合う星座として並んでいます。ヒュギヌスの『天文譚』は、王ペリファスが鷲に変えられた話も記します。

正体と距離

アルタイルは、知られている中でもとりわけ自転が速い星です。赤道での自転周期はわずか9時間ほどで、遠心力のために星の形は真球ではなく横に潰れています。地球から約17光年という近さもあって、2007年に米国のチームがCHARA干渉計で撮影した近赤外線の像では、赤道が極より約24%膨らんだ形と確かめられた、数少ない恒星の一つです。地球に近い1等星だからこそ、直接その形まで見きわめられました。