食材図鑑
トマト(野菜)
トマトは、加熱するとうま味の塊になる。生で食べる野菜という印象が強いですが、グルタミン酸を含む「うま味食材」でもあります。加熱すると、グルタミン酸と組むとうま味が強まるグアニル酸が増えます。農研機構の解説では、オーブン250℃で15分加熱したとき平均1.8倍に増えました。…
玉ねぎ(野菜)
玉ねぎは、切り方と時間の置き方で辛さも甘さも変わる。生では辛く、加熱すると甘くなる野菜です。辛みと涙の成分は、切って細胞が壊れたときに生まれるので、切り方と切ってからの時間で味が変わります。デンマークの大学のチームが切った玉ねぎの香りを120分測ると、涙の成分とその分解物は切って10分までが中心で、その後に増えた…
じゃがいも(野菜)
じゃがいもは、男爵とメークインで向く料理がまったく違う。品種で性質がはっきり違います。男爵はでんぷんが多くほくほく崩れるのでコロッケやポテトサラダ向き、メークインは粘りが強く煮崩れしにくいので煮物やカレー向きです(農畜産業振興機構の解説)。中国の研究チームが2品種を煮た実験では、煮るほど硬さが落ち…
牛バラ(肉の部位)
牛バラは、脂とうま味が多く、煮込むほど良くなる。あばら周りの部位で、赤身と脂が層になっているのが特徴です。日本食肉格付協会の部分肉規格では、前側の「かたばら」と後ろ側の「ともばら」に分かれます。焼肉の「カルビ」は部位名ではなくメニュー名で、日本では主に牛バラ肉を指すと全国焼肉協会は説明しています。…
牛モモ(肉の部位)
牛モモは、赤身が主体で、火を入れすぎると硬くパサつく。後ろ脚の付け根で、脂が少なく赤身が主体の部位です。ローストビーフやたたきに使われるのはここ。脂が少ないぶん、加熱しすぎると一気に硬くパサつきます。韓国の忠北大学のチームは、低脂肪のトップラウンド(もも)を脂の多いサーロインと70℃・40分の真空低温調理で比べ…
豚バラ(肉の部位)
豚バラは、薄切りとブロックで向く料理がまったく違う。豚のお腹の部分で、赤身と脂が三層になっているので三枚肉とも呼ばれます。肉屋のブライアン・メイヤーは Bon Appétit の動画で、豚を肩・ロース・バラ・ももの4つの大きな塊に分け、バラは主にベーコンになると説明しています。薄切りは炒め物から鍋まで…
鶏もも(肉の部位)
鶏ももは、脂と結合組織が多く、多少焼きすぎても硬くなりにくい。脚の部位で、脂と結合組織が多く、多少火を入れすぎても硬くなりにくいのが利点です。Adam Ragusea は動画で、むねは瞬発力の速筋が中心なのに対し、ももは立つために一日中働く遅筋が多く、血管・脂・結合組織も多いので、火の通り方が違うと説明しています。…
鶏むね(肉の部位)
鶏むねがパサつくのは、火を入れすぎることだけが原因だ。胸の部位で、脂が少なくたんぱく質が多いのが特徴です。安価で扱いやすい一方、加熱しすぎると水分が抜けてパサつきます。スウェーデンの Tornberg は論文で、筋原線維のたんぱく質は溶液中で45〜50℃でゲル化し…
卵(卵・乳・豆)
卵は、白身と黄身で固まる温度が違い、それが仕上がりを決める。白身と黄身で固まる温度が違うのが、卵料理の面白さと難しさの源です。英国の食品科学技術協会(IFST)は、白身は60℃、黄身は65℃で固まり、70℃で完全に固まると説明しています。その差を利用したのが温泉卵で、和洋女子大学などの研究では…
小麦粉(薄力・中力・強力)(乾物・粉)
小麦粉は、たんぱく質の量で薄力・中力・強力に分かれる。3種の違いはたんぱく質(グルテンのもと)の量です。成分表(100g・1等)では薄力粉8.3g、中力粉9.0g、強力粉11.8g。水を加えてこねるとグルテンができ、多いほど弾力と噛みごたえが強くなります。…
昆布(乾物・粉)
昆布は、うま味の正体グルタミン酸が最初に取り出された食材だ。グルタミン酸によるうま味の代表的な食材です。池田菊苗は1908年、乾燥昆布12kgを水で抽出してグルタミン酸の結晶を取り出し、その味を「うま味」と名づけました。Kuriharaの総説(2015)の表では…
豆腐(卵・乳・豆)
豆腐は、木綿と絹で作り方が違う。木綿は一度固めた豆乳を崩して圧搾し、水を抜いたもの。絹は濃い豆乳をそのまま型で固めたもので、水を抜いていません。成分表(100gあたり)の水分は木綿85.9g・絹ごし88.5g、たんぱく質は7.0gと5.3g。固めるのは、にがり(塩化マグネシウムが主体)や硫酸カルシウムなどの凝固剤。…
にんじん(野菜)
にんじんは、生でかじるより油で炒めたほうがβカロテンを吸収しやすい。βカロテンが非常に多い野菜で、脂に溶けやすい性質があるため、生でかじるより油で炒めるか揚げたほうが体への吸収率が上がるとされています。皮のすぐ下の層に香りと色味が集中しているため、皮は厚くむかず薄く削る程度にとどめると風味を残せます。…
キャベツ(野菜)
キャベツは、外側の葉ほど加熱向きで、中心の葉ほど生食向きの甘さになる。外側の葉は緑が濃く硬めで加熱向き、中心に近い葉ほど黄色く甘みが強くやわらかいという性質があります。芯の部分には胃の粘膜を保つとされる成分が多いとされ、捨てずに刻んで炒め物や汁物に使うのも一つの方法です。生のままだとシャキシャキとした食感が強く…
大根(野菜)
大根は、上部が甘くて生食向き、下部が辛くて加熱向きと部位で使い分けられる。同じ大根でも上部は水分が多く甘みが強いため生食向き、先端に近い下部は辛み成分が多く加熱向きという性質の違いがあります。中央はどちらの用途にも使える万能な部分です。すりおろすと消化を助けるとされる酵素が働きますが…
ほうれん草(野菜)
ほうれん草は、下ゆでしてシュウ酸のえぐみを抜くと食べやすくなる。シュウ酸というえぐみの成分を多く含む葉物野菜で、生のまま大量に食べ続けると体内でカルシウムと結びつき結石の原因になるとされています。鉄分が豊富な野菜として知られていますが、野菜由来の鉄は吸収されにくい非ヘム鉄なので…
なす(野菜)
なすは、果肉がスポンジ状で油をよく吸うため、揚げるととろける食感になる。果肉がすき間の多いスポンジ状の構造をしているため油をよく吸い、揚げると口当たりがとろりとなめらかになります。皮の紫色はナスニンというポリフェノールの色素で、変色を防ぐには水にさらすのが有効とされています。…
きゅうり(野菜)
きゅうりは、成分の9割以上が水分で、体を冷やす夏の食材とされてきた。成分の9割以上が水分という、野菜の中でも特に水分量の多い野菜です。それ自体に強い栄養価があるわけではありませんが、体を冷やす働きがあるとされ、暑い時季の食材として使われてきました。表面のイボや産毛には土や雑味が付きやすく、下処理で口当たりが変わります。…
ピーマン(野菜)
ピーマンは、苦みは皮側にあり、ワタや種にはむしろビタミンCが多く含まれる。苦み成分は主に皮に含まれ、ワタや種そのものはそれほど苦くありません。むしろワタには実の部分より多いビタミンCが含まれているとされ、丸ごと調理すれば無駄なく使えます。ビタミンCは加熱にも比較的強いタイプで…
ブロッコリー(野菜)
ブロッコリーは、房だけでなく茎にも同じくらいの栄養が詰まっている。花のつぼみが集まった部分を食べる野菜で、茎にも房と同じくらいの栄養が詰まっています。茎の皮は硬い筋のような組織なので、厚めに皮をむけば芯はやわらかく甘みも強いという性質があります。捨てずに使うと無駄がありません。…
かぼちゃ(野菜)
かぼちゃは、収穫直後より数週間置いて追熟させたほうが甘みが増す。収穫直後よりも数週間置いて追熟させたほうがでんぷんが糖に変わり甘みが増すという性質を持つ野菜です。皮のすぐ内側にβカロテンや食物繊維が多く含まれているため、皮を厚くむきすぎないほうが栄養を残せます。ワタと種を取り除いた部分はほぼ実として使えます。…
ねぎ(野菜)
ねぎは、白い部分が甘み担当、青い部分が香り担当と役割が分かれる。白い部分は甘みが強く加熱向き、緑の部分は香りが強く薬味向きという、1本の中で性質が分かれる野菜です。刻んだときに出る香りと辛みの成分は玉ねぎと同じ仲間の化合物で、加熱すると辛みが飛んで甘みだけが残ります。青い部分は捨てずに刻んで薬味や汁の実に使えます。…
ごぼう(野菜)
ごぼうは、皮の近くにポリフェノールが多く、糖は中心に集まっている。食物繊維の多い根菜で、文部科学省の成分表では生100gに食物繊維総量5.7g・カリウム320mg、ゆでたものは6.1g・210mgです。山東農業大学などが根の切片を質量分析で画像にした研究では…
れんこん(野菜)
れんこんは、節の中央はほくほく、節の両端はシャキシャキと食感が分かれる。穴の空いた独特の形をした根菜で、節の中央はでんぷんが多くほくほく、節の両端は繊維が詰まってシャキシャキという食感の違いがあります。切り口が空気に触れるとポリフェノール酸化酵素の働きで黒っぽく変色します。文部科学省の成分表では…
りんご(果物)
りんごは、エチレンガスを多く出すため、そばに置いた野菜や果物の追熟を早めてしまう。成熟を進めるエチレンガスを多く発生させる果物で、一緒に置いた野菜や果物の追熟を早める働きがあります。切り口がポリフェノールの酸化で茶色く変色する性質もあり、これは傷んだわけではなく、りんごに限らず多くの果物に共通する反応です。…
バナナ(果物)
バナナは、皮の色の変化がそのまま甘みの進み具合を教えてくれる。収穫後にエチレンの働きで熟しが進む果物の代表です。福建農林大学(中国)のチームが、AAA系統の1品種で、皮の色で緑・緑黄・黄・茶色の斑点つき(シュガースポット)の4段階に分けて測ると、果肉の硬さは下がり続け…
レモン(果物)
レモンは、果汁のクエン酸に他の食材の変色を防ぐ働きがあり、皮の香りにも別の役目がある。強い酸味の主成分はクエン酸で、ほかの食材の酸化や変色を防ぐ働きがあるため、切った果物や魚介の下ごしらえにも使われます。皮の表面には香りの強い油分が含まれ、果汁とは別の香りの成分として、削って使うと料理や菓子の風味づけになります。…
いちご(果物)
いちごは追熟しない果物で、収穫した時点がいちばん熟している。表面のつぶつぶが本来の果実で、赤く甘い部分は花の付け根がふくらんだものという、植物としては珍しい構造をしています。ビタミンCが豊富で、追熟しない果物のため収穫した時点がいちばん熟している状態です。買った後に甘みが増すことはありません。…
みかん(果物)
みかんは、薄皮の白い筋にも食物繊維などが含まれ、むかずに食べて問題ない。薄皮についた白い筋(アルベド)は取り除かれがちですが、食物繊維とビタミンPを含むとされ、丸ごと食べても問題ありません。房を包む薄皮ごと食べられるよう品種改良されてきた歴史があり、皮が薄く手でむきやすいのも特徴です。薄皮の色が濃いオレンジのものほど…
アボカド(果物)
アボカドは、追熟の見極めを誤ると硬く筋っぽいままで美味しく仕上がらない。脂肪分が多く「森のバター」とも呼ばれる果物で、酸化しにくい植物性の脂肪を含むとされています。収穫直後は硬く、追熟が進んで初めて食べ頃になる性質があり、店頭で売られているものの多くはまだ追熟の途中です。…
鮭(魚介)
鮭は、身が鮮やかな橙色でも分類上は白身魚に入る。鮭は身が鮮やかな橙色をしていますが、分類上は白身魚の一種です。橙色はエサに含まれるアスタキサンチンという赤い色素が身に蓄積して出る色で、白身か赤身かは色そのものでは決まりません。生まれた川へ戻って産卵する母川回帰という習性でも知られ…
さば(魚介)
さばは、青魚の中でも特に鮮度の落ちが速く「生き腐れ」と言われる。さばは青魚の代表格で、EPA・DHAなどの脂肪酸を豊富に含みます。一方で内臓の酵素の働きが強く、他の魚より鮮度の落ちるスピードが速いことでも知られ、「さばの生き腐れ」という言葉があるほどです。塩焼き、味噌煮、しめさばなど…
あじ(魚介)
あじは、捌く前に尾の付け根の硬いうろこ「ぜいご」を取り除く一手間が欠かせない。あじは一年を通して出回りますが、旬は初夏とされる大衆魚です。たたき、フライ、干物など幅広い料理に使われ、「ぜいご」と呼ばれる硬いうろこの列が尾の付け根近くにあるのが、他の魚には見られない特徴です。開いて干物にする文化が根付いているのも…
ぶり(魚介)
ぶりは、成長するたびに呼び名が変わる出世魚で、脂がのる冬が旬とされる。ぶりは成長段階によって呼び名が変わる出世魚の代表格で、大きくなるにつれ呼び方が変わっていきます。旬は脂がのる冬で、この時期のものは特に寒ぶりと呼ばれます。天然ものと、若い時期から育てられた養殖ものが流通しており…
えび(魚介)
えびは、背中に通る黒い筋(背わた)を取り除くだけで食感と見た目が良くなる。えびは高たんぱくで脂肪が少なく、殻ごと調理するものと殻を剥いて使うものがある食材です。加熱すると身が縮んで殻が鮮やかな赤色に変わりますが、これは殻の色素が熱で変化するためです。種類や大きさによって食感やうま味の強さが異なり、揚げ物から汁物…
いか(魚介)
いかは、胴を覆う薄い皮を一枚剥ぐだけで、味の染み込みも食感も良くなる。いかは胴の表面に複数の薄い皮が重なっているのが特徴で、新鮮なものほど皮に透明感があり、時間が経つにつれ白く濁っていきます。低脂肪で味が淡白なため、刺身から揚げ物、干物まで幅広い調理に向く食材です。種類によって身の厚みや歯ごたえが違い…
あさり(魚介)
あさりは、海水程度の塩水に浸けて暗くしておくと、しっかり砂を吐き出す。あさりは味噌汁や酒蒸し、パスタなど幅広く使われる二枚貝です。砂の中に潜って生活しているため体内に砂が残っており、調理前の砂抜きが欠かせません。殻の模様には個体差があり、同じ種でも柄はさまざまで、産地によっても色合いに違いが見られます。…
ほたて(魚介)
ほたては、ふだん食べている部分の中心が貝殻を開閉する筋肉(貝柱)そのものだ。ほたての可食部の中心は、貝殻を開閉するための筋肉(貝柱)で、刺身でも加熱でも食べられる貝です。貝柱の周りには「ひも」と呼ばれる外套膜や、黒っぽい「うろ」と呼ばれる部分があり、部位によって食感も味わいも異なります。殻付きのまま流通するものと…
鶏手羽(手羽先・手羽元)(肉の部位)
鶏手羽は、先端側の手羽先と付け根側の手羽元とでコラーゲンの量が違う。鶏の手羽は、羽の先端側にある手羽先と、体に近い側の手羽元の2つの部位に分かれます。手羽先は平たく骨が2本入っていて皮とコラーゲンが多く、手羽元はドラムスティックに近い骨付き肉です。どちらも脂と皮、コラーゲンが多いため…
豚ロース(肉の部位)
豚ロースは、脂身と赤身のバランスが良く、とんかつなど揚げ物にとくに向く。豚ロースは背中側の部位で、脂身(背脂)と赤身のバランスが良いのが特徴です。とんかつやしょうが焼きなど、加熱してもパサつきにくい料理に向いています。ヒレより脂がある分、うま味とコクが出やすく、厚切りでも薄切りでも扱いやすい部位です。…
牛乳(卵・乳・豆)
牛乳は、沸騰させると表面に膜が張り、料理全体の風味まで変わる。牛乳は成分無調整のものと、脂肪分を調整した低脂肪・無脂肪のものに分かれます。加熱すると表面に薄い膜が張る性質があり、これはたんぱく質と脂肪が熱で固まるために起きる現象で、シチューやグラタンの舌触りにも影響します。種類別の表示(牛乳・加工乳・乳飲料)によって…
バター(卵・乳・豆)
バターは、常温に戻すか冷たいまま使うかで、生地の仕上がりが大きく変わる。バターは牛乳の脂肪分を集めて作られる食品で、有塩と無塩の2種類があります。無塩は製菓や味を細かく調整したい料理に向くとされ、有塩はそのままパンに塗るような使い方に向きます。発酵の工程を経たものは、酸味と香りが強く出るのも特徴で…
納豆(卵・乳・豆)
納豆は、独特の粘りとにおいを納豆菌が発酵の過程で作り出している。納豆は蒸した大豆に納豆菌を加えて発酵させた食品で、独特の粘りと香りは発酵の過程で菌が作り出す物質によるものです。発酵食品として、ビタミンK2など発酵によって生まれる成分を含むことでも知られています。粒の大きさや発酵の進み方によって…
かつお節(乾物・粉)
かつお節は、削った瞬間から香りが飛び始めるため、削りたてがいちばん香る。かつお節は、かつおを煮てから燻し、乾燥とカビ付けを繰り返して作る保存食品です。うま味成分イノシン酸を豊富に含み、昆布のグルタミン酸と合わせるとうま味が相乗的に強まることが知られています。削った瞬間から香りが飛び始めるため…
片栗粉(乾物・粉)
片栗粉は、名前の由来と違い、市販品のほとんどはじゃがいものでんぷんだ。片栗粉という名前は、もともとユリ科植物「カタクリ」の根のでんぷんに由来しますが、市販品のほとんどはじゃがいものでんぷんに置き換わっているとされています。水と一緒に加熱すると、透明感のあるとろみが出るのが特徴です。冷めるととろみが強くなる性質があり…
米粉(乾物・粉)
米粉は、小麦粉と違いグルテンを含まないため、膨らみ方や食感が違う。米粉は米を粉にしたもので、小麦粉と違いグルテンを含まないため、膨らみ方や食感が異なります。同じ米粉でも、パン用・製菓用・揚げ物用など用途別に加工方法が分かれているため、目的に合わないものを選ぶと仕上がりが変わってしまいます。原料の米の品種によっても…