牛モモ
肉の部位
牛モモは、赤身が主体で、火を入れすぎると硬くパサつく
どんな食材?
後ろ脚の付け根で、脂が少なく赤身が主体の部位です。ローストビーフやたたきに使われるのはここ。脂が少ないぶん、加熱しすぎると一気に硬くパサつきます。韓国の忠北大学のチームは、低脂肪のトップラウンド(もも)を脂の多いサーロインと70℃・40分の真空低温調理で比べ、ももは加熱での重さの減りも硬さの値も大きいと報告しています。
選び方・旬
赤身が鮮やかで、きめが細かいもの。厚みのあるブロックはローストに、薄切りはしゃぶしゃぶや炒め物に向きます。同じももでも和牛と輸入牛で脂が違い、日本食品標準成分表(八訂)の生100gあたり、もも赤肉は和牛が脂質10.7g・176kcal、輸入牛が脂質4.3g・117kcal。脂を抑えたいなら輸入牛が向きます。
下ごしらえ
調理の30分前に冷蔵庫から出して常温に戻す—— 中心まで均一に火が入り、加熱時間が短くて済みます。焼いたら休ませ、繊維を断つ向きに薄く切ります。Certified Angus Beef(牛肉のブランド)の動画は約2kgのトップラウンドの塊を20分休ませてから薄切りにし、Butcher Magazine の動画は繊維を断つと短くなり柔らかく食べられると説明しています。
保存
購入から2日以内が目安です。ドリップが出ていたら拭き取ってからラップし直します。塊肉でも、中心部は75℃で1分以上(低温調理なら63℃で30分以上)加熱してください。食品安全委員会は、焼いてホイルで包むだけの余熱調理では内部が食中毒を防げるほど上がらないとして、やめるよう呼びかけています。同じガイドは、包丁で切れ目を入れると表面の菌が内側に入り込むこともあるとも書いています。
出典
- 論文・英語 Kim M, Ku B, Kang J, An D, Kim T, Park W, Kim J, Cho J, Choi J(Chungbuk National University)(2025) Impact of Sous-vide Cooking on Quality Attributes of High-Fat and Low-Fat Cuts of Beef, Pork, and Chicken
- 動画・英語 Certified Angus Beef ® How to Cook a Top Round Roast
- 動画・英語 Butcher Magazine Cutting and Preparing Beef Knuckle/Top Sirloin
- 公的機関 文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 うし[和牛肉]もも 赤肉 生
- 公的機関 文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 うし[輸入牛肉]もも 赤肉 生
- 公的機関 食品安全委員会 肉を低温で安全においしく調理するコツをお教えします!
- 公的機関 厚生労働省 家庭でできる食中毒予防の6つのポイント
解説動画: 内モモは赤身8割 焼きすぎない食べ方と部位の使い分け/千成亭 近江牛チャンネル
内モモという部位: モモのうち内側に付いているのが内モモで、外モモと対になる。牛肉全体で見ても赤身の割合がとくに高く、脂が付いた状態でもおよそ8割を赤身が占めると説明している。そのぶんあっさりしていて、肉そのものの味がしっかり出るのが持ち味で、赤身の味がとくによい部位だと話している。
火の入れすぎに注意: 赤身の部位なので、熱を通しすぎると身がぎゅっと締まり、硬くパサついた食感になる。焼肉にするならできるだけサッと焼き、薄切りならしゃぶしゃぶのように火を通しきらずに食べるほうが向くとしている。レアで仕上げるローストビーフはその代表例。牛刺しやユッケにも使われるが、生食として出せるのは、厳しい審査基準を通って認証を受けた施設のものだけ。
一本の中で赤身と霜降りが分かれる: 同じ内モモでも中身は一様ではない。片側は赤身が主体で、反対側へ行くほど霜降りが増えていく——動画では真っ二つに切って断面を見せ、その差を確かめている。内モモはもともと霜降りが入りやすい場所でもあり、等級が高いものほど、その霜降りがはっきり出る。
本体とカブリで使い道が変わる: 整形したあとは赤身寄りをローストビーフ用の柵に取り、霜降りがよく入る側を焼肉用に切り分けている。内モモ本体とは別に取れるカブリ(モモ皮)は同じ赤身でも肉質がかなり硬いため、小間切れや切り落としに回すことが多い。上に乗った脂は落とさずそのままスライスするほうがおいしく、角切りにしてカレーに使ってもよいとしている。