昆布
乾物・粉
昆布は、うま味の正体グルタミン酸が最初に取り出された食材だ
どんな食材?
グルタミン酸によるうま味の代表的な食材です。池田菊苗は1908年、乾燥昆布12kgを水で抽出してグルタミン酸の結晶を取り出し、その味を「うま味」と名づけました。Kuriharaの総説(2015)の表では、昆布は100gあたりグルタミン酸1200〜3400mgです。同じ総説は、グルタミン酸にイノシン酸を合わせると、人の反応がグルタミン酸だけの約8倍になるとも紹介しています。
選び方・旬
よく乾燥して肉厚で、香りがよく、緑褐色でつやのあるものが最高の品と、業界団体の日本昆布協会は説明しています。表面の白い粉は汚れやカビではなく、マンニットという甘味のある炭水化物の一種です。固く絞ったぬれ布巾で、表面を軽くふく程度にします。北海道庁は、真昆布は甘味のある透き通っただし、利尻昆布は澄んで薄い塩味の上品なだしと紹介しています。
下ごしらえ
水1Lに昆布20gを15分ほど浸し、弱火で15〜20分かけてゆっくり温めます。沸き始めたら火を弱めるか止めます。Kyodokan(YouTube)は、昆布を入れたまま沸かすとだしが濁ると話し、使った昆布は佃煮にしています。条件を変えて測った東京家政大学などの2008年の研究では、昆布の遊離アミノ酸の約90%がだし汁に溶け出し、浸す時間の影響がとくに大きいと示唆されました。
保存
日本昆布協会は、湿気を避けて乾燥した場所に、15cmほどに切って缶やびんに入れるよう勧めています。ヨウ素が非常に多く、成分表では乾燥のまこんぶ100gに200,000μg。米国NIHの資料(厚労省eJIMの訳)は成人の上限を1日1,100μgとしています。のり・昆布・わかめを食べた11人の尿を調べた米国の研究でも、尿中のヨウ素と総ヒ素が増え、ヨウ素で最も影響が大きかったのは昆布でした。
出典
- 論文・英語 Kurihara K(2015) Umami the Fifth Basic Taste: History of Studies on Receptor Mechanisms and Role as a Food Flavor
- 公的機関 文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 まこんぶ 素干し 乾
- 資料 日本昆布協会(業界団体) 昆布の選び方、保存方法
- 公的機関 北海道水産林務部(2018) マコンブ(真昆布)
- 公的機関 北海道水産林務部(2026) リシリコンブ(利尻昆布)
- 論文 Sato K ほか(東京家政大学ほか)(2008) 抽出条件を変えた昆布だし汁中のヒ素及びアミノ酸量の動態
- 動画・英語 Kyodokan ~Japanese culture to the world~ How to make konbu dashi and Tukudani.
- 論文・英語 Notario Barandiaran L, Taylor VF, Karagas MR(米ダートマス大学)(2024) Exposure to iodine, essential and non-essential trace element through seaweed consumption in humans
- 公的機関 厚生労働省 eJIM(米国NIH ODS のファクトシートの訳)(2025) ヨウ素(サプリメント・ビタミン・ミネラル - 一般)
解説動画: 種類と温度で変わる昆布出汁と、うま味の相乗効果/料理王国
種類が違えば別の素材: 真昆布・利尻昆布・羅臼昆布は味の濃さも硬さも違い、グルタミン酸量の比較値も羅臼2290〜3380、真昆布1610〜3050、利尻1490〜1900と差があると引用している。利尻は旨味が控えめだが、そのぶん上品で澄んだ出汁が引ける。真昆布は旨味が強く甘みがあり、羅臼は旨味が強い代わりに出汁がやや濁る。
何度で引くか: 水に1%の利尻昆布を入れ、水出しと60℃・75℃・90℃で1時間加熱したものを比べている。温度が高いほど色が濃くなり、60℃は昆布臭さがなく旨味がよく出る。75℃は旨味が増える代わりに磯っぽい香りが立ち、90℃は色も香りも濃く渋みを感じたという。煮立てても旨味の物質が減るわけではなく、雑味が増えて旨味を感じづらくなるので、引くなら60〜70℃の間という結論になっている。
料理店での扱い: 取材した日本料理店では55〜65℃を保つように管理しながら昆布出汁を引いていた。目指す温度帯は60℃近辺で、沸かさない。70℃を超えると出汁に色が付くという店主の話が、そのまま実験の結果と一致した形になっている。
うま味の相乗効果と、あえて使わない選択: 昆布のグルタミン酸に鰹節のイノシン酸や干し椎茸のグアニル酸を掛け合わせると旨味が強まり、グルタミン酸とイノシン酸が1対1のとき最も強くなる。一方で昆布には他の素材の角を取ってまとめる働きもあり、いりこ出汁に昆布を足すといりこらしい香りが弱くなるため、あえて入れないという判断も紹介している。