社殿と鳥居図鑑

流造(本殿の形)

屋根の前側だけが長く伸びた本殿です。切妻造・平入の屋根がそのまま前へ流れ落ち、正面の階と向拝を一枚の面で覆います。切妻造・平入の屋根のうち、正面側だけを長く伸ばした形です。棟から後ろへ落ちる面は短く、前へ落ちる面は反りを伴って階の上まで下り、向拝をそのまま覆います。屋根と庇の境に段ができず…

春日造(本殿の形)

妻入の小さな本殿に、正面の階を覆う庇が付いた形です。屋根は切妻造で、身舎の屋根と庇が別に葺かれるため、正面の輪郭に段が出ます。切妻造・妻入の身舎に、正面の階を覆う庇を差し掛けた小型の本殿です。妻側が正面になるため、扉は三角の妻壁の下に開きます。庇は身舎の屋根とは別に葺かれ、境目に段ができるのが流造との分かれ目です。…

神明造(本殿の形)

屋根に反りがなく、棟を支える柱が壁の外に立つ形です。切妻造・平入で前後の流れが同じ長さになり、直線だけで組み上げた輪郭になります。切妻造・平入で、屋根に反りをまったく付けない形です。棟の前後で屋根の長さがそろい、側面から見ると二等辺三角形に近い輪郭になります。妻側の壁から離れた位置に棟持柱が立ち…

大社造(本殿の形)

正面の扉が、柱間の中心から片側へ寄る本殿です。切妻造・妻入で、内部の中央には心御柱が立ち、平面が左右非対称になります。切妻造・妻入で、正面の扉が中心から片側へ寄る本殿です。平面は正方形に近く、内部の中央に心御柱が立つため、入口が中心を外れます。屋根には反りがあり、棟の上に千木と鰹木が載ります。…

住吉造(本殿の形)

妻入で反りのない屋根を持つ、奥行きの深い本殿です。内部が前後二室に分かれ、まわりに縁を回さないため、壁が地面近くまで下りて見えます。切妻造・妻入で、屋根に反りがない本殿です。柱間で測ると正面二間・側面四間で、奥行きが正面幅の二倍になります。内部は前後二室に仕切られ、手前を外陣、奥を内陣と呼びます。まわりに縁を回さず…

八幡造(本殿の形)

切妻造・平入の二棟を、前後に並べてつないだ社殿です。二棟の軒が接する場所に谷ができ、そこへ樋を渡して雨を横へ流します。平入の切妻造の建物を前後に二棟並べ、間を相の間でつないだ社殿です。手前を外殿、奥を内殿と呼び、二棟の棟の高さはほぼそろいます。軒どうしが接する部分は谷になり、そこへ樋を渡して雨水を横へ落とします。…

権現造(本殿の形)

本殿と拝殿を、床の低い石の間でつないだ社殿です。三つの部分が一棟にまとまり、横から見ると中央が沈んだ屋根の輪郭になります。本殿と拝殿を、床の低い石の間でつないで一棟にまとめた社殿です。中央の石の間は床も天井も低く抑えられ、横から見ると屋根の中央がくびれます。屋根は三つの部分でそれぞれ高さが変わります。…

両流造(本殿の形)

流造の屋根を、背面にも同じだけ流した形です。側面から見ると棟が屋根の中央に来て、前後の輪郭が左右対称になります。切妻造・平入の屋根を、正面にも背面にも同じ長さで流した形です。流造は前だけが伸びますが、両流造は後ろにも同じ流れを持ち、側面から見た輪郭が棟を中心に前後対称になります。前後とも階の上まで屋根が下りるため…

見世棚造(本殿の形)

正面に階段がない、小さな本殿の形です。流造や春日造を縮めて階を省き、床の前へ棚板を張り出したもので、摂社や末社の社殿に多く用いられます。流造や春日造を小さくして、昇るための階を省いた社殿です。身舎の前には縁や高欄を回さず、床の高さで棚板を一枚前へ張り出します。正面の柱間は一つ、扉は一枚に収まる例が多く…

一間社と三間社(本殿の形)

本殿の正面の柱間を数えた呼び名です。「一間社流造」「三間社流造」のように屋根の形の前に付き、社殿の幅と扉の枚数を表します。身舎の正面で、柱と柱の間がいくつあるかを数えた言い方です。間が一つなら一間社、三つなら三間社で、一間社は扉が一枚、三間社は三枚が基本になります。…

神明鳥居(鳥居の形)

笠木がまっすぐな一本で、島木を持たない鳥居です。柱は転びを付けずに垂直に立ち、貫は柱の外へ出ません。装飾を削いだ、簡素な系統にあたります。笠木が一本の直線で、その下に島木が重ならない鳥居です。二本の円柱は転びを付けずに垂直に立ち、貫は柱の内側で止まって外へ出ません。額束を入れない例が多く、笠木の端は水平か…

明神鳥居(鳥居の形)

笠木の下に島木を重ね、両端が反り上がる鳥居です。柱には内側へ倒れる転びが付き、貫と笠木の間に額束が入ります。今立つ鳥居ではこの系統が多数を占めます。笠木の下に島木を重ね、二本一組で反り上がる形です。両端は斜めに切り上げられ、柱は内側へわずかに倒れる転びを持ちます。貫は柱を貫いて外へ出て、笠木と貫の間には額束が立ちます。…

鹿島鳥居(鳥居の形)

島木のない鳥居のうち、貫が柱の外へ突き出す形です。笠木の端は斜めに切られ、柱にはわずかな転びが付きます。神明系と明神系の間に置かれます。島木を持たない笠木の下で、貫が柱を貫いて外へ出る形です。柱から出た先は木鼻として短く残り、笠木の端は斜めに切り落とされます。貫は角材で通されるため、外へ出た部分だけが四角く見えます。…

春日鳥居(鳥居の形)

島木を持ちながら、笠木がまっすぐな鳥居です。上部は明神系と同じ二本重ねでありながら、反増と呼ぶ反りを付けず、端を垂直に切り落とします。笠木と島木を重ねながら、どちらにも反りを付けない形です。上部の二本は水平のまま通り、両端は垂直に切り落とされます。柱の転びは小さく、貫は柱の外へ出ます。上部が水平に通るため…

台輪鳥居(鳥居の形)

柱の頭に円い台輪をはさんだ、明神系の鳥居です。稲荷社に多いことから稲荷鳥居とも呼ばれ、どちらの名も同じ形を指しています。柱の頂と島木の間に、円い板を一枚はさんだ形です。この板を台輪と呼び、柱の直径より一回り大きく張り出します。厚みは柱の太さに応じて変わり、石造では柱と一続きに彫り出されます。上部は明神鳥居と同じで…

両部鳥居(鳥居の形)

本柱の前後に、短い稚児柱を添えた鳥居です。控柱と貫で本柱を支える構えから四脚鳥居とも呼ばれ、横から見ると脚が四本並びます。二本の本柱それぞれの前後に、背の低い稚児柱を立てて貫でつないだ形です。脚は正面から二本、横から見ると四本になり、四脚鳥居という別名もここから来ています。稚児柱は本柱の半分ほどの高さで…

山王鳥居(鳥居の形)

笠木の上に、三角形が載る鳥居です。明神系の鳥居の頂部へ破風形の合掌を組み合わせた形で、日吉社・日枝社の参道に立ちます。明神鳥居の上部へ、二本の材を山形に突き合わせた合掌を組み上げた鳥居です。反りのある笠木と島木が載り、その上に破風形の三角が重なります。三角の底辺は笠木の上端へ載り、頂点はその中央の真上に来ます。…

石鳥居(鳥居の形)

石を刻んで組んだ鳥居です。木造に比べて柱が太く短く、笠木や貫に石材の継ぎ目が出るので、材料の違いがそのまま形へ表れます。柱も島木も貫も、石を刻んで組み上げた鳥居です。石は曲げに弱いため柱は太く、柱間は狭くなり、笠木も短い材を継いで渡します。柱の根元には亀腹と呼ぶ饅頭形の台を置く例が多く、角は面取りされて丸みを帯びます。…

拝殿(境内の建物と構え)

参拝する人が正面から向き合う建物です。神座を納める本殿とは別の棟で、多くは本殿の手前に立ち、内部の床が外から見えます。参道の正面に立ち、参拝する人が向かい合う建物です。神座を納めるのは奥の本殿で、拝殿は本殿ではありません。正面は吹き放しか蔀戸・格子戸で、外から床板と天井を見通せる例が多く、桁行は本殿より長く取られます。…

幣殿(境内の建物と構え)

拝殿と本殿のあいだをつなぐ建物です。単独で名を呼ばれることが少なく、指定名称では「拝殿及び幣殿」のようにまとめて記されます。拝殿と本殿のあいだへ割り込んで、前後の二棟をつなぐ建物です。単独で建つことはなく、前後を社殿に挟まれるため、正面からは屋根の一部しか見えません。床は拝殿より高く本殿より低い例が多く…

割拝殿(境内の建物と構え)

中央を通路が貫く拝殿です。参道が建物の中を通って奥へ続き、通路の左右は一段高い板敷きの部屋に分かれます。建物の中央を、土間の通路が正面から背面へ突き抜ける拝殿です。参道はその通路を通って奥へ続き、人は建物の中を歩いて本殿の前へ出ます。通路の左右は一段高い板敷きの部屋になり、柱で仕切られます。…

本殿覆屋(境内の建物と構え)

本殿を外からすっぽり覆う建物です。風雨や雪から社殿を守るために架けられ、その内側には別の小さい本殿が納まっています。本殿を風雨から守るために、外側から架けた建物です。外から見えるのは柱間が大きく、彫りも塗りも省かれた簡素な建物で、その内側へ一回り小さい社殿が独立して立ちます。内側の本殿は流造などの小社で…

随身門(境内の建物と構え)

左右の間に、随身の像が座る門です。武装して弓矢を持つ像を安置し、指定名称では随身門・随神門・隨神門と表記が分かれます。門の左右の間へ、随身の像を安置した門です。中央の一間を通路とし、その両脇へ格子で囲った間を設けて、左右に一体ずつ、計二体の座像を置きます。像は冠をかぶり、弓矢を携えた武官の姿で、彩色の残る例もあります。…

玉垣(境内の建物と構え)

本殿やその一画を囲う垣です。板を張るもの、間を透かすもの、石柱を並べるものがあり、どこまでが社殿の一画かを外へ示します。本殿や境内の一画を囲って、内と外を分ける垣です。柱を等間隔に立て、間へ板を張るもの、貫だけを渡して向こうを透かすもの、石柱を並べるものがあり、拝殿や本殿の周りへ二重、三重に巡る例もあります。…