幣殿
境内の建物と構え
拝殿と本殿のあいだをつなぐ建物です。単独で名を呼ばれることが少なく、指定名称では「拝殿及び幣殿」のようにまとめて記されます。
どんな形か
拝殿と本殿のあいだへ割り込んで、前後の二棟をつなぐ建物です。単独で建つことはなく、前後を社殿に挟まれるため、正面からは屋根の一部しか見えません。床は拝殿より高く本殿より低い例が多く、幣帛を供える場として使われてきました。山梨県富士吉田市の北口本宮冨士浅間神社拝殿及び幣殿、福岡県宇美町の宇美八幡宮拝殿及び幣殿のように、国指定文化財等データベースでは前後の建物と一つの名称でまとめて記されます。
見分けの決め手
建物の横手へ回り、棟の数を数えます。棟が三本並び、真ん中がいちばん低ければ、その低い棟が幣殿です。手前の拝殿も奥の本殿も棟が高く、あいだだけが谷になります。正面からは高さの差が出ないので、横位置が要ります。新潟県新発田市の二王子神社本殿・幣殿及び拝殿のように、名称の並び順がそのまま参道から奥への並び順を表す例が多く、名前を読むだけで棟の数を見当できます。
取り違えやすい相手
権現造の石の間が近い相手です。別棟として切り離せるかを見ます。石の間は本殿と拝殿を一続きの屋根で結び、三棟を離すと屋根が成り立ちません。幣殿は前後と棟を分けて建ち、拝殿だけを建て替えた例もあります。宮城県仙台市の大崎八幡宮は石の間でつなぐ形、山梨県富士吉田市の北口本宮冨士浅間神社は幣殿を挟む形で、横から見た屋根の続き方が違います。境目は連続しており、呼び分けは資料によって揺れ、まだ定まっていません。
どこに立つと見えるか
参道を外れ、社殿の横手が見える位置へ回ります。正面からは拝殿の屋根に隠れ、幣殿は一片も見えません。横から屋根の稜線を追い、山と谷を数えるのが確かで、谷が一つなら二棟、二つなら三棟です。垣が高い境内では、随身門の下や石段の途中など、視点の上がる場所を探します。福岡県宇美町の宇美八幡宮、新潟県新発田市の二王子神社のように横手へ空きのある境内では、棟の並びがそのまま読めます。