よくある思い込み図鑑

人がさわったヒナは見捨てられる(ヒナと巣の思い込み)

人がさわると親が見捨てる、という説明は確かめられていません。環境省や日本鳥類保護連盟の資料は、においではなく人がそばに居続けることのほうが親を遠ざけると説明しています。地面のヒナを拾い上げたあと、人のにおいが付いた個体は親が寄りつかなくなるという言い方が、拾った側への説明として流れています。…

地面にいるヒナは巣から落ちた(ヒナと巣の思い込み)

羽のそろったヒナが地面にいるのは、異常ではありません。巣立ちのあと数日を地上や低い枝で過ごし、親が近くから餌を運んで導く段階があることを、環境省と都県の「ヒナを拾わないで」が繰り返し説明しています。地面や低い枝にヒナがいると、巣から落ちた事故として受け取られます。親の姿が見えず、口を開けて鳴いていれば…

巣は鳥の家で一年中住んでいる(ヒナと巣の思い込み)

巣は住まいではなく、その年の子育て用の施設です。多くの種は巣立ちのあと巣に戻らず、夜は別の場所を選んで眠ります。この眠る場所を「ねぐら」と呼び、巣とは役割が分かれています。軒下や樹上の巣を見て、鳥が一年中そこで暮らしていると受け取る言い方です。空の巣があれば「留守」…

毎年同じツバメが同じ巣に帰る(ヒナと巣の思い込み)

同じ巣に戻る個体はいますが、多数派ではありません。足環を付けて追った標識調査では、翌年に同じ場所へ戻った割合も、前年と同じ巣に入った割合も、いずれも半分に届いていません。春になると去年と同じツバメが同じ軒先へ帰ってくる、と信じられています。前年と同じ場所に巣ができていればあの個体が戻ってきたと受け取られ…

水鳥にパンをやるのは親切(餌と関わり方の思い込み)

パンは水鳥の食べ物ではなく、多くが水に残ります。残ったパンが水を変え、群れが一か所に居つくことで起きる変化のほうが、英国の運河管理団体などで問題として扱われてきました。池や川でカルガモやユリカモメにパンをちぎって投げる行為は、害のない親切として扱われてきました。子どもと出かけたときの定番でもあり…

餌づけをやめると鳥は生きられない(餌と関わり方の思い込み)

冬の給餌をやめても、生存率はほとんど変わりませんでした。米国ウィスコンシンでの実験で、25年続いた給餌を止めた場所と、一度も給餌していない場所とを比べた結果です。人の出す餌に慣れた鳥は自力で採らなくなり、やめた年の冬に飢えてしまうという言い方です。だから始めたら続けなければならない、旅行の間も切らせない…

窓にぶつかった鳥は休めば飛べる(餌と関わり方の思い込み)

飛び去ったからといって、無事だとはかぎりません。米国北東部の保護施設に持ち込まれた建物衝突個体3,000羽超をまとめた報告では、約6割が治療の途中で死亡するか安楽死に至っています。窓や壁にぶつかった鳥は、しばらく静かに置いておけば飛び立つと言われます。飛び去るのを見て「大丈夫だった」と結ぶのが…

外に出す飼い猫は野鳥に関係ない(餌と関わり方の思い込み)

飼い猫の狩りは、飼い主の家のすぐ周りに集中します。6か国の飼い猫925匹にGPSを付けた追跡で、行動圏がおよそ100m以内に収まる一方、単位面積あたりの捕殺は同じ大きさの野生の食肉類より多いと報告されています。外に出している飼い猫は餌をもらっているのだから本気で狩らないはずだ、と考えられています。…

梅にとまる緑の鳥はウグイス(種にまつわる思い込み)

梅の花に来て蜜を吸う緑の鳥は、たいていメジロです。ウグイスは藪の中で虫を採る鳥で、花の咲く枝先にはまず出てきません。声で分かる鳥を、姿の話に置き換えたのがこの取り違えです。早春に梅の枝へ来る緑がかった小鳥を「梅に鶯」と呼び、黄緑の体で花のあいだを動く鳥がウグイスだとする言い方が広く通っています。…

カラスは恨みを覚えて襲う(種にまつわる思い込み)

覚えてはいますが、蹴るのは巣を守るためです。人の顔を覚えることは実験で確かめられており、人が蹴られる時期はヒナのいる数週間に集中します。一度追い払ったり巣に近づいたりすると顔を覚えられ、あとで待ち伏せされて襲われる、という話です。「カラスに恨まれた」という言い方で語られ、同じ道を通るたびに狙われる…

スズメはどこにでもいて減っていない(種にまつわる思い込み)

毎日見える鳥ですが、数は減ってきました。全国鳥類繁殖分布調査の第2回と第3回を比べた2023年の報告では、18年で62.1%に減ったとされています。スズメは街にも田んぼにもいて、群れで電線に並ぶので、減るはずのない鳥として語られます。「どこにでもいる」という感覚がそのまま数の話に置き換えられ…

ツバメが低く飛ぶと雨になる(種にまつわる思い込み)

当たるとも外れるとも、まだ言えません。ツバメの高さが餌の虫の高さに従うところまでは分かっていますが、それを雨に結ぶ数字が公表されていないためです。空模様や生き物の様子から天気を読む観天望気の一つで、ツバメが低いところを飛ぶ日は雨になる、という言い伝えです。理由としては「湿気で虫の羽が重くなり…