外に出す飼い猫は野鳥に関係ない
餌と関わり方の思い込み
飼い猫の狩りは、飼い主の家のすぐ周りに集中します。6か国の飼い猫925匹にGPSを付けた追跡で、行動圏がおよそ100m以内に収まる一方、単位面積あたりの捕殺は同じ大きさの野生の食肉類より多いと報告されています。
言われていること
外に出している飼い猫は餌をもらっているのだから本気で狩らないはずだ、と考えられています。捕るのは弱った個体だけで、自然の中の出来事にすぎないという受け取り方も重なります。野鳥が減る理由は開発や気候のほうが大きいのだから、庭先の一匹を問題にしても意味がないという結び方までが、ひとつながりで出てきます。飼い主の中では、外に出すことと野鳥とが別の話になっています。
分かっていること
Kays ら 2020 の追跡が、影響の形を示しました。6か国の飼い猫925匹にGPSを付けた記録では、行動圏は飼い主の家からおよそ100m以内に収まります。それでいて単位面積あたりの捕殺は、同じ体格の野生の食肉類の2〜10倍と報告されました。影響は広く薄くではなく家のすぐ周りに濃く出る形で、スズメやハクセキレイが暮らす範囲と重なります。
どこまで確かめられているか
数え方に穴があります。多くの調査は猫が家へ持ち帰った獲物を数えており、その場で食べた分や置いてきた分が落ちるため、過小評価になりやすいと指摘されています。GPS の追跡も位置と行動圏までを記録したもので、殺した数そのものを直接数えたわけではありません。日本国内で同じ設計の定量調査は見当たらず、規模の話は外から借りた数字に頼っています。
なぜ広まったか
餌を与えている猫が獲物を持ち帰らない日が続けば、狩っていないように見えます。夜間や早朝は飼い主が見ていない時間帯で、見えない部分が想像で埋められます。環境省が完全室内飼育を求める理由には猫自身の事故や感染症、近隣とのあつれきも含まれており、住宅地の路地と庭先の話を野鳥保護だけに読み替えると、背景を取り違えます。