梅にとまる緑の鳥はウグイス
種にまつわる思い込み
梅の花に来て蜜を吸う緑の鳥は、たいていメジロです。ウグイスは藪の中で虫を採る鳥で、花の咲く枝先にはまず出てきません。声で分かる鳥を、姿の話に置き換えたのがこの取り違えです。
言われていること
早春に梅の枝へ来る緑がかった小鳥を「梅に鶯」と呼び、黄緑の体で花のあいだを動く鳥がウグイスだとする言い方が広く通っています。うぐいす色という色名がそのまま重ねられ、同じころ藪から聞こえるさえずりも裏づけのように受け取られます。年賀状や和菓子の意匠でも花の枝に緑の小鳥という取り合わせが繰り返され、梅の木で見かけた緑の鳥はウグイスという順に、結論のほうが先に立ちます。
分かっていること
食べ物と居場所が違います。メジロは舌の先が房のようになっていて花の蜜をなめられるため、開いた枝先まで出て花に顔を差し入れます。ウグイスは藪や低木の茂みの中で虫やクモを拾う鳥で、見通しのきく枝先にはまず出ません。色も、うぐいす色が指す明るい黄緑はメジロの背の色に近く、ウグイスはくすんだ灰緑です。目のまわりの白い輪はアイリングで、メジロの側にあります。
どこまで確かめられているか
花に顔を入れているかどうかで決まります。メジロが花の蜜を利用することは各地の観察で記録されており、ウグイスが藪の中で採っているのは昆虫やクモで、花に来て蜜をなめる姿は知られていません。ただしウグイスが梅の木に来ないと言い切れるわけではなく、藪ぎわの低い枝に出ることはあります。蜜を吸っていればメジロ、声だけで姿が見えないならウグイスという条件つきの決め方が、その場で使える線です。並べ方はメジロとウグイスにあります。
なぜ広まったか
歌と意匠の約束事で、観察の記録ではありません。万葉集の時代から梅と鶯は春を告げる取り合わせとして詠まれ、花札の二月の札や工芸の図案にも受け継がれてきました。結び付いた理由は季節が重なることで、同じ枝にいる姿を写したものではないと考えられています。ウグイスはウグイスのホーホケキョのように声で分かる鳥で、姿を当てにした言い方があとから付いたと見るほうが筋が通ります。