水鳥にパンをやるのは親切

餌と関わり方の思い込み

パンは水鳥の食べ物ではなく、多くが水に残ります。残ったパンが水を変え、群れが一か所に居つくことで起きる変化のほうが、英国の運河管理団体などで問題として扱われてきました。

言われていること

池や川でカルガモやユリカモメにパンをちぎって投げる行為は、害のない親切として扱われてきました。子どもと出かけたときの定番でもあり、食べているのだから足りているのだろうという納得の仕方がついてきます。冬は野生の食べ物が減るのだから助けになるはずだ、という説明が重ねられることもあります。近づいてくる鳥の姿が、そのまま手ごたえになる行為です。

分かっていること

分かっているのは、食べ残しが水に残ってから起きることです。パンは水中で崩れて沈み、富栄養化を進めてアオコの発生につながると英国の運河管理団体の啓発資料が説明しています。与える場所には群れが居つき、糞が一か所に集中し、密度の上がった群れの中で病気が広がりやすくなる、という筋道も指摘されます。ハトやカモへの餌やりが問題にされるのは、この層の話です。

どこまで確かめられているか

翼が横に張り出す変形(エンジェルウィング)をパンのせいとする説明は、確かめられていません。オックスフォード大学の Christopher Perrins は、パンを見たことのない幼鳥にも同じ変形が出ると指摘し、この結びつけを否定しています。水質の変化と群れの集中はたどれる一方で、個体の変形と与えた物とを結ぶ因果のほうは足りていない、という分け方になります。

なぜ広まったか

英国の Canal and River Trust は、2014年に運河へ投じられたパンを年600万斤と推計し、水質と鳥の健康を理由に呼びかけを始めました。その後350万斤まで減ったと報告されており、親切として定着していた行為が、量として可視化されてはじめて見直された経緯が読めます。餌づけをやめると鳥は生きられないという言い方も、同じ場面で持ち出されます。日本には、同じ規模で量をつかんだ集計がありません。