スズメはどこにでもいて減っていない

種にまつわる思い込み

毎日見える鳥ですが、数は減ってきました。全国鳥類繁殖分布調査の第2回と第3回を比べた2023年の報告では、18年で62.1%に減ったとされています。

言われていること

スズメは街にも田んぼにもいて、群れで電線に並ぶので、減るはずのない鳥として語られます。「どこにでもいる」という感覚がそのまま数の話に置き換えられ、数えて確かめる対象になりにくい鳥でした。野鳥が減るといえば山や湿地の鳥の話だと受け取られ、庭先の鳥は勘定に入りません。増減を聞かれても、去年より多いか少ないかを答えられる人は多くありません。

分かっていること

三上修「日本におけるスズメの個体数減少の実態」(日本鳥学会誌 2009)は、1990年ごろと比べて2割から5割程度まで減ったと推定し、1960年代と比べれば10分の1になった可能性にも触れています。環境省と日本自然保護協会の全国鳥類繁殖分布調査でも、第2回(1997-2002年)と第3回(2016-2020年)を比べた2023年の集計で18年で62.1%、年に2.61%の減少とされました。

どこまで確かめられているか

推定の幅は大きく、一つの数字に収まりません。個体数そのものを数える方法が無いため、2009年の推定は巣の密度などから積み上げた値で、繁殖分布調査のほうは調査地点でどれだけ記録されたかの比較です。都市の中心部は調査地点が少なく、農地の多い地域ほど減り方が大きいという地域差も報告されています。全国どこでも同じ勢いで減っている、とまでは言えません。

なぜ広まったか

身近さと数の多さが、同じことだと受け取られてきたためです。年に2.61%という速さは一年では見た目が変わらない水準で、この率が続けば約26年で半分になります。減り方が群れの数ではなく一群れあたりの羽数から先に出ると、風景の印象は長く変わりません。屋根や壁の隙間といった巣に使える場所が減ったことも指摘されていますが、原因はまだ絞り込まれていません。