夜空の道具図鑑

双眼鏡(見る道具)

よく見えるかどうかを決めるのは、倍率ではなく口径です。集めた光を倍率で割った射出ひとみ径が、目に届く明るさをそのまま決めます。肉眼より多くの光を集めて、暗いものを見える側へ持ち上げる道具です。集まる光の量は対物レンズの面積に比例するので、口径50mmは、瞳孔が7mmまで開いた目のおよそ50倍にあたります。…

防振双眼鏡(見る道具)

口径も倍率も同じままで、像の揺れだけを止める道具です。手ぶれで消えていた暗い星が戻るぶんが、そのまま重さと値段に乗っています。集める光の量は変えずに、像の揺れだけを取り除く双眼鏡です。双眼鏡の口径が決めるのは目に届く光の量ですが、その光が揺れていると、点として認められない暗い星から順に見えなくなります。…

双眼鏡用の三脚(見る道具)

腕で支えている限り、像は止まりません。三脚そのものより、双眼鏡と雲台をつなぐビノホルダーの造りが、そのまま揺れの残り方になります。腕の震えを地面に肩代わりさせる道具です。据えた双眼鏡では視野が動かないので、淡い星団や星雲の縁が、時間をかけて浮かんでくるところまで見られます。プレアデス星団で星の数を数える…

星座早見盤(見る道具)

日付と時刻を合わせるだけで、いまの空がそのまま出ます。国立天文台の「流星群の観察方法」も、肉眼で見るときに手元にあると便利な道具として挙げています。いま頭の上に何が出ているかを、その場で出せる道具です。二枚の円板を日付と時刻の目盛りで合わせると、窓の中に地平線から上の空が現れます。方位を合わせて空にかざせば…

星図帳(見る道具)

早見盤で見当をつけた先を、視野の中で追うための地図です。何等星まで載っているかが、双眼鏡でたどれる道の細かさをそのまま決めます。目当ての天体まで、星から星へ渡っていくための地図です。星座早見盤が全天のどこにあるかを示すのに対し、こちらは双眼鏡の視野に入る細かさで描いてあります。明るい星を出発点に…

赤色ライト(見る道具)

白い光を一度浴びると、暗さに慣れた目は振り出しに戻ります。国立天文台によればその慣れに15分ほどかかるので、失うのは明かりではなく待った時間です。暗さに慣れた目を保ったまま、手元だけを照らすための明かりです。国立天文台の「流星群の観察方法」は、屋外に出てから目が暗さに慣れるまで15分ほどかかるとしています。…

リクライニングチェア(夜を過ごす道具)

首が保たなくなって、観察が終わることがあります。立ったまま見上げる格好を、国立天文台の「流星群の観察方法」は無理な姿勢だとしています。上を向く姿勢を、首ではなく背中に受け持たせる椅子です。頭を後ろへ倒し続ける格好は長く保たず、国立天文台の「流星群の観察方法」も無理な姿勢に挙げています。…

寝ころぶマット(夜を過ごす道具)

寝ころぶと、視野に空の広い範囲が入ります。国立天文台の「流星群の観察方法」も、この姿勢なら楽に長く続けられるとして、マットや寝袋を挙げています。あおむけの姿勢そのものを成り立たせる一枚です。国立天文台の「流星群の観察方法」がマットの名を挙げているのは、この姿勢を作れるからです。効き目は二つで…

防寒着(夜を過ごす道具)

動かずに待つ観察は、歩く夜より深く冷えます。国立天文台の「流星群の観察方法」も、厳寒期には防寒着や寝袋までそろえるよう書いており、体温を自分で作らない時間が続くことを前提にした支度が要ります。星を待つ夜は体をほとんど動かさないため、同じ気温でも歩いているときより早く冷えます。防寒着は熱を作る道具ではなく…

使い捨てカイロ(夜を過ごす道具)

防寒着が熱を守る側なら、こちらは熱を足す側です。指先が動くかどうかが、双眼鏡のピント合わせと星図帳を読む速さをそのまま決めるので、効き目は手のまわりに集まります。体が作れなくなった熱を、外から足す道具です。防寒着が逃がさない側を受け持つのに対し、こちらは温度そのものを持ち込みます。差が出るのは指先で…

保温ボトル(夜を過ごす道具)

外から温める道具に対して、内側から戻す一本です。冷えた体に熱い一杯が入ると持ったカップで手も同時に温まり、真夜中に切り上げるか続けるかの分かれ目になります。飲むことで、体の内側から熱を戻す道具です。防寒着は熱を逃がさず、使い捨てカイロは触れた面を温めますが、どちらも外からの受け持ちで、冷え切った芯までは届きません。…

虫よけスプレー(夜を過ごす道具)

夏の夜は、蚊のほうが先に観察を切り上げさせます。有効成分はディートとイカリジンの二つで、表示された濃度が表すのは効きの強さではなく、効いている時間の長さです。見上げている時間を、蚊に切り上げさせないための道具です。蚊は吐く息の二酸化炭素と体のにおいを頼りに寄るため、草地や水辺でじっと待つ姿勢は見つかりやすい状態です。…