リクライニングチェア
夜を過ごす道具
首が保たなくなって、観察が終わることがあります。立ったまま見上げる格好を、国立天文台の「流星群の観察方法」は無理な姿勢だとしています。
何が見えるようになる道具か
上を向く姿勢を、首ではなく背中に受け持たせる椅子です。頭を後ろへ倒し続ける格好は長く保たず、国立天文台の「流星群の観察方法」も無理な姿勢に挙げています。背を倒すと視線が自然に空の高いところへ向き、一時間を超えても首が先に音を上げなくなります。双眼鏡を構えたまま座れるのがこの道具の持ち場で、肘を体につけて支えられるぶん、手持ちのままでも像の揺れが小さくなります。この椅子が延ばすのは、同じ姿勢で待っていられる時間です。
選ぶときに見るところ
背をどこまで倒せるかが第一です。座った角度では視線が空の低いところまでしか上がらず、背が水平に近いところまで倒れる型でようやく天頂寄りが正面に来ます。段階で止まる型か無段階かで、途中の角度に置けるかが変わります。次に耐荷重の表示で、着ぶくれた服と双眼鏡ぶんの余裕を見ます。頭を預ける部分があれば首の負担は減ります。畳んだ大きさと重さは歩く距離と釣り合わせ、暗がりでも手順を間違えない組み立てかを昼のうちに確かめます。
使うときの注意
座面の布一枚を通して、体温が背中から抜けます。背の下に寝ころぶマットを挟むか、防寒着を一枚敷くと止まります。柔らかい地面では脚が沈み、傾いてから気づきます。芝や砂の上では板を敷きます。暗がりでの組み立ても事故のもとで、金具に指を挟む形の椅子は明るいうちに開いておきます。倒したまま眠り込むと体温が下がるため、寒い夜は起きていられる範囲で使います。
無いときの代わり
寝ころぶマットが代わりになりますが、向いている見方が違います。椅子は双眼鏡を構えたまま座り続ける側、マットは全天を流し見る側です。椅子が無い夜は、車の座席を倒して窓から見る、階段や土手の斜面に背を預けるといった手があります。荷物を背中に積んで角度を作るだけでも、首は保ちます。折りたたみの椅子に、丸めた上着を首の後ろへ入れると、倒れない椅子でも視線が上がります。地面に直接座るなら、冷えは尻から来ます。