野鴨星団
散開星団
見え方: 双眼鏡で見える
散開星団なのに、双眼鏡では球状星団に見えます。星が例外的に密集していて、丸い光の塊のまま粒に分かれてくれないためです。
何がどう見えるか
肉眼では届かず、視直径22.8分の小さな丸い光として双眼鏡に入ります。NASA は明るさを6.3等としており、粒に分かれない一つのしみに見えるところが他の散開星団と違います。球状星団と取り違えやすいのはこのためで、周囲の星の密度と、輪郭のわずかな不ぞろいが見分けの手がかりになります。
探しかた(目じるしからの道順)
わし座のアルタイルから南西へ、たて座の方向へ下ります。天の川がひときわ明るく盛り上がるたて座の星の雲の東の縁にあり、その明るい部分を目じるしに視野を送れば届きます。目当ては星ではなく6等台の小さな丸い光なので、視野を止めて背景の粒より膨らんだものを拾います。夏から秋の宵に南の空へ来て、南中では高度49度まで上がります。天の川が見えない空では手がかりごと消えます。
双眼鏡で何が増えるか
丸いしみの縁が、いくつかの粒に割れます。中心は溶けたままですが、視線を少し外すそらし目で外周の星が数個立ち上がります。NASA は双眼鏡では三角形の光の斑点に見えると書いており、この三角が名前の由来にあたる形です。手持ちのままでは丸いしみで終わりやすく、肘を固定すると縁の粒が出ます。双眼鏡用の三脚に載せれば、縁が割れるかどうかをじっくり確かめられます。
写真との落差
写真では、数百個の星が扇形に群れた密な星団に写ります。長時間露光では16等台までの870個ほどが分離するため、飛ぶ鳥の群れという見立ても画像でなら成り立ちます。双眼鏡では中心が溶けた丸いしみで、V字の並びは出ません。色も白っぽいまま、背景の天の川と地続きに見えます。写真では散開星団らしく粒が散っているのに、目には球状星団のような玉に見えるという、向きの入れ替わった落差です。
正体
およそ6100光年先にある、年齢3億年ほどの散開星団です。知られている散開星団の中でもっとも密集した部類で、16.5等より明るいメンバーが870個ほど数えられています。1681年にキルヒが記録し、メシエが1764年に番号を付けました。名は明るい星が作る三角の並びを、飛ぶ水鳥の群れに見立てたものです。