ふたご座M35
散開星団
見え方: 双眼鏡で見える
満月ほどの広がりに、5等の光が置かれています。暗い空では肉眼で淡いしみ、双眼鏡では粒のざらつきまで、見え方が段階的に変わります。
何がどう見えるか
全体の等級は5.3、広がりはおよそ28分角で、満月とほぼ同じ面積に光がほどけています。この明るさは百個を超える星に分かれているため、一つの点としては目に入りません。空の暗い場所では輪郭のぼやけた淡いしみとして肉眼に届きますが、街あかりの下では背景に紛れ、何も無い空にしか見えません。ふたご座の足もとという位置が分かっていても、そこに何かがあると気づけるかどうかは、その晩の空の暗さで割れます。同じ人が同じ場所で見ても、判定は夜ごとに動きます。
探しかた(目じるしからの道順)
オリオン座の三つ星を左上へ延ばすとカストルとポルックスに届き、その足もと、西の端が目じるしです。足の先で光るエータ星のすぐ北西、2度ほど離れたところに入っています。三つ星から順に辿るより、カストル側の足を先に見つけて双眼鏡を当てるほうが速く届きます。冬の宵、東の低い空にあるうちは大気減光で光が削られるため、南の高いところへ上がるまで待つほうが確かです。真夜中前には天頂近くまで来ます。
双眼鏡で何が増えるか
淡いしみが、数十個の粒に割れます。7倍の双眼鏡なら星団の全体が視野の中央に収まり、明るい星が短い列や弧を作る並びまで見えます。肘を固定して数秒見つめ続けると粒の数が増え、そらし目を使うといっそうざらつきます。ただし、すぐ南西のNGC2158は淡すぎて双眼鏡では点にもならず、M35の縁がわずかに濁って感じられる程度にとどまります。倍率を上げても、この隣人だけは粒に割れません。
写真との落差
写真では青白い星とオレンジの星が入り混じった密な集団に写り、南西のNGC2158まで細かい粒の塊として分かれます。長時間露光は暗い星を積み上げるので、写る星の数が目に届く数を大きく超えます。目と双眼鏡では色はほとんど白っぽく、明るい十数個の外は粒に割れない淡い光のままです。二つの星団が粒立って並ぶ画像の姿は、双眼鏡では再現しません。写真は同じ天体の別の見え方だと考えておくほうが、実際の視野に落胆しません。
正体
およそ2900光年先で、数百個の星がゆるくまとまった散開星団です。差し渡しは20光年あまり、年齢は1億年ほどと見積もられています。見どころは同じ視野に手前と奥が並んでいることで、隣のNGC2158は同じくらいの大きさに見えながら1万光年を超える遠くにあるとされ、年齢も一桁古い別の集団です。近い星団は粒に割れ、遠い星団は割れないという距離の差が、一つの視野の中で見比べられます。