プレセペ星団
散開星団
見え方: 空が暗ければ肉眼で
肉眼では、粒が一つも分かれません。ぼんやりしたもやが見えるだけで、双眼鏡を向けると数十個の星に割れる——この落差がこの星団の見どころです。
何がどう見えるか
輪郭のはっきりしない、小さなもやの塊として見えます。視直径95分は満月三つ分にあたりますが、個々の星は一つも分離せず、指先でこすったような淡い光が残るだけです。明るさは3等台なので空さえ暗ければ位置はすぐ分かり、市街地の空では跡形もなく消えます。見えるか見えないかが、その夜の空の暗さの目安になります。
探しかた(目じるしからの道順)
しし座の頭とふたご座のポルックスを結んだ線の、ちょうど真ん中あたりにあります。かに座は暗い星ばかりで形をたどれないので、両側の明るい星座から挟み込むほうが速いです。春の宵に南の空へ来て、高度75度前後の高いところを通るため、低空の街明かりからは離れた位置で探せます。月が近い夜は淡い光が背景に溶け、線の中ほどに何もない空だけが残ります。
双眼鏡で何が増えるか
もやが、いきなり数十個の粒に割れます。視直径95分の広がりは実視界6度前後の双眼鏡ならゆとりをもって視野の中央に収まり、三角形や短い弧を作る星の並びが浮かびます。視野の中心から少し目線を外すと暗い星が増えるのはそらし目の効きで、この星団はその練習に向いています。手ぶれが残ると粒が線に伸びて数が減ります。肘を何かに預けて像を止めると、消えていた暗い粒が戻ります。
写真との落差
写真では、青白い星が数百個ひしめく密な集団に写ります。露光を伸ばせば10等より暗い星まで写り込むためで、目と双眼鏡で数えられるのは数十個にとどまります。色も画像ほどには出ず、ほとんどが白っぽい点として見えます。肉眼に届くのは、その数十個の光が溶け合った一つのもやです。写真の粒立ちを覚えたまま肉眼で探すと、同じ場所を見ていても何も無いと思ってしまいます。
正体
およそ600光年先にある、千個ほどの星の集まりで、メシエ番号はM44です。ラテン語で飼い葉桶を意味するプラエセペが名の由来で、両脇の二つの星は桶に顔を寄せるロバに見立てられました。紀元前3世紀のアラトスは「かすんで見えたら雨の前兆」と書き残しており、見え方が空の状態を映すことは古くから使われていました。