おうし座シータ星
二重星
見え方: 肉眼で見える
ヒアデスのV字の中に、肉眼で二つに割れる星があります。離角は5.62分角、3.4等と3.8等の対で、二つとも星団の一員です。
何がどう見えるか
おうし座の顔をつくるV字の、南側の辺の中ほどに並ぶ二つの星です。明るいほうが3.4等、暗いほうが3.8等で、離角は5.62分角あります。満月の視直径の五分の一ほど離れているので、視力が届けば肉眼のまま二粒に分かれます。3等台の星は街あかりの下でも残るため、光害のある空でも対そのものは追えますが、周りに散る暗い星は消えます。
探しかた(目じるしからの道順)
オリオン座の三つ星を右上へ伸ばすと、赤いアルデバランに行き当たります。そこから西へ、横倒しのV字が5度ほどの幅で広がっていて、これがヒアデス星団です。V字の南側の辺をアルデバランから内側へ二つ目、一つの星が二粒に分かれて見える場所がシータ星にあたります。分かれ方が心もとないときは、双眼鏡で確かめてから肉眼に戻します。
双眼鏡で何が増えるか
倍率より実視界の広さが効く対象です。6倍から8倍の双眼鏡なら実視界が5度以上取れ、V字ごと一つの視野に収まります。この中でシータ星の二つは楽に離れ、明るいほうがわずかに白く、暗いほうが黄みを帯びて見えます。同じ視野に7等前後の星が数十個現れるのがいちばんの変化で、対だけを見ていたときとは密度が変わります。
写真との落差
写真では、V字の星々に六本の光条や大きな丸いにじみが付き、背景に淡いもやが写ります。光条はレンズの絞り羽根や鏡を支える金具が作る回折像で、目で見るかぎり現れません。にじみの大きさは露出時間で変わるため、写真の粒の大小は明るさの順そのままではありません。目に映るのは、大きさを持たない光の点が二つ並ぶ姿だけです。
正体
二つともヒアデス星団に属し、およそ150光年の距離で同じ向きに動いています。ヒッパルコス衛星の年周視差から星団までは153光年と測られ、シータ星もその中に入ります。明るいシータ2は1.82時間で0.07等ほど変わるたて座デルタ型の変光星ですが、この幅は目には出ません。すぐそばのアルデバランは67光年の手前の星で、星団の一員ではありません。