こと座デルタ星

二重星

見え方: 双眼鏡で見える

色の差が双眼鏡ではっきり出る、広い組み合わせです。4.2等の赤い巨星と5.6等の青白い星が約10分角離れていて、低い倍率のほうがよく見えます。

何がどう見えるか

こと座の平行四辺形の、北東の角にあたる場所で二つに分かれます。4.2等の赤い星と5.6等の青白い星がおよそ10分角離れた対で、満月の視直径の三分の一にあたる広さです。空が暗ければ肉眼でも二つに割れるほど離れていますが、暗いほうが5等台なので、市街地では赤い星が一つ見えるだけになります。

探しかた(目じるしからの道順)

こと座のベガから南東へ、小さな平行四辺形が続いています。ベガに近い側の二つの角のうち、東寄りの角がデルタ星です。ベガと平行四辺形をまとめて視野に入れ、角の一つに寄せると迷いません。同じ枠の中にはこと座イプシロン星もありますが、そちらはベガの北東で、離角3.5分角と細かい対です。離角の広さで二つを区別できます。

双眼鏡で何が増えるか

6倍から10倍のどれでも離れますが、低い倍率のほうが二つを一目でくらべやすい対象です。赤とも橙ともつかない色と青白い色が並び、色の差が双眼鏡で分かる数少ない例になります。アルビレオは離角35秒角で、分けるのに10倍前後と支えが要るのに対し、こちらは広さに余裕があります。さらに周りに8等から10等の星が数十個散っているのが見えてきます。

写真との落差

写真では赤と青が誇張され、二つの星が大きな丸い玉として写ります。玉の大きさは露出とにじみが作るもので、実際にはどちらも大きさを持たない点です。目に映る色はもっと淡く、赤いほうは灰色がかった橙、青白いほうはほとんど白に寄ります。暗い光では色を感じる細胞の働きが落ちるため、写真の彩度がそのまま目に出ることはありません。

正体

二つは回り合う連星ではなく、たまたま同じ方向に重なって見えている対です。赤いほうのデルタ2は0.2等ほど不規則に変わる半規則変光星で、散開星団ステフェンソン1、通称デルタ星団のいちばん明るい一員にあたります。20分角ほどの範囲に数十個の星が散らばるまばらな星団で、対の背後に星団があるという重なりがこの視野の正体です。