やぎ座アルファ星
二重星
見え方: 肉眼で見える
並んで見えることと、結びついていることは別です。6.6分角離れた3.6等と4.3等のこの二つは、距離がまったく違う無関係の星です。
何がどう見えるか
やぎ座の頭にあたる位置で、3.6等と4.3等の星がおよそ6.6分角、0.11度離れて並びます。6.6分角は満月の直径の五分の一ほどあり、視力がふつうに出ていれば肉眼で二つに分かれます。市街地の空でも明るいほうは残りますが、暗いほうが背景に沈むと一つの星になります。夏から秋の宵、南のやや低い空にあり、周りに明るい星が無いぶん、この二つだけが目に留まります。
探しかた(目じるしからの道順)
わし座のアルタイルから南東へ20度あまり、腕を伸ばしたこぶし二つ分ほど下げた先にあります。周りに明るい星が少ない領域なので、横に並んだ二つという形そのものが目じるしになります。やぎ座の逆三角形では右上の角にあたり、ここから左下へ辿ると星座の形が見えてきます。南の低い空を通るため、都市の光が溜まる高度では暗いほうが先に消え、対だと分からなくなります。
双眼鏡で何が増えるか
双眼鏡では間隔がはっきり開き、どちらも黄色みを帯びた星として見えます。7倍で視野の中央に置けば、間に何も無い黒い空が確かめられます。ただし倍率を上げても増える情報はほとんどなく、この対は双眼鏡向きというより肉眼向きです。分かれて見えるかどうかをまず肉眼で試し、答え合わせに双眼鏡を使うという順で見ると、自分の目がどこまで効いているかが分かります。
写真との落差
写真では黄色い二つの星が仲よく並んだ絵になり、長時間露光では周りの暗い星まで拾われて、小さな集まりの中心にいるように写ります。目と双眼鏡に届くのは二つだけで、色も白に近い淡い黄です。何より画像は二つが並んで見える理由を写しません。奥行きの違いは写真に出ない情報で、同じ絵から、結びついた対と見かけだけの対を見分けることはできません。
正体
明るい3.6等はおよそ109光年先の巨星、暗い4.3等は600光年を超える超巨星で、同じ方向に重なって見えているだけの見かけの二重星です。距離は五倍以上離れており、互いに何の関わりもありません。固有名の「アルゲディ」は、IAUが明るいほうの星にだけ与えた名です。重力で結びついたミザールとアルコルと並べると、並んで見えることと結びついていることの違いが見えます。