アルビレオ

二重星

見え方: 双眼鏡で見える

金色と青の対比は、倍率を上げないと出てきません。離角34.3秒角は8倍の双眼鏡には狭く、10倍以上と手ぶれ対策で初めて二つに分かれます。

何がどう見えるか

はくちょう座のくちばしにあたる3.1等の星で、肉眼ではただの一つの星としか見えません。すぐ横に5.1等の星が34.3秒角離れていますが、34秒角は満月の直径の五十分の一ほどで、肉眼の分解能では届かない間隔です。夏の宵、天頂近くの夏の大三角の中に置かれた地味な星で、名前を知らなければ通り過ぎます。中身は倍率を上げて初めて現れ、見る道具と構えかたで結果が分かれます。

探しかた(目じるしからの道順)

こと座のベガとわし座のアルタイルを結んだ線のほぼ中ほど、そこから北へ少し寄ったところにあります。はくちょう座の十字を尾のデネブから頭のほうへ辿り、十字の足の先で止まるのが確かです。周りに明るい星が無いので視野に入れてもそれと分からないことがあり、十字の軸の延長という位置関係で確かめます。天頂に近い時季は首をそらし続けることになり手ぶれも増えるため、寝ころべる場所を選ぶと構えが安定します。

双眼鏡で何が増えるか

8倍の双眼鏡では、細長く伸びた一つの光にしか見えないことが多いです。10倍から12倍まで上げ、柵や三脚に預けて像を止めると、橙色に寄った主星と青い伴星が離れます。防振双眼鏡のように揺れを抑える手だてがあれば、同じ倍率でも分かれやすくなります。色の差は暗順応が進むほど濃く感じられ、揺れが残ると二つの色は混ざって一つの黄色い光に戻ります。倍率と固定、この二つが効く対です。

写真との落差

写真の金と青は、目に見える色よりずっと濃く出ています。長時間露光では、色を感じる細胞が働かない暗さでもカメラは色を拾い、飽和した二色として写ります。目に届くのは橙がかった白と、白に近い青という程度の対比で、色の乗り方は空の暗さと目の慣れで動きます(星は写真のように色とりどりに見える)。画像の色を基準に探すと、実際の視野では色が薄すぎて同じ星か疑うことになります。

正体

明るいほうは橙色の巨星、暗いほうは高温の青い星で、色の差はそのまま表面温度の差です。距離はおよそ430光年とされますが、二つが回り合う連星なのか、たまたま同じ方向に重なった見かけの対なのかは、ガイア衛星による視差と固有運動の測定を経ても決着していません。主星の側はさらに二つに分かれることが分かっており、三つ以上の星がからむ組である可能性が残っています。