ミザールとアルコル

二重星

見え方: 肉眼で見える

北斗七星の柄の端から二つ目に、寄り添う星があります。離角はおよそ12分角で、視力の試しとして古くから使われてきた対です。

何がどう見えるか

おおぐま座の北斗七星、柄の端から二つ目にある2.2等の星に、4.0等の小さな星がおよそ12分角離れて寄り添います。12分角は満月の直径の三分の一強にあたる広い間隔で、空が暗く視力が出ていれば肉眼で二つに分かれます。町なかの空や目が疲れているときは、明るいほうの光に飲まれて一つの星にしか見えません。分かれて見えるかどうかが夜ごとに変わるので、自分の目と空の状態を測る物差しとして使えます。

探しかた(目じるしからの道順)

ひしゃくの柄を先端から二つ数えた星がミザールで、目じるしそのものがこの星です。北の空にある周極星なので日本の緯度では一年中沈まず、春の宵には天頂近く、秋の宵には北の低い空へまわります。柄の曲がり角にあたる星を先に確かめ、その一つ外側を見ると迷いません。低い位置にあるときは大気のゆらぎで二つがにじみ、同じ夜でも高いときより分かれにくくなります。天頂に近い春から初夏の宵がいちばん条件よく見られます。

双眼鏡で何が増えるか

どの倍率の双眼鏡でも、余裕をもって二つに離れます。7倍でも間隔ははっきり空き、二つの間に置かれた8等ほどの暗い星まで拾えることがあります。ミザール自身が14秒角でAとBに割れることは、双眼鏡では確かめられません。それは望遠鏡の領分で、この本が扱えるのはミザールとアルコルという広い対までです。双眼鏡でできるのは、肉眼で下した判定の答え合わせと、間の暗い星を拾うことの二つになります。

写真との落差

写真ではミザールが二つに割れ、間の暗い星まで写った四つの光の並びになりますが、これは焦点距離の長いレンズで拡大した結果です。肉眼と双眼鏡に届くのは二つで、色もどちらも白っぽく、画像に乗る青みは感じられません。露光を伸ばした写真では周りの暗い星も増えるため、見上げた空のまばらさとは印象が変わります。四つ写った画像を先に見ていると数え間違えたように思えますが、双眼鏡ではそれが正しい姿です。

正体

ミザールはAとBに分かれ、そのそれぞれが分光観測でさらに二つずつと分かった四重星です。アルコルにも暗い伴星が見つかり、ママジェクら 2010 は合わせて六つの星から成る系として扱っています。距離はおよそ83光年、二つの間には0.3光年を超える隔たりがありますが、それでも重力で結びついていると考えられています。並んで見えるだけのやぎ座アルファ星とは、この点が違います。