イチジク
実のなる木
触れたときの扱い: 樹液・毛・汁に注意(触れたら洗う) / 見ごろ: 秋(9〜11月)
実に見えるものは、花の入れ物です。イチジクは袋の内側を向いて花が咲く隠頭花序なので、外からは開いた花を見つけられません。
ひと目の手がかり
庭の隅や畑の縁、空き家の塀ぎわに残る落葉の小高木で、街路樹の調査には出てきません。枝は太く、同じ太さのまま曲がって伸びるので、冬でも姿で見当が付きます。葉は手のひらほどに大きく3〜5つに裂け、夏には葉のつけ根に緑の小さな袋が並びます。この袋の内側に花があり、花序としては隠頭花序と呼ばれます。外から花を探しても見つからないことが決め手で、開いた花を探すほど遠回りになります。
葉と樹皮
葉は互生し、長さ10〜20cm、幅も同じくらいで、葉の切れ込みが3〜5裂と深く入ります。表面はざらつき、裏面には短い毛が立ち、手のひらでなでると引っかかりを感じます。葉柄は5〜10cmと長く、折ると切り口から白い乳液がにじみます。樹皮は灰白色でなめらか、切った跡は黒く残ります。落葉後の枝には葉痕が大きな丸として並び、枝の太さと葉痕の大きさで冬でも引けます。
季節の見どころ(花・実・紅葉・冬芽)
6〜7月に前年の枝から夏果が、8〜10月に当年の枝から秋果が熟し、黒みを帯びた紫か黄緑に変わって下向きに垂れます。花期という見どころを持たない木で、開花は袋の内側で終わってしまいます。熟すと袋の先が開き、そこから虫や鳥が入ります。冬は葉を落とし、太い枝と大きな葉痕だけが残るため、この季節は枝の形と葉痕で見ます。
触れたらどうなるか
枝や葉柄、未熟な実の切り口から出る白い乳液が問題になります。乳液にはフィカインという分解酵素とフロクマリンが含まれ、付いたまま日に当たると強い皮膚炎になります。これが光毒性接触皮膚炎で、赤みや水ぶくれは半日から一日遅れて出ることが多く、原因と結び付けにくい症状です。付いたらすぐ石けんで洗い流し、その日はその部分を日に当てないのが対処になります。葉のざらつき自体は、刺激として知られていません。
まちがえやすい木
葉が裂ける点で、同じクワ科のヤマグワやコウゾ、カジノキと迷います。イチジクの葉は3〜5裂が深く、葉柄が長く、株の中で形がそろいます。ヤマグワは同じ株で切れ込みの有無が混ざり、葉はもっと小さく、枝も細く伸びます。カジノキとコウゾは葉の両面がざらつき、実が球形で赤く熟すので、袋のまま垂れるイチジクとは実の形で分かれます。カキノキの若い株とも枝ぶりが似ますが、葉に切れ込みが入りません。