英語の音図鑑

/æ/(短母音)

/æ/は、catのaが表す音で、日本語の「ア」と「エ」の中間にある、あごを下げて1つの音として出す母音です。拗音ではなく、airのように「エア」と2つに割りません。Strangeらの2001年の実験では、日本語話者がこの音を同じ日本語の音にまとめる一貫性が32%と、調べた11母音の中で最も低くなりました。…

/ʌ/(短母音)

/ʌ/は、cupのuが表す、力を抜いて短く出す「ア」です。あごを少し下げるだけで、舌も唇も特別な形を作りません。/æ/と混同するとcutとcatが同じ音になってしまい、あごを下げれば/æ/、下げなければ/ʌ/という区別が、2つの音を作り分ける決め手になります。Pronunciation with Emmaは…

/ɪ/(短母音)

/ɪ/は、sitのiが表す、日本語の「イ」より力を抜いて少し「エ」に寄せた短い母音です。「イ」の口を作ってから力を抜いて少し開くと出せます。日本語の「イ」で代用すると/iː/と同じになり、shipとsheep、liveとleaveが区別できなくなります。Yazawaらの2019年の研究では…

/ə/(短母音)

/ə/は、aboutのaのように英語でいちばん多く出る、弱く短くあいまいな母音です。口を半開きにして、舌も唇も何もせずため息のように出します。強く読む音節には現れず、弱く読む音節だけに出るのが特徴で、日本語には弱い母音という概念がないため、日本語話者の英語が平坦に聞こえる最大の理由になっています。弱く、短く…

/iː/(長母音・二重母音)

/iː/は、seeのeeが表す、唇を横に引いて舌を高く緊張させる母音です。「長母音」と呼ばれますが、長さそのものは固定ではなく、強勢や後ろの子音で変わります。日本語話者は長さだけで区別しようとしがちですが、実際の違いは口の緊張の有無で、shipとsheepは「ゆるいイ」と「張ったイ」の対です。…

/oʊ/(長母音・二重母音)

/oʊ/は、goのoが表す、「オ」から「ウ」へ動く二重母音です。1つの音ではなく、動きそのものが音になっています。カタカナでは「ゴー」「ボート」と伸ばして書かれるため動きが消えがちで、goを「ゴウ」、boatを「ボウト」と意識して唇を途中ですぼめるのが、英語らしく聞かせる第一歩です。…

/ɜːr/(r音性母音)

/ɜːr/は、bird・hurt・earthのように、つづりがir・ur・earでも同じ音になる、舌を奥に引いて丸めるこもった響きの母音です。記号は2つでも母音に後からrを足すのではなく1つの音で、「アー」でも「ウー」でもありません。日本語話者は「アー」で代用しがちですが、舌を丸めないとrの響きが出ません。…

/θ/(子音(破裂・摩擦))

/θ/は、thinkのthが表す、舌先を上下の歯で軽く挟んで息を通す、声を出さない摩擦音です。強く噛む必要はなく、息が通る隙間があれば十分に出せます。日本語話者は/s/で代用しがちで、thinkがsinkに、thankがsankに聞こえてしまうため、鏡で舌先が見えているかを確かめる練習が効果的です。…

/ð/(子音(破裂・摩擦))

/ð/は、thisのthが表す、/θ/と口の形はまったく同じで、のどを震わせて声を出すかどうかだけが違う音です。other・either・though・brotherなどに現れます。日本語話者は/z/で代用しがちで、thisが「ジス」に聞こえてしまうため…

/l/(子音(鼻音・接近音))

/l/は、light・loveのように舌先を上の歯ぐきにしっかり付けて、舌の両脇から声を流す音です。母音の前のlは舌先を前歯の裏の上あごに付けますが、ball・feelのような語末のlは暗いlと呼ばれ、舌先を上げず舌の奥を喉のほうへ引きます。日本語のラ行は舌先で弾く音なので、付けたままにするこの作り方とは別物です。…

/r/(子音(鼻音・接近音))

/r/は、right・redのように舌先をどこにも触れさせないまま、舌の中ほどを上あごへ持ち上げる音です。唇の両端を寄せて前へ張り出し、声を出したまま息が続くかぎり伸ばして言えます。日本語のラ行は舌先が上の歯ぐきに触れる音なので、そのまま使うとlの作り方になり…

/ŋ/(子音(鼻音・接近音))

/ŋ/は、singのngが表す、舌の奥を持ち上げて口をふさぎ、鼻から息を出す音です。日本語の「りんご」「まんが」の「ん」も後ろの音と同じ場所の舌の奥で作られるため、日本語話者が無意識に出せている数少ない英語の音です。問題は音そのものではなく、singやwrongでngのあとにgやkを足してしまうことです。…

/e/(短母音)

/e/は、bedのeが表す、日本語の「エ」とほぼ同じ高さで発音される短い母音です。舌の位置は/ɪ/よりわずかに低く/æ/よりはっきり高い、ちょうど中間に位置します。日本語の「エ」を当てても大きく外れませんが、/æ/との境目があいまいだとbedとbadが同じ音に聞こえてしまい、あごを下げすぎないことがコツです。…

/ɒ/(短母音)

/ɒ/は、hotのoが表す、唇を丸めながら短く出す「オ」で、イギリス英語(RP)がhotやlotのような超頻出語で使う短母音です。日本語の「オ」よりも口の奥のほうで響き、こもったような音色になります。アメリカ英語ではこの/ɒ/は使われず、hotやlotは/ɑː/という別の音に統合されて…

/ʊ/(短母音)

/ʊ/は、bookのooが表す、唇を丸めて短く出す、力の抜けた「ウ」です。/uː/と対になる短母音で、同じ唇の丸めを使いながら緊張させずにゆるく発音し、長さは/uː/の半分ほどです。日本語の「ウ」で代用しても大きくは外れませんが、長さをそろえないとbookとbootの区別が消えてしまいます。唇を丸めて短く出す…

/uː/(長母音・二重母音)

/uː/は、foodのooが表す、唇を強くすぼめて長く伸ばす「ウー」です。/ʊ/よりも緊張感があり、唇の丸めと舌の高さをはっきり保ったまま音を伸ばし続けます。日本語の「ウー」は唇をあまり丸めずに出す音なので、唇を前に突き出す動きを足すだけで、foodとfoot、poolとpullのような対を区別しやすくなります。…

/eɪ/(長母音・二重母音)

/eɪ/は、dayのaが表す、「エ」から始まって「イ」へなめらかに動く二重母音です。始まりの「エ」がはっきりしていて、終わりの「イ」は軽く添えるだけで十分です。カタカナでは「デイ」「メイク」と書かれて動きが消えがちで、dayを「デー」と伸ばして止めると、英語の耳には別の音として届いてしまいます。…

/aɪ/(長母音・二重母音)

/aɪ/は、timeのiが表す、口を大きく開けた「ア」から一気に「イ」へ閉じていく二重母音です。/eɪ/より動きの幅が大きく、始まりの「ア」がはっきり聞こえます。I という代名詞そのものがこの音1つだけでできているほど日常でよく使う音で、「ア」を長めに「イ」を短く添える配分が英語らしい滑らかさに近づきます。…

/aʊ/(長母音・二重母音)

/aʊ/は、howのowが表す、口を大きく開けた「ア」から唇をすぼめながら「ウ」へ動く二重母音です。/aɪ/と同じく「ア」から始まりますが、行き先が「イ」ではなく「ウ」である点が違います。日本語の「アウ」は2つの母音を別々に言う癖がついているため、「ア」を長めに保ち丸めは最後に添える練習が必要です。…

/ɑːr/(r音性母音)

/ɑːr/は、carのarが表す、口を大きく開けた「アー」に舌を奥へ引いて丸めるrの響きを重ねた音です。/ɜːr/よりも口の開きが大きく、はっきりした「ア」の音色を保ったままrが付きます。イギリス英語(RP)ではこのrをほとんど発音せず単なる長い「アー」になり、アメリカ英語ではrの響きをはっきり残します。…

/ɔːr/(r音性母音)

/ɔːr/は、forのorが表す、唇を丸めた長い「オー」に舌を奥へ引いて丸めるrの響きを重ねた音です。/ɑːr/と同じ舌の動きを使いますが、唇を丸めるかどうかという点が違います。イギリス英語(RP)ではやはり語末のrを発音せず長い「オー」だけが残り、アメリカ英語ではrの響きが最後まで聞こえます。…

/p/と/b/(子音(破裂・摩擦))

/p/と/b/は、pig・bigのように唇を一度しっかり閉じてから息を破裂させて出す音で、口の形も動かし方もまったく同じで、声帯が震えるかどうかだけが両者を分けます。震えれば/b/、震えなければ/p/です。日本語の「パ」は息の勢いが弱いため、語頭の/p/が英語話者には/b/に近く聞こえることがあります。…

/f/と/v/(子音(破裂・摩擦))

/f/と/v/は、fan・vanのように上の前歯を下唇に軽く当て、そのすき間から息をこすり出して作る摩擦音で、声帯を震わせれば/v/、震わせなければ/f/になります。日本語には歯を使うこの音が無いため、多くの日本語話者は/v/を/b/で代用し、veryがberryのように聞こえてしまいます。上の前歯を下唇に軽く当て…

/s/と/z/(子音(破裂・摩擦))

/s/と/z/は、sip・zipのように舌先を上の歯ぐきのすぐ後ろに近づけ、そのせまいすき間から息を出してシューという摩擦音を作る子音で、声帯を震わせると/z/、震わせないと/s/になります。単語の中でとても出現頻度が高く、複数形や三人称単数の-sも同じ音のなかまです。…

/ʃ/と/ʒ/(子音(破裂・摩擦))

/ʃ/と/ʒ/は、ship・visionのように舌の面を広く持ち上げ唇を軽く丸めて出す、こもったシュー音です。声帯を震わせれば/ʒ/、震わせなければ/ʃ/で、/ʃ/は日本語の「シャ・シュ・ショ」に近く出しやすい一方、/ʒ/は日本語に存在せず、多くの人が破裂の混じった「ジュ」で代用してしまいます。…

/tʃ/と/dʒ/(子音(破裂・摩擦))

/tʃ/と/dʒ/は、chair・jumpのように舌先で一度息を止めてから/ʃ//ʒ/と同じすき間へ息を抜く、2段階の破擦音です。声帯を震わせれば/dʒ/、震わせなければ/tʃ/になります。日本語にもともとチャ行・ジャ行があるため、この音自体で大きくつまずくことは少ない子音です。舌先で一度息を止めてから…

/h/(子音(破裂・摩擦))

/h/は、hotのhが表す、口の中でどこもふさがず、のどの奥からただ息を出すだけの音です。続く母音の口の形をあらかじめ作っておき、そこへ息を通すだけで出せます。hourやhonestのようにhをつづりに持ちながら発音しない語もあり、母音から始まる語として扱われan を前に置きます。口の中でどこもふさがず…

/m/(子音(鼻音・接近音))

/m/は、manのmが表す、唇をしっかり閉じたまま鼻から声を出し続ける音です。/b/と同じ場所で唇を閉じますが、息を止めずに鼻へ逃がし続ける点が違い、日本語のマ行と作り方はほぼ同じです。問題は語末で、sum・sun・sungのように英語は語末の/m//n//ŋ/を別の語として区別しますが…

/n/(子音(鼻音・接近音))

/n/は、netのnが表す、舌先を上の歯ぐきに当てたまま鼻から声を出し続ける音です。/d/と同じ場所に舌を当てますが、息を止めずに鼻へ逃がし続ける点が違い、日本語のナ行とほぼ同じ作り方です。語末に立つとsunの/n/とsungの/ŋ/が日本語の「ん」ではどちらも同じに聞こえてしまうため、舌の位置で区別します。…

/w/と/j/(子音(鼻音・接近音))

/w/と/j/は、we・yesのように母音に近い口の形を作ってから次の母音へすべり出す「わたり音」です。/w/は唇を丸めた「ウ」の形から、/j/は「イ」の形から出発します。日本語のワ行は「ワ」以外にほとんど使われず唇もあまり丸めませんが、英語の/w/はどの母音の前にも現れ、そのたびに唇を丸める必要があります。…