/ŋ/
子音(鼻音・接近音)
/ŋ/は、singのngが表す、舌の奥を持ち上げて口をふさぎ、鼻から息を出す音です。日本語の「りんご」「まんが」の「ん」も後ろの音と同じ場所の舌の奥で作られるため、日本語話者が無意識に出せている数少ない英語の音です。問題は音そのものではなく、singやwrongでngのあとにgやkを足してしまうことです。
どんな音?
舌の奥を持ち上げて口をふさぎ、鼻から息を出す音です。Rachel's English(アメリカ英語)は、あごを少し下げて唇を開き、舌先は前に置いたまま、舌の奥を軟口蓋まで上げ、下がった軟口蓋から息が鼻へ抜けて鼻に響きを感じると説明します。アメリカ英語では語頭には来ず、along のように語の途中や、ring のように語末に出ます。
口の作り方
日本語の「ん」は、発話の途中では後ろの音と同じ場所で作られる(Maekawa 2021)ので、「りんご」「まんが」の「ん」は舌の奥で作られ、この音と同じ位置です。日本語話者が無意識に出せている数少ない英語の音なので、意識するだけで使えます。ただし発話の最後の「ん」は位置が一定でなく、東京の話者11人の MRI では硬口蓋から口蓋垂まで幅がありました。sing の語末では、舌の奥が上がっているかを確かめます。
日本語とのちがい
問題は音ではなく、語末で g を足してしまうことです。Rachel's English は、sing や wrong では ng のあとに g や k を続けないと教え、fungus のように g が次の音節の頭になる語を例外にします。「シンッ」で止めるのが目標です。英国北部の話者30人の研究(Bailey 2019)では、ポーズの前で g が出る例が増えているとの報告もあります。
この音を含む語
sing, long, ring, thing, morning, English
出典
- 資料・英語 Rachel's English English: How to Pronounce NG [ŋ] Consonant
- 資料・英語 Rachel's English How to Pronounce the Letters NG - No Hard G
- 論文・英語 Maekawa K(2021) Production of the utterance-final moraic nasal in Japanese: A real-time MRI study
- 論文・英語 Bailey G(2019) Ki(ng) in the north: Effects of duration, boundary, and pause on post-nasal [ɡ]-presence
解説動画: 鼻音 m・n・ŋ の違いと、語末の g を出さないこと/Billie English
3つの鼻音のうちの1つ: 英語の鼻音は m、n、ŋ の3つで、どれも口のどこかをふさいで空気を鼻から出し、声帯を震わせる有声音だと整理している。鼻をつまむと音が出せなくなるので、鼻音かどうかはそれで確かめられる。中でもn とこの音はよく似ていて紛らわしいため、動画の後半はその違いに割かれている。
口の中で起きていること: 舌の奥を持ち上げて軟口蓋に付け、口の奥で閉鎖を作る。口は開いたままで、舌先はどこにも触れず自由なままなのが n との決定的な違いになる(n は舌先が歯のすぐ後ろに触れる)。空気は鼻から抜け、声帯は震える。正式には有声軟口蓋鼻音と呼ばれる音。
つづりと g: つづりは n のあとに g が続く2文字が基本。sing、thing、bring、going では、後ろの g は実際には発音しない。例外は think のように n と k が並ぶ形で、こちらの k は発音される。つづりが ng なので「n g 音」と呼ばれることもある、と補足している。
n との聞き分け: sin と sing のような、1つの音だけが違う最小対で練習させている。違うほうの音で言ってしまうと、まったく別の意味の単語になるから正確さが要る、というのが理由。マイク越しでは違いが聞き取りにくくても、発音するときの舌の動きの違いははっきり感じられるので、そこに集中して練習するよう勧めている。