/iː/

長母音・二重母音

/iː/は、seeのeeが表す、唇を横に引いて舌を高く緊張させる母音です。「長母音」と呼ばれますが、長さそのものは固定ではなく、強勢や後ろの子音で変わります。日本語話者は長さだけで区別しようとしがちですが、実際の違いは口の緊張の有無で、shipとsheepは「ゆるいイ」と「張ったイ」の対です。

どんな音?

日本語の「イー」に近いですが、唇をもっと横に引き、舌を高く上げて緊張させます。名前に「長」と付きますが、Rachel's English(アメリカ英語)は、母音そのものに決まった長さがあるわけではなく、長さは強勢や後ろの子音で変わると説明します(beat の t の前は短く、bid の d の前は長め)。

口の作り方

口角を左右にしっかり引いて「イー」。/ɪ/ が力を抜いた音なのに対して、こちらは力を入れる音です。Rachel's English(アメリカ英語)は、/iː/ では舌を口の天井へさらに持ち上げて口角を引き、/ɪ/ では舌と天井の間に少しすき間ができ、あごも少し下がると説明します。sit と seat、ship と sheep のような組で言い分ける練習も勧めています。

日本語とのちがい

日本語話者は長さだけで区別しようとしますが、実際は口の緊張が違います。ship と sheep は「短いイ」と「長いイ」ではなく、「ゆるいイ」と「張ったイ」です。Yazawa ら(2019)は、この2つの聞き分けで日本語話者は長さの手がかりに頼りやすく、アメリカ英語の話者は音色を重く見るという先行研究を挙げたうえで、英語を学ぶ日本語話者は同じ音でも「英語」と思って聞くと長さを使う度合いが下がると報告しました。

この音を含む語

see, eat, sheep, leave, meet, key

出典

  1. 論文・英語 Yazawa K, Whang J, Kondo M, Escudero P(2019) Language-dependent cue weighting: An investigation of perception modes in L2 learning
  2. 資料・英語 Rachel's English How to Pronounce EE vs. IH, leave vs. live
  3. 資料・英語 Rachel's English EE vs. IH, Long and Short Vowels

解説動画: 長母音 /iː/ の口の作り方と ee・ea・ie のつづり/Loguidea

この音の出し方: 上下の歯が当たるくらいまで口をほぼ閉じ、唇を横に広げて緊張させて出す音として説明している。発音しながら舌の両端が上の奥歯に触れているのを感じるとよい。短く発音される母音より長めに出す長母音の一つで、アルファベットの5番目 E をそのまま読んだ音と同じだとしている。

この音になるつづり: まず示されるのは ee と ea のつづりで、bean、sweep、eat、free、keep、leave などを一語ずつ耳で確かめてから口で再現する流れで進む。ほかに ie(achieve、believe、brief、chief、field、priest、thief)、ei(ceiling、conceive、deceive、receive、perceive、seize)、そして ey にもこの音が現れると挙げている。

e_e のつづりを見分けるコツ: eve、Pete、precede のように e がアルファベット本来の音で読まれる語では、2つ後の母音のつづりもまた e になっているかを確かめるとよいとしている。母音のつづりが e で並ぶとき、2つ前の母音を本来の音で読む規則性は比較的高い。クリスマスイブの eve も「イブ」ではなく、唇を横に引いた /iː/ から入る。

例外に注意: 同じ ie でも fiend は /iː/、friend は「エ」。ea も bean や動詞の breathe は /iː/ なのに、名詞の breath は head と同じ「エ」に変わると示し、つづりと音は必ずしも対応しないと念を押す。be 動詞の過去分詞 been も注意が要り、イギリス英語では長いビーン、アメリカ英語では短く、長母音を縮めただけではなく音質そのものが違うとしている。