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魚を入れる前に、微生物を育てる期間の過ごし方。

魚を入れる前に、餌とアンモニアだけで菌を育てる期間がフィッシュレスサイクリングです。家庭用のアンモニア水を少しずつ足し、アンモニアが酸化されて亜硝酸、続いて硝酸に変わるまで水だけで回します。ここを省いて魚を先に入れると、ろ過が追いつかずアンモニアと亜硝酸が順に積み上がる新水槽症候群に移ります。

立ち上げの進み具合は、比色式の試薬キットでアンモニア・亜硝酸・硝酸を順に追って確かめます(比色試薬の測りかた)。アンモニアが止まって亜硝酸が出始めたら菌が定着した合図で、続いて硝酸が増えていけば立ち上げが進んでいます。菌が住みつくのは水ではなくろ材や培地の表面で(生物ろ過の担い手)、アンモニアを足し始めてから硝酸が出るまでに通常6週間ほどかかり、途中で大きく早めることは難しいとZipGrowの解説動画は説明しています。同チャンネルは、市販の菌の接種剤は自分の系に合わない菌を入れることになりかねないとも述べています。

培地
ハイドロボール
培地写真: Lucis / CC BY-SA 3.0

すでに動いている系から培地や水を分けてもらえれば、この期間を短くできます。Rob Bob's Aquaponics & Backyard Farmは、既存の培地と水をそのまま移した系で、アンモニアがほぼ0、亜硝酸もごく僅かで、硝酸だけが20 mg/Lを超えて残っていた例を示し、新たに菌を育てる期間を置かずに魚を入れられる場合があると紹介しています。分けてもらう先が無ければ、数週間の立ち上げをそのまま受け入れることになります。

立ち上げの間に根付く菌の種類は、水のpHで変わります。Derikvandらの実験(2024年)は、同じ材料で接種した系をpH 7.6〜7.8とpH 5.8〜6.0の2つの条件で3.5か月動かし、アンモニアを酸化する遺伝子の構成を比べました。高いpHの系ではアンモニア酸化細菌が74%を占めたのに対し、低いpHの系では一段で硝化を担うコマモックス(Nitrospira)が97%を占めたと報告しています。亜硝酸の一時的な積み上がりも高いpHの系だけで見られ、低いpHの系では見られませんでした。こうした値は、校正した電極やpH計で測って初めて比べられます(電極の校正と保管)。

pH計写真: Ildar Sagdejev (Specious) – derivative work: Kreuzschnabel / CC BY-SA 3.0

立ち上げの途中で苗を植え始めることもできますが、アンモニア由来の養分だけでは植物に足りない成分が出ると、ZipGrowの解説動画は注意しています。育ちかけた菌の膜は、塩素の残る水で洗う・乾かす・一度に全部洗うといった扱いで減ってしまうため(生物ろ過が崩れるとき)、立ち上げの間はろ材や培地に強い洗浄をかけません。アンモニアと亜硝酸がほぼ0になり、硝酸だけが残るようになったところが、魚を入れてよい目安です。

出典

  1. 動画・英語 ZipGrow The Basics of Aquaponics System Cycling
  2. 動画・英語 Rob Bob's Aquaponics & Backyard Farm Aquaponics System | Is It Cycled Yet? & Planting Out Grow Beds
  3. 論文・英語 Derikvand, Sauter, Keddie, Stein(2024) Inoculum and pH effects on ammonium removal and microbial community dynamics in aquaponics systems