数の決め方と、水に慣らす手順。
最初の魚を何匹にするかは、魚が十分に育ったときの体格を基準に水量との釣り合いを決めてから、そこより少ない数で立ち上げに入ります。ZipGrowの解説動画で、共同創業者のNate Storey氏は、魚が育ちきった状態でおよそ1ポンド(約450g)につき8〜10ガロン(約30〜38L)の水が目安になると説明しています。ただしこの比率は「育ちきった魚」の話で、立ち上げを終えてすぐにこの比率ぶんの魚を入れるわけではなく、まずはこれより薄い密度で始め、魚が育つのに合わせて餌の量を加減しながら水の状態を見て増やしていく、と同氏は述べています。密度を低く抑えておけば、エアポンプなどの装置を足さなくても、ポンプが循環させる水の流れだけで溶存酸素(DO)を保ちやすくなることも、同氏が挙げる利点です。
魚の種類も、最初の数を決める材料になります。Chris The Amateur Gardener氏の解説動画は、ナイルティラピアは丈夫で育ちが早く、水の状態の変化にも強いので最初の群れに向くと述べ、冷たい水を好む魚(ニジマスなど)は寒い地域のほうが育てやすいと説明しています。キンギョは食用には向きませんが、仕組みの基本を学ぶ最初の数匹として向いていると同氏は述べています。
魚を実際に水槽へ移すときは、水温と水質をゆっくり合わせます。フロリダ大学(UF/IFAS Extension)の普及資料は、魚を新しい環境に移す前に「テンパリング」として、水温や水質の大きな違いに少しずつ慣らすことを勧め、目安として水温の差10°F(約5.6℃)ごとに最低20分の時間をかけて慣らすとしています。温度計が無ければ、手で触れて差を感じなくなるまで少しずつ合わせる方法も挙げています。酸素入りの袋で魚が届いたときは、袋を開けずに水槽の水に浮かべ、水温が揃うまで待ちます。袋を開けると溶存酸素(DO)が逃げるため、開けたらすぐに魚を放す必要があるとも述べています。運搬用のタンクから移す場合は、受け入れる水を少しずつタンクに混ぜて水温を揃えていきます。
同じ資料は、正しく扱われ水に慣らされた魚は、放したあとすぐに泳ぎだして深い所へ向かうのに対し、輸送や水合わせのストレスを受けた魚は底に沈んだり弱々しく泳いだりすると述べています。ストレスによる死は数時間から数日のうちに出ることが多く、病気の発生はさらに数日遅れて現れることもあると説明しており、ナイルティラピアやキンギョを含めどの魚も、入れた直後だけでなくその後数日は様子を見ておくことが勧められています。
出典
- 動画・英語 ZipGrow Aquaponics Stocking Density
- 動画・英語 Chris The Amateur Gardener What Is Aquaponics? Beginner’s Guide to Sustainable Farming
- 公的機関・英語 Michael McGee, Charles Cichra(UF/IFAS Extension)(2024) Fish Fingerlings: Purchasing, Transporting, and Stocking



